表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七不思議と祓いの旋律  作者: 天城 光凪
1/10

プロローグ

♦ ?月??日 ?曜日 ??


 受験を目前に控えた正月。単身赴任で滅多に家に寄り付かない父親が帰ってきて、脈略もなく急にこういった。


「お前は、全寮制の緑園高校に入学しろ。それ以外は認めん」


 家から近い公立の高校に通うつもりだった僕の人生設計は無慈悲で横暴な父親によってそれ以外の選択肢を封じられた。もちろん僕も言われるがままなんて受け入れられるはずがなく、抵抗を試みたものの学費だけでなく生活費まで出さないと脅迫されて、しぶしぶ僕は受験して……合格した。

 桜舞う四月、真新しく少し大き目な制服を着こんで、心うかれるような春の日差しと温かい空気の中、目をキラキラとして歩く同級生たちの中で、死んだ魚のような目をした僕は一人浮いていた。子供という無力さをかみしめながら早く大人になりたいと焦がれ、これから訪れる長くてつらい三年間を脳裏に思い浮かべ、重々しい足取りで鬱屈とした溜息を吐き出した。

 レモンスカッシュのように甘酸っぱくて弾けているような青春。

 僕の高校生活はそんなさわやかで弾けるような、いいものではない。僕の高校生活を飲み物で例えるのならば、どす黒い色をしたココアに抹茶の粉末を大量にかき混ぜたてクリープを一滴垂らしたような日々。

ただ怠惰に時が過ぎるのを待ち焦がれていた僕がそんな日々を送るきっかけも、一つ年上の性格に難がある美人な先輩に振り回されることになるのも、暗部なんていうふざけた名前の部活動への入部を迫られたのも、全部、全部――――――、今思い返せばすべては・・・・・・、


あの入学式の日、白いタキシードを着たド派手な学長が、舞台上で面白おかしなことをしでかしたその時から始まっていたに違いない。



全10話のプロローグです。5月29日に完結予定です。(本作品は、共同制作中の一編です。これ一編でも楽しめるはず。)『緑園高校怪奇譚 僕と先輩の奇妙な関係☆ Seven Wonders of the night of the school』http://ncode.syosetu.com/n3850da/の雛型です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ