表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Smile again ~また逢えるなら、その笑顔をもう一度~  作者: たいちょー
第六針 七夕のタイムリミット
PR
36/164

Memory.10

五月 ゴールデンウィーク明けの月曜日


 待ちに待っていたゴールデンウィークは、あっという間に過ぎてしまった。

 ウィーク中も部活の練習試合や練習はあったものの、今日から部活の一年生の練習が、本格的に始まるという。

 裕人と中田は、小学校の時に経験していたということもあって、揃ってバスケ部に所属した。

 まだまだチームメイトや先輩たちの名前を覚えきれていないものの、なんとか馴染めるようにはなってきた。

 放課後の練習を楽しみに思いながら、裕人は朝、教室へと踏み込んだ。

 ―うわぁ、またか…。

 教室に入って早々、裕人が嫌々と思ったのには訳がある。

 裕人の隣の席、心奈の席に、彼女が座っていたからだ。

「お、おはよう」

 しぶしぶ声をかける。彼女は長い髪を指にクルクルと巻き付けながら、ボーとしていた。相変わらず、近づくと独特の香りがする。

「あら、真田君。ごきげんよう。まだ心奈ちゃんは来てないわよ」

「そ、そうなんだ」

 一体何があったのかは知らないが、彼女、前田来実と、心奈が仲良くなり始めたのだ。心奈は新しい友達ができたととても喜んでいたのだが、裕人としては不都合だ。

 何しろ、初対面であのような態度を取られてから、毎日のようにこの調子で話しかけられる。

 裕人は、このような大人の女性のようなタイプは初めてだったが、とてもじゃなく苦手だ。一緒にいると、なんだか気が狂う。

「真田君、アイドルとか好き?」

 席に座ると、唐突に彼女が聞いてきた。

「え?アイドル?うーん、あんまりアイドルとか見ないなぁ」

「あら、そうなの。まぁ、真田君みたいなタイプはそうよねぇ」

 感心している彼女の意図が、裕人は全く分からなかった。

「っていうか、真田君。まず女の人に興味ある?」

「へ?興味?」

「そ。興味。好きな子とかいないの?」

「好きな子って…そんなこと考えたことも…」

「あら、てっきり心奈ちゃんの事が好きなのかと思ってたけど、違うのね」

「あ、明月は友達だよ!っていうか、好きとかそういうの、俺まだよく分かんないし」

「ふーん。じゃあ、私が教えてあげてもいいのよ?」

 彼女が顔を近づける。

「ちょっと来実ちゃん。何やってんの?」

 ふと、彼女の頭にコツンとチョップが入った。

「いたっ。ちょっとぉ、心奈ちゃん。急にチョップしないでちょうだい」

「だって、来実ちゃんがヒロと仲良さそうにしてたから」

 そっぽを向いた心奈が、そこには立っていた。

「あら、私たちは仲いいわよ?ね、真田君」

「え、ええ?」

 ―何で俺に話を振ったの!?

 突然の話の振りに、裕人は心中彼女を呪った。

 心奈がこちらを見る。やめてください、こっち見ないでください。お願いですから。

「えっと…まぁ、それなりなんじゃないかな」

「あら、私はてっきり結構仲が良いと思ってたのだけれども」

「もうどっちでもいいよ!とにかく来実ちゃん!あんまり人を困らせちゃダメだよ!」

「はいはい、分かったわよ」

 何故かニヤニヤと笑いを浮かべながら、彼女はそっけなく返事をした。

 すると、二人は何事もなかったかのように日常会話を始めた。

 まったく、女の子と言うものはまるで理解できない。

 裕人は隣で、心底感じたのであった。


「ねぇ、心奈ちゃん」

 彼女は問うた。

「ん、なぁに?」

「心奈ちゃんって、真田君の事好きなの?」

「ふぇ!?な、何で急に?」

「いいから、どうなのよ?」

「うーん…。好き、なのかは分かんないけど、もっと仲良くなれたらなとは思う…かな」

「ふぅん。いいじゃない。なら、私も手伝ってあげるわよ」

「え、そんな。悪いよ。っていうか、私あんまり好きって感じ分かんないし」

「あら、それが好きってことなんじゃないかしら?」

「へ?」

「相手の事をもっと知りたい。もっと一緒にいたい。一緒にいると楽しい。それが、好きってことじゃないかしら?」

「一緒にいると楽しい…かぁ」

「応援するわ、心奈ちゃんの事」

「…うん、まだ好きってこと分かんないけど、ちょっとだけ分かった気がする。ありがと、来実ちゃん!」

「いいのよ。だって、私達―――――友達じゃない」

 彼女は、唇を釣り上げて笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ