1日目
「それでは、後残り7日でこの隕石は地球に到達する。と言うことですか?」
「そうです。そしてこの隕石は大きさが地球の約6分の1もありまして――」
朝。
起きたてでぼうっとした私の耳に、そんなくだらない会話が耳に入った。
「おはよぉ……またその変な番組見てるの?」
「おはよう。朝食はそこに置いてあるわよ。
それと、変な番組なんていわないでよ。これ結構面白いのよ?」
「そうかなぁ?」
毎日のように、天変地異だ。大地震がもうすぐ起こる。だの言っている番組は変としか言いようがないと思う。
とりあえず、ダイニングテーブルに置いてある朝食を胃に詰める事に専念する。
しばらくしてもうすぐ食べ終わりそうな私に、
「咲っ、大変よ! もうすぐ地球は滅亡するらしいわ」
ソファに沈めていた体をわざわざ捻って私の方を向いた母はそう言った。
「そうなんだ? 大変だね。」
私は適当に話を流しながら食器を片付ける。
そして、一度リビングを出て自室に向かい、鞄を取って戻ると、
「私、もう学校行くね!」
と、テレビに夢中の母親に一応声をかけておく。
「いってらっしゃい、気をつけてね」
という声に私はいつも通りの朝を感じた。
家であるマンションから出て、緩やかだけど長い坂を登ると、もう2年も通っている学校が見えてくる。
坂を上りきって学校の校門近くに着くと、多くの生徒が何かを夢中に話しているのが目に入った。
教室に向かう途中の廊下でも、何人かが塊になって話し込んでいるのがちらほらと目に入る。
「ねぇ、何かあったの?」
教室に着いた私は、自分の席の近くでやっぱりみんなと同じように話し込んでいる友達に事情を聞いてみた。
「えっ! 咲ってば知らないの?
今日の朝のニュースでずっとやってたじゃない」
「ごめん、今日の朝時間なくて見てないんだよね」
「もうっ、地球に隕石がぶつかるって話よ!」
「……それってあのインチキ番組の?」
「なに? そのインチキ番組って。
とにかく、世界中が知ってる話よ。すごい大きな隕石が地球に今、向かってるらしいのよ」
「へぇ、そうなんだ」
みんなそういう話好きだよね。と返すと変な顔をされた。
「咲、隕石は向かってくるだけじゃないのよ? 地球にぶつかるかも知れないのよ」
「だって、ぶつかるかも知れない。でしょ?」
もういいわよ。そういって友達は呆れて、また集団の中に戻って行ってしまった。
(何? そんなに大騒ぎすること?
今までもそういう話ならテレビでずっとやってるじゃない)
いつもと違う様子のみんなに、私は少し戸惑った。
が、すぐにみんな飽きてしまうだろう、と私は高をくくっていた。
――しかし遂に、帰るときまでその話題は囁かれていた。
ガシャンッ
みんなの話についていけない自分に苛立ちを感じながら、家の玄関を乱暴に開ける。
その音に驚いたのか、母がリビングのドアから顔を出してこちらを伺っている。
「どうしたの、帰って早々に。ドアは静かに開けなさい」
その日はなんだか疲れて、そのまま夕飯も食べずに寝てしまった。
初めての連載です。
って言っても7話しかないんですけど(笑)
できれば続きを書いていこうと思いますのでよろしくお願いします!