06.B【想う力:1】
今回から新しいお話しが始まります。
▼▽ (06)
前回の凶悪霊は除霊不能だったが、一応の対策としてあの現場一帯に封印結界を作り、その不気味で奇妙な鳴き声を一般人からは聞こえないようにしていて、小さな黒い影も視えないようにしていた。
勿論、その場しのぎの気休め程度の封印結界なので、着実に力をつけている凶悪霊に対しては、どうすることもできないが、それでも様子を見ながら今後の対策を思案することになった。
ある日の朝
和歌山県にある陸堂家の自宅
今日は珍しく、朝から陸堂兄弟が家の中にいる。
兄の陸堂瑛は「遊戯室」で近所のおじさんたちと一緒に麻雀をしており、弟の陸堂翼は「霊力操作室」に籠って、幽霊関係の情報や資料などの管理・整理・保管をしている。
にやぁー!
ボクは子猫のアキラ!
朝御飯も食べ終わっていて、今度は色んな部屋を遊び回ってる最中だにゃー!
この家では、ボクたち子猫や子犬が色んな部屋に行けるように、部屋のドアや壁などの下側の所に、小さな穴があいていて、そこから出入りすることができるにゃー!
にやぁー!
ちなみに、ボクは基本的に外にはあまり出ない。 勿論、外にも出れる小さな穴があり、そこから外に出て遊べるけど、ボクはなかなか、その気にはなれないにゃー!
ベ、別に怖くないにゃー!
でも、なかには外で遊ぶ仲間の子猫もいるし、子犬の方は外に出て、散歩に連れていってくれるけどね。
まずは、瑛がいる「遊戯室」の中を覗いてみた。
部屋の中にある麻雀卓のひとつに、瑛と知らないおじさんたちが三人、麻雀卓を囲って座っていて、瑛たちのカチャリと牌を打ち付ける音がして、凄くうるさいっ!!
すると瑛が突然―――
「……ロン! リーチ、イッパツ、サンショク、ドラドラ……だな!」
んん? なんだぁ? 今の何かのゲームの呪文みたいな台詞は……?
「おおっ!? そこで来るのかぁっ!?」
「相変わらず早いねぇ~! 瑛ちゃんはぁ~!」
「おっちゃんも負けていられないよぉ~! 次いこ! 次!!」
「ふふふ、ああ……次だな!」
なんだか、よく解らないけど……皆、凄く盛り上がってるにゃー!
するとまた、ジャラジャラと牌をかき回す音がして、凄くうるさいっ!!
にやぁー!
しばらくの間は、部屋の中で遊んでいたけど……さすがにもう飽きたので、次の部屋に行ってみることにしたにゃー!
次に翼のいる「霊力操作室」の中を覗いてみた。
部屋の中にある大きなコンピューターやモニターがいくつもあって、翼がその中のひとつのコンピューターの前に座り、なにやら複雑な操作をしていて、周辺には資料や書類などがあちこちに散乱していて……散らかってるにゃー!
すると翼が突然―――
「むーう、なるほど……そうなりましたか? "見果てぬ首入道法" とは、また厄介な凶悪霊ですよね?」
なんだろう? なんか独り言を言ってるけど、一体何を言ってるんだろう? なんだが……よく解らないにゃー!
「あっ アキラですか?」
すると翼がボクのことに、気がついて頭を撫でてきた。
しばらくの間は、翼がまたコンピューターやモニターと、にらめっこしながらも、手に持っていた資料にも目を通していて、何か複雑な作業をしている。
にやぁー!
それを見ていても、まったくもってつまらないし、あまりにも動きを見せない……ので、ボクはまたすぐに飽きてしまい部屋を出ていったにゃー!
その後も……しばらくの間は、リビングで遊び回ってるボクだけど、やがて昼頃になったのでボクたちは昼御飯を食べていて、瑛も麻雀を終えて近所のおじさんたちも帰ったのでリビングに来ていて、翼も複雑な作業を終えたのでリビングに来ていて、ボクたち子猫や子犬にエサをあげている。
すると一人の少女が、陸堂兄弟の家に訪ねてきた。
「お邪魔しますわ。」
「はい、いらっしゃいませ。 あなたが五喬院さんですか?」
「はい、私の名前は五喬院晶と言いますわ。 宜しくお願いしますわ。」
「ああ、来たか……五喬院」
彼女は自分の名前を、五喬院晶と名乗っていて、どうやら女子高校生のようなのだが……。
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次回に続きます。
(※新キャラ登場、名前に特徴あり)