11.B【想う力:6】
前回の続きです。
(※子猫は登場しません)
▼▽ (11)
ある日の昼
京都府の某所にある某ホテルの中にあるロビーにて。
陸堂瑛と陸堂翼と影森慶慈と七照院燕彦と裏井沢楓と四豊院奏の六人は、ロビーでゆっくりと寛ぎながら、誰かが来るのを待っているようだが…。
なんとそこに、あの一珂院家の三兄弟…一珂院恭と一珂院撩と一珂院翔の三人に、あと一人の細宮将芳も一緒になって、某ホテルの中にあるロビーに来ている。
ここで遂に、瑛や撩たち十人が合流していて、早速だが話し合っている。
「…来たか…撩よ…」
「おう、待たせたな…瑛よ」
「どうもです…皆さん」
「ふん、相変わらず…不況そうな顔をしているな。 …お前たちは…。」
「………」
「恭よ…今回の "敵" もかなり手強いようだぞ。」
「……手強い……?」
「ほう…そうなのか…それはまたなかなか楽しみだな。」
「ふぅん、相変わらずに随分と余裕なのね。 …一珂院の皆さんは…。」
「では…今回も宜しくお願いします。 一珂院の皆さん」
「それで…今回の依頼の舞台となる…セイントアリオス女子高等学院とは…確か…イギリスにも姉妹校があった筈だが…?」
「ええ、確かにその通りです。 まぁキリスト教の学校みたいなところで、聖母マリアの教えのもと、結構な厳格な学校だと聞いています。」
「……ほーう……」
「…それがどうした…?」
「いや、参考までに少し聞いたまでだ。」
「………」
「それで今回もまた幽霊の仕業なんスかね?」
「さぁな、それはまだ解らんな。 だからそれをこれから調べているのだ。」
「なるほどな…確かに "敵" の正体と目的を断定するには、まだ早計だろうな。」
「まぁな、いずれにしても、今晩また行くから…その眼で確かめるがいい…最も視えれば…の話しだがな。」
「………」
「なるほど…確かにそうだな。 では…そうするとしようかな」
その後の瑛や撩たち十人は、食事をとり終えてから少しの休息をとり、今夜も再度セイントアリオス女子高等学院に行く為の準備をしている。
ある日の夜 (三日目)
京都府の某所にあるセイントアリオス女子高等学院にて。
暗闇の校内の某所にある別室の室内には、瑛や撩たち十人に加えて、この学校の生徒会役員でもあり会長でもある五喬院晶と副会長の篠碕湖織の二人もいて、今回も参加している。
一珂院の三兄弟と五喬院のご令嬢の対面や挨拶は既に済ませている。
「今夜はよろしく」
「はい、こちらこそ宜しくお願いしますわ。」
今回もまた問題になった例の更衣室の暗闇の室内の監視・調査を行い、異常・異変などがないかを確認していく。
するとやっぱり…瑛以外の者には、あの "黄金に光輝く人影" と "白銀に光輝く人影" のふたつが、よく視えていなかったらしいのだが…。
「………」
「やっぱり…今夜も何も視えませんわね?」
「ええ、残念ですが…私にもよく視えませんわよ?」
「………」
「ほう、アレなのか? なるほど、確かに "黄金に光輝く人影" と "白銀に光輝く人影" のふたつがまるで踊るようにして、動き回っているようだな。」
なんとここに来て、一珂院撩にもなにやら…何か視えているようだぞ。
「あらあら、それは確かに凄いですわねぇ♪」
「えぇっ!? あなたにも視えるのぉ!? 瑛が視ているモノがぁ!?」
「何、それはホントかっ!? 本当に視えているのかっ!? 撩よ」
「…さすがに凄いですよね。 …撩も…」
「………」
「ああ、まぁな」
なんと撩の眼には、暗闇の室内が凄く明るくて…天井にあるシャンデリアの照明がついていて、床には赤い絨毯が敷いてあり、広い空間の中では音楽や人々の笑い声が聞こえており、まるで中世ヨーロッパの何処かの国の晩餐会をやっているような盛り上がりの中で、室内の中央では黄金の王様と白銀の王女様の二人が一緒になって、踊っているような映像が映って視えているのだ。
しかも瑛の眼の方も、撩が視ているモノと同様のモノが映像となって映って視えているのだ。
「こ、これは一体何なんだぁっ!?」
「これは幽霊の仕業ではないようだな。 瑛よ」
「何ぃっ!? ではアレは一体何なんだぁ!? 撩よ」
「おそらくは…これは残留思念か何かだろう。」
「…残留思念…?」
「ああ、昔の人々の思い出や記憶などがある特定の時間や場所だけに出現する現象で、幻覚みたいなモノなのかな? 瑛よ」
「……幻……?」
「ああ、俺の眼の反応を見ても、悪霊や生き霊などの類いではなさそうだな。 しばらく時間が経てば、この現象も消えるのではないのか?」
「何…? ならば…この現象は一時的なモノなのか? これは…? 撩よ」
「…さしずめ…今夜が命日……なのか? まぁ…今日が最期なのか……?」
「…なに…? …そうなのか…? これは…?」
「……?」
「それで…この現象には、何か危険な事や迷惑な事とかないのか? …撩よ」
「はははっ…ある訳ないだろう! そんなモノは…! 残留思念はただ "視えるだけ" で "視線を感じる" 程度だぞ! まぁ確かに、少しは気味が悪いだろうが…そのぐらいは我慢しろ! …瑛よ」
「…ほーう、そうなのか、なるほどな…」
「さて…これから一体どうするつもりなのか? …瑛よ」
今夜もこれで撤収するようだが、今回は幽霊や悪霊などの仕業ではないようだぞ。 撩の提案では残留思念だと言うが……その場合は相手が幻なので対処法は一切ないのか……!?
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※今回の『残留思念』は幽霊や心霊現象などではないので、幽霊情報はありません。
※今回のは、しばらく時間が経つと、自動的にこの現象が消去されてしまい、いつも通りの普通の状態に戻るモノで、特に危険や恐怖はありません。
次回に続きます。
(※まだ子猫は登場しないかも……?)