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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B. 【陸堂家の子猫編】
93/132

05.B【鳴き声:5】

今回は子猫、登場しない。


  ▼▽ (05)


 ある日の夜


 現在、陸堂瑛、陸堂翼、四豊院奏、七照院燕彦、三葉院将和、三葉院真純、二爽院静花、梶崎愛莉の八人は、とある某所※に来ている。

(※待ち合わせ場所)




   〈暗闇の細い道〉

 その頃、あの場所では―――


 うにぁあー!


 今夜もまた……あの不気味で奇妙な鳴き声が聞こえてきていて、小さな黒い影もその存在を現している。




 一方では、陸堂瑛たち八人は現在(いま)いる某所で、新たな助っ人として合流してきた、八陀院凌と八陀院蒼依の二人と一緒にいた。


 ここで、凌と瑛がお互いに顔を見合わせており、これで十人となった。


「やはり、来たか……凌よ」

「………」

「……来たか……とは、また随分(ずいぶん)な言い方だな……だいたい僕たちを君たちが、呼んだのだろう? …瑛よ」

「はい、申し訳ありません、蒼依。 瑛はこの通りで、いつも口が悪い者ですから……」

「……ふん!」

「ぷっ くっくっくっ!」

凌が手で口を抑えていて、必死になって、笑いを堪えている。


「そうか……遂に八陀院家の者までこちらに寄越(よこ)すとは、やはりあの悪霊は……」

「はい、残念ながら…かなり強力な悪霊と推察されますので、こちらの方もそれなりの準備をしなければいけません。」

「じゃあ、援軍っていうのは、彼らのことね? 翼」

「………」

「…? どうしたの? 翼」


「いや、違う。 実は更なる援軍を既に呼んでいる。」

「……え? まだ来るの?」

「ああ、ただ彼らに頼むのに、少し骨を折ったがな……」


 すると突然、瑛たち十人の背後の方で気配がして、咄嗟(とっさ)に後ろを振り向いてみると―――


「待たせたな……瑛よ」

「やあ、瑛、翼……元気だったか?」

「あっ どうもです。 瑛さん、翼さん」

「……っ!!?」

「ま、まさか……お前たちは…一珂院家の……っ!!」

「…撩…恭…翔…」


 今度は…一珂院恭、一珂院撩、一珂院翔の三人が、更なる援軍として現れている。


「やはり、来たか……撩よ」

「ああ、来たよ……瑛。 今回の仕事の依頼には、非常に興味があったからなぁ~!」

「へぇ~~ そうかい」

「早く見てみたいよ!」

「俺も見学……いや、勉強させてもらいますよ。」

「それで、その悪霊とやらは、今…何処にいるのだ!? …瑛よ」


「………」

「ああ、ここから少し離れた場所に出現している……もうそろそろ出てきている筈だから、今からでも向かおうか?」

「ああ、そうだな」

「はい、判りました。」


 瑛たち八人に、凌と蒼依の二人と、恭と撩と翔の三人を含む合計13人が、某所に合流しており、例の〈暗闇の細い道〉の方に向かって歩き出していた。




   〈暗闇の細い道〉

 瑛たち13人は、よく悪霊が出現するとされる、例の場所の大きな道路側に到着していた。


 そこに、会社の帰りに細い道の奥の方から、紺色のスーツ(女性用)を着たOLの女性が、一人で慌ててこちらの方に向かって走って来ている。


「………」

撩はそのOLの女性が走り去る姿を、一瞬だけ目で追っている。


 今回も既に準備ができており、照明機材などで道を明るく照らしていくと、道の中程から小さな黒い影が、男性の血まみれの生首となって出現していて、不気味で奇妙な鳴き声を響かせている。


 うにぁあー!

 う…に…ぁあ…

 うふふふ…に……げ……


 早速だが、それを見ていた瑛たち13人が、皆それぞれ感想を()べている。


「………」

「ほう、これはまた凄いな。」

「……ちっ!」

「これはかなり悪霊化が進んでいますね。」

「ええ、確かにそうよね!」

「……マジかよ……」

「…血まみれの生首…」

「これは本当に、とんでもない幽霊が相手のようですわね。」

「…生首だけで…胴体や手足がないの…?」

「なるほど、確かにコイツはヤバそうだな。」

「ああ、これは今までの経験にない、あまり良くない部類の幽霊(モノ)だな。」

「…非常に危険ですね…」

「さて、これから一体どうするつもりなの?」




 するとまた……藍色のスーツ(女性用)を着たOLの女性が、一人で慌ててこちらの方に向かって走って来ているが、今夜に限っては、複数人の人間(あきらたち)の存在や照明などで明るくなっている道を見て、少し安堵して走り抜けている。


「………」

撩はそのOLの女性の走り去る姿も、一瞬だけ目で追っている。


 そして、再び男性の血まみれの生首の方を見ている撩に……。


「…好みなの…?」


 それを見ていた奏が、撩に疑問をぶつけてみると―――


「いや、違う。 コイツの正体が判明した。 おそらくは、コイツの名前は "見果てぬ首入道法" と言う悪霊であろうな。」

「え? なに…今…なんて?」

「え? ミハテヌクビニュウドウホウ?」

「ああ、そうだ。 コイツは間違いなく、凶悪霊の部類に入る程…危険度が非常に高い幽霊であり、こういう薄暗い細い道でよく出現するケースもある。」


「コイツの目的は、一体何なんだ? …撩よ」

「今…二人のOLの女性が、通り過ぎただろ? きっと…アレが目的であろう。 彼女たちのスーツのスカートの中を、覗いてみたいと思われる。」

「……はぁっ!!?」

「なにそれ?」

「……何を言ってる!?」

「この悪霊は死んだ人間の欲望の塊からなる霊魂で、特に色欲・性欲が強いとされていて、非常に厄介な凶悪霊だとされていると、以前に何処かで聞いたことがある。」


「おい、なんというふざけた悪霊なのだ!?」

「それって、何かヤバいことでもあるのかしら?」

「いや、だって…スカートの中を覗こうとするんだぜ! 凄くヤバくないか!」

「いや、そうじゃなくてさぁ…祟りとか呪いとか殺すとか…ないわけ…?」

「さぁな、それはよく解らないな。」


「それで、あの悪霊を除霊する方法とかないのか? …撩よ」

「……ないな。 …瑛よ」

「な、何っ!!?」

「……はぁっ!!?」

「なんでぇ!?」

「コイツを退治・除霊する方法はないと聞いている。 コイツのパワーの源は、人間の欲望だからだ……特に色欲・性欲は強力だからな。 この世の人間の欲望を全て吸収して、コイツは強くなっているから、永久にパワーは減少しない。」


「………」

その場にいる全員が、無言となって絶句している。


「つまり、欲望の消失か…それが駄目なら、人間の滅亡ぐらいでしか、コイツを弱体化させる方法がないから、除霊は非常に難しいのだ。」

「そうなのですか!?」

「そ、そうなのか!?」

「おいおい、マジかよ!!」

「じゃあさ、コイツは無敵なのっ!?」

「……ちっ! 不死身か!?」


「ああ、そういうことになるな。」

撩が淡々と答えていた。


  △▲

     ━━━




   『今回の怪談』

 「No.6」【見果てぬ首入道法】

時間:真夜中

場所:薄暗い細い道に限定される

外見:小さな黒い影→男性の血まみれの生首(首から下はない)→???

現象:通行人の女性のスカートの中を覗こうとする?

結果:理論上は無敵で不死身な為に対処不能

備考:コイツの力の源は、人間の欲望の為に永久に減少しない! しかも、特に欲望の中でも、強力な色欲・性欲を吸収している為に力は増大できる!

恐怖度:★★★★★

危険度:★★★★★



   『今回の幽霊』

 【見果てぬ首入道法】

 名前の由来は不明。

 まずは、不気味で奇妙な鳴き声がするが、これは大半の普通の人間が聞こえる。

 また数日すると、小さな黒い影が出現するが、これは多少の霊感・第六感がないと()れない。

 さらに数日経つと、人間の成人男性の(ひたい)からアゴにかけて、流血している血まみれの生首が出現するが、ここまでくると強力な霊力のある者しか()れないし、最早…退治・除霊は不可能である。

 人間の三大欲のひとつである、色欲・性欲を吸収している為に、力が非常に強力で無敵と不死身になり、現在(いま)はまだ女性のスカートの中を覗こうとするだけだが……

 ―――最終的には "死神" になる!?



今回は残念だけど、相手が悪かったね。

でも、仕方ないね。 こういう日もあるよね。

それにしても、撩は本当に博識だなぁ~。


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