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4日目

朝から憂鬱だ。


今日は仕事がないお父さんは、朝からリビングで何日か前の新聞を読んだり、テレビで唯一放送しているニュース番組を見たりしている。

いつも家にいなくて無口なお父さんが少し苦手な私は、居心地が悪かった。

そして、近所でも元気な事で有名なお母さんが元気がないのも、私の気分を沈ませている原因だったりする。


……外にでも出るかな?


重苦しい空気に耐え切れなくなった私は、久しぶりに外に出掛ける事にした。


「ちょっと、外に出てくるね!」


お父さんの了解の唸りが聞こえた。




エレベーターで1階まで降り、セキュリティのかけられている正面玄関まで向かう。


「……あれ?」


いつもはロックのかかっているドアが、半開きのまま固まっている。

急いで管理人に伝えようと窓口まで向かうが、いつも居眠りばかりの管理人さんの椅子が、今日は空っぽだった。

しかも窓には「しばらく休みます」の文字。


ありえない。


いまだにあの話が信じられない私は、釈然としないままマンションから出る。




――町はいつもの活気を失っていた。


どのお店もシャッターが閉まり、まるでお客さんを呼んでいる気配はしない。

そもそも町を歩いてるお客さんが居ないのだ。


いつもは大混雑とまでいかないけれど、まあまあに混んでいる駅前の商店街にも誰も居ない。

居るのは何も知らないでゴミを漁っているカラスぐらいだ。


みんなどこに行っちゃったの?


さすがにここまでだと思わなかった私はうろたえる。


誰でもいいから声が聞きたくて、携帯で友達に電話をかけてみる。


ツーツーツー……


しかし、誰にも繋がらない。

携帯の向こうからは何も聞こえない。


「もう、いやだぁ……」




結局、何もしないまま家に戻った。


久しぶりの外で得たものといえば、みんな地球滅亡の話を信じてるって事と、携帯が繋がらないって事だけだ。


家の中は私が出たときとまったく同じ光景だった。

お父さんは変わらずリビングのソファにどっかり座ってるし、お母さんは力なくダイニングの椅子に腰掛けている。


「あ、おかえり咲」


私が部屋に入ってきたのに気付いたお母さんは俯いていた顔を上げた。


「うん。……ねぇ、夕ご飯は? 作らないの?」


壁の時計は、もうすぐ我が家の夕飯の時間を指そうとしていた。


「もうそんな時間?」


お母さんも時計を確認して驚くと、立ち上がりキッチンに向かう。




いつもより少し味気ない夕飯を食べ終える。

なんでも、お店が開いてなくて買い物ができなかったらしい。


それでもお腹に食物を詰めて安心した私はソファに寝そべりながら一局しかやっていないテレビを横目で眺める。

両親はもう寝室に引っ込んでしまった。

その内、眠気に襲われた私は、そのまま眠ってしまった。

テレビのアナウンサーの声が耳にいつまでも響いた。


「最近、自殺者が増加している様子で――……」






やっと、4日目。

久しぶりに更新しましたw

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