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死霊CONTRACT  作者: 椎名むに
世界―視界―が変わります
13/72

 光が消えた。


「ど、あ、え?」

 鈴が変な声を出した。

「どうしたの?」

 エフィーが鈴の変な様子を見て心配した。

「え、いや、予想外だから、うん」

 予想外とは。

 光が消えて現れたのは、虎緒のように小さくなった優花。

 契霊となった死霊はこんな姿になることは知っていた。それが、死霊にとって恥ということも知っている。

 でも、その。


「ふ…」


 笑いをこらえれなかった。

 ははははははは、と。

 笑う。

 失礼なやつだ。

 そう思いながらも笑った。

「…り、鈴様?」

「ははは、わ、悪い悪い」

 笑いが収まり、深呼吸をする鈴。

「で…その、よろしくな」

 改めて、を付け足して。

 鈴は優花に一礼してそう挨拶。

「わ、えっと、よろしくお願いしますっ」

 優花も一礼。

 可愛い。

「で、リン。優花ちゃんを武器にすることができるの?」

「ん?ああ…でも俺、武器名分かんねぇしさ」

 絶句丸!とかそんなの。

「え?それも自分でつけるのよ」

「え、ええっ」

「でも、最悪『武器に成れ』で武器になってくれるから、それでもいいけど…」

 うーん、とうなる。

「…名前欲しいよな……?せっかく武器になるんだし」

 優花もうなった。

「……欲しいですね」

 やっぱり欲しい。

 しかし!鈴にはネーミングセンスがない。

「……よし、とりあえず武器になってみてそれで決めるか」

 鈴はなんとなくかっこよくポーズを決めてみた。

 中学時代の彼は、陸上部エース、の代理の代理の代理であり中二病とも呼ばれていたのである。

 そこんとこのポーズ、任せとけや!

 大剣を構えるポーズにはいった。


「武器よッ来いッ!!」


 何も起きなかった。

「あれ?」

 エフィーがため息をつく。

「あのね、武器に成れ、だからね…」

「あ、はい」

 エフィーを少し怒らせてしまったかもしれない。

 では、改めて。


「武器に成れッ!!!」


 優花の身体に光がまとう。

 この眩しさ…慣れるもんだ。

 鈴はいろいろ耐性が付くのが早いほうだと思う。

 うん。



 かっこいい大剣のスタンバイをしていた。

「ふ、ふふふ……来るぞ……ついに」

 思わず笑みと喜びがこぼれる。

「来たァ!」





『ごっ、ごめんなさい…』


 剣から小さく優花の声がした。

「うん、いいぜ。期待しすぎちゃった俺が悪い」

 鈴も真剣に謝っている。

 優花が成った武器は、所謂小刀だった。

 とても小さな小刀。

 刃に刻まれている模様は綺麗だった。

 和風っぽい雰囲気の花や草や。

 綺麗だった。

「綺麗じゃん」

 鈴はそれを見て言った。

「うん、綺麗」

 エフィーも鈴の隣から覗き込むようにして見て言う。

『あ、ありがとうございます…』

 小刀になっている優花の照れくさそうな意志が伝わってくる。

「じゃあ、名前をつけましょう」

 エフィーが急かす。

「うーん…なんて名前がいいかなぁ」

 鈴が考え込む。

『とりあえず、あの妖怪を倒してからにしましょう』

 絶句丸が意思を伝えてきた。

「あ、そ、そうだな」

 鈴が小刀を持って、妖怪の方へ駆け寄る。

「うぇ……こうして間近で見ると気持ち悪ぃわ」

『は、はやくやっつけましょう』

 優花のその言葉(?)に同意し、鈴が小刀を振りかざす。

「……その、なんだろうな」

 鈴が妖怪の目を見た。

 妖怪の目がぎょろり、と動く。

 目と目が合う。

「……お前にも、あるんだな、意識」

 当然、妖怪からは返事が返ってこない。

 ただただ、ずっと見つめられているだけで。

 さっきみたいに、ぎょろり、と動かさず。


 じっと。


 こちらを。


 鈴の目を。


 見ていた。


 ただずっと。


 見ていた。


「……悪ぃな」

 鈴が小刀を振りかざす。



「あばよ」




 妖怪が消えゆく。

 はらはらと、小刀で突き刺した部分から粉のように、黒く光りながら。

 妖怪(やつ)の一部が。

 はらはらと。






「なんかさぁ」

 妖怪を倒したことを確認しに来たエフィーに鈴は話しかけた。


「妖怪でも、『殺す』って。なんか嫌だな」


ありがとうございました。

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