03.B【鳴き声:3】
▼▽ (03)
にやぁー!
ボクたち子猫の方も、さすがに眠くなってきたので、子猫専用の部屋に戻っていった。
ある日の夜
陸堂家の自宅には、陸堂瑛、陸堂翼、四豊院奏、三葉院真純、三葉院将和、七照院燕彦、二爽院静花、梶崎愛莉の八人がリビングに集まっていて、なにやら話し合っていた。
ちなみに、他の六人もいずれも陸堂兄弟同様に、魔法学校に通学している生徒である。
リビングのテーブルの上には、八人分の洋菓子やコーヒーが入った白色のカップが置いてあり、全員がソファーに座って寛いでいる。
「ふーん、不気味で奇妙な泣き声ねぇー」
「………なにそれ?」
「はい、それがちょっと…自然界で聞ける泣き声では…ないそうです。」
「……自然界って……」
「ねぇ、それって…ちょっとヤバくない?」
「………幽霊ですの?」
「……ヤバそうですかね? ……静花様」
「それは心霊現象なのか? ……瑛よ」
「さぁな、それを今から調べるのだよ。」
うにぁあー!
すると…今夜も、あの薄気味悪い声の不気味で奇妙な鳴き声が、突如として聞こえてきていた。
「……っ!!?」
瑛たち八人が、この謎の鳴き声を聞いて、大変驚愕しており、言葉を失っていた。
確かに、普通の動物の鳴き声ではなく、また普通の人間の赤ん坊の泣き声とも違う認識であり、間違いなく、この自然界で発声するであろう、どの鳴き声・泣き声にも該当しないと思うからである。
うにぁあー!
ならば……これはまさしく……苦痛に満ちた幽霊の唸り声……っ!?
「………ちっ!」
瑛は思わず舌打ちをしてしまった。
「……瑛……」
「……これは……相当厄介ですよね……?」
「なるほどね、確かに普通じゃないわね。」
「では……これからどうしますの? 奏さん」
「奏よ、一体どうするつもりなのだ!?」
うにぁあー!
「おい、全然準備してないぞ! どうするつもりだ! 奏!」
「……どうするの? 奏」
皆…少し狼狽え始めている。
「そうね、少し準備が必要かもね。 もし仮に本当に幽霊だった場合、非常に危険だよ。」
「……危険……?」
「ええ、これはもしかして、悪霊化寸前の変化の声……?」
「なら、今夜はやめとくか?」
「なるほど、それなら……今夜は様子見なのか? ……瑛よ」
「ああ、そうだな。 今夜はこのまま様子を見るだけにしようか。」
「ええ、そうね。 今夜は様子見ね。」
「……わかった……」
突如として発声してきた不気味で奇妙な、この謎の鳴き声をした幽霊?を相手に、瑛たち八人は何ら対策をしておらず、残念ながら…今夜は様子を見ながら、その幽霊?の正体を探り出し、解散してしまった。
翌日の夜
陸堂家の左側の家の左側にある細い道には、昨夜…陸堂家の自宅の中で集合した瑛たち八人が、今夜も集合していた。
瑛はヘンテコな形をした黒色の手鏡を持っており、奏の方はなにやら黒色の箱を持っていて、一体何をする物なのか…まだよく解らない。
にやぁー!
ボクたち子猫は、子猫専用の部屋の窓から、飼い主たちの様子を眺めていた。
…何やってるのかにゃー? あそこは確か…あの謎の鳴き声がしてきた…細い道だけど…?
にやぁっ!? もしかして…アレを…退治するつもりなのかにゃっ!?
〈暗闇の細い道〉
瑛、翼、静花、愛莉の四人は、細い道の奥の方に立っていて、奏、将和、真純、燕彦の四人は、細い道の手前(大きな道路側)の方に立っていて、既に準備が完了しており、後はその瞬間を "待つのみ" となっていた。
(※暗闇の細い道に照明を設置済)
うにぁあー!
しばらくすると、また…あの謎の鳴き声が聞こえてきていて、同時に…小さな黒い影も出現してきていた。
にやぁー!
また出てきたにゃー!
やっぱり…とても不気味で奇妙な存在であり、生命体や生気などもなく、それが幽霊?なのかも解らない状態で、未だに何ら対策などもない。
うにぁあー!
「……遂に出てきたか?」
「これは…予想以上なのが、出てきましたね。」
「なんだ!? こいつは!?」
「さぁ、さっさとやっちゃうわよ! 皆」
「ああ!」
「はい!」
「ええ!」
「はーい!」
早速だが、真純、将和、静花、愛莉の四人が、小さな黒い影を中心に四隅に配置して、魔法発動の構えをしていた。
【防御魔法】
《霊魂封印結界四陣》を使用
四人が魔法を発動させると、小さな黒い影の動きを止め―――られない!?
なんと! 小さな黒い影が、まるで何事もなかったかの様に、動き続けていた。
うにぁあー!
「な、なんだとっ!?」
「そんなバカなっ!?」
「なんだ……これは……?」
「まるで通用しないのか?」
予想外の展開に、瑛たち八人は大変驚愕しており、立ち尽くしていた。
「………ちっ!」
「それなら…これはどお!」
奏は魔法を発動した。
【攻撃魔法】
《ゴーストマザークリムゾン》を使用
奏の身体から「長身で紅い女性の幽霊」が、飛び出していき、小さな黒い影を捕縛しようとしたが、なんと…すり抜けてしまった。
「………えぇっ!?」
「……効かない……のか?」
「嘘!? こんなの初めてですわ!?」
「………むむっ!!」
魔法が全く通用しない幽霊?に、凄く苦慮していた。
うにぁあー!
すると…突如として、小さな黒い影の存在が、再び消えてしまった。
「……失敗したか……」
瑛の言う通り、今夜の幽霊?への対策や対処は、完全に失敗してしまった。
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次回に続きます。