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光が消えた。
「ど、あ、え?」
鈴が変な声を出した。
「どうしたの?」
エフィーが鈴の変な様子を見て心配した。
「え、いや、予想外だから、うん」
予想外とは。
光が消えて現れたのは、虎緒のように小さくなった優花。
契霊となった死霊はこんな姿になることは知っていた。それが、死霊にとって恥ということも知っている。
でも、その。
「ふ…」
笑いをこらえれなかった。
ははははははは、と。
笑う。
失礼なやつだ。
そう思いながらも笑った。
「…り、鈴様?」
「ははは、わ、悪い悪い」
笑いが収まり、深呼吸をする鈴。
「で…その、よろしくな」
改めて、を付け足して。
鈴は優花に一礼してそう挨拶。
「わ、えっと、よろしくお願いしますっ」
優花も一礼。
可愛い。
「で、リン。優花ちゃんを武器にすることができるの?」
「ん?ああ…でも俺、武器名分かんねぇしさ」
絶句丸!とかそんなの。
「え?それも自分でつけるのよ」
「え、ええっ」
「でも、最悪『武器に成れ』で武器になってくれるから、それでもいいけど…」
うーん、とうなる。
「…名前欲しいよな……?せっかく武器になるんだし」
優花もうなった。
「……欲しいですね」
やっぱり欲しい。
しかし!鈴にはネーミングセンスがない。
「……よし、とりあえず武器になってみてそれで決めるか」
鈴はなんとなくかっこよくポーズを決めてみた。
中学時代の彼は、陸上部エース、の代理の代理の代理であり中二病とも呼ばれていたのである。
そこんとこのポーズ、任せとけや!
大剣を構えるポーズにはいった。
「武器よッ来いッ!!」
何も起きなかった。
「あれ?」
エフィーがため息をつく。
「あのね、武器に成れ、だからね…」
「あ、はい」
エフィーを少し怒らせてしまったかもしれない。
では、改めて。
「武器に成れッ!!!」
優花の身体に光がまとう。
この眩しさ…慣れるもんだ。
鈴はいろいろ耐性が付くのが早いほうだと思う。
うん。
かっこいい大剣のスタンバイをしていた。
「ふ、ふふふ……来るぞ……ついに」
思わず笑みと喜びがこぼれる。
「来たァ!」
『ごっ、ごめんなさい…』
剣から小さく優花の声がした。
「うん、いいぜ。期待しすぎちゃった俺が悪い」
鈴も真剣に謝っている。
優花が成った武器は、所謂小刀だった。
とても小さな小刀。
刃に刻まれている模様は綺麗だった。
和風っぽい雰囲気の花や草や。
綺麗だった。
「綺麗じゃん」
鈴はそれを見て言った。
「うん、綺麗」
エフィーも鈴の隣から覗き込むようにして見て言う。
『あ、ありがとうございます…』
小刀になっている優花の照れくさそうな意志が伝わってくる。
「じゃあ、名前をつけましょう」
エフィーが急かす。
「うーん…なんて名前がいいかなぁ」
鈴が考え込む。
『とりあえず、あの妖怪を倒してからにしましょう』
絶句丸が意思を伝えてきた。
「あ、そ、そうだな」
鈴が小刀を持って、妖怪の方へ駆け寄る。
「うぇ……こうして間近で見ると気持ち悪ぃわ」
『は、はやくやっつけましょう』
優花のその言葉(?)に同意し、鈴が小刀を振りかざす。
「……その、なんだろうな」
鈴が妖怪の目を見た。
妖怪の目がぎょろり、と動く。
目と目が合う。
「……お前にも、あるんだな、意識」
当然、妖怪からは返事が返ってこない。
ただただ、ずっと見つめられているだけで。
さっきみたいに、ぎょろり、と動かさず。
じっと。
こちらを。
鈴の目を。
見ていた。
ただずっと。
見ていた。
「……悪ぃな」
鈴が小刀を振りかざす。
「あばよ」
妖怪が消えゆく。
はらはらと、小刀で突き刺した部分から粉のように、黒く光りながら。
妖怪の一部が。
はらはらと。
「なんかさぁ」
妖怪を倒したことを確認しに来たエフィーに鈴は話しかけた。
「妖怪でも、『殺す』って。なんか嫌だな」
ありがとうございました。




