40.第四高校編[一学期]【覗き魔】
怖い話 怪談『覗き魔』です。
今回の幽霊は少し特殊なのですがどういう意味でしょうか?
…ぜひご覧下さい。
【アブソリュート=ゼロ】
第四高校編[一学期]
【覗き魔】
登場人物
①四豊院 奏(2年A組)
②三葉院 将和(2年A組)
③三葉院 真純(2年A組)
④遠藤 惣四郎(2年B組)
⑤裏井沢 楓(2年C組)
⑥カレン・ウォールドヴァーゼ(1年A組)
日本魔法学部第四高校(宮城県)
6月[一学期]
ある日の昼
生徒会室にて
四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純と遠藤惣四郎と裏井沢楓の五人がいて生徒会役員は会議をしていた。
四豊院奏は前回の心霊現象の検証データを自分の魔法専用パソコンにレポートとして作成していた。
①「ふ~ん ふん ふん ふ~ん~~」
四豊院奏は上機嫌で鼻歌を歌いながら作業をしていた。
②「……」
③「……」
④「……」
⑤「……」
三葉院将和と三葉院真純と遠藤惣四郎と裏井沢楓の四人はそんな四豊院奏の行動を眺めていた。
①「よ~し これで終わり~っと」
②「ん? 終わったのか?」
①「終わりだよ」
③「…それにしてもよくあの幽霊を退治できたわね。」
④「そうだな さすがと言うべきか」
⑤「……」
①「いやぁ 皆の協力のおかげだよ ありがとうね」
③「そういえば あの二人も奏に感謝していたわね …ありがとう……て」
女子生徒Aと女子生徒Bはあの出来事の後に四豊院奏たち五人に感謝の言葉を述べておりその後も普通に通学している。
②「へぇ~ そうか その後 あの二人の調子はどうだ?」
③「特に問題ないそうよ」
②④「そうか」
①「それはよかったよ」
⑤「…ふむ」
②「そういえば第三高校の行方不明の生徒たちはどうなったのかい?」
③「無事だったそうよ 奏があの幽霊を封印した後で行方不明の子たちが突然 現れたらしいわよ。」
②「ほう そうか」
④「…やはり連動していたのか?」
⑤「……」
③「…多分ね」
①「でも "アイヅチ" による一連の心霊現象は無事全部解決したと思うよ。」
②「なら 次の心霊現象の研究かい?」
①「…そんなに次々ときたらさすがのボクでももたないよ…」
②「そうか なるほどな」
③「ふぅ~ん そうよね~」
④「…ははは…」
⑤「…ふむ」
すると…
…ガチッ!
生徒会室のドアが開いた。
①②③④⑤「!?」
一人の女子生徒が生徒会室にやって来た。
その女子生徒は端整な顔だちで意外に可愛い外国の少女である。
⑤「…ん?」
③「…あら カレンちゃん」
彼女の名前はカレン・ウォールドヴァーゼと言いドイツからの留学生である。
⑥「どうもです」
②「…おう」
④「…どうも」
①「……」
③「今日はどうしたの? カレンちゃん」
⑥「はい 生徒会の皆さんにご相談をと思いまして…」
③「え? 何?」
①「…相談?」
⑤「……」
⑥「はい 友達から聞いたのですが…」
③「…うん それで?」
①「へぇ~ それで?」
⑥「はい 体育館裏の女子更衣室の中にあるシャワー室で何者かが覗くそうです。」
第四高校の体育館の裏には男女別の結構大きい更衣室があり更衣室の中には複数のシャワー室(個室)も完備されている。
②「…はぁ?」
④「…覗く?」
⑤「…?」
カレンは語り始めた。
⑥「…友達の彼女が言うには部活で夜までかかってしまいその疲れた身体をシャワーで汗ごと洗い流そうとシャワー室に入ったそうです。」
①「…うん」
③「…それで?」
⑥「はい 彼女ともう一人の部員がシャワー室でシャワーを浴びていたそうですがシャワーを浴びているうちに誰かの視線を感じたそうです。」
⑤「…ふむ」
②「…視線?」
④「二人共かい?」
⑥「はい 二人共です 最初は男子生徒が覗きに来たのかな? …と思ったそうです。」
③「え? 違うの?」
①「…おそらく生徒はもういないんじゃない?」
②「もう 夜遅い時間だからかい?」
⑥「はい 後で調べたそうですが夜遅くまでいた彼女たち二人以外の生徒はもう帰宅していたそうです。」
②「それじゃどこかの変質者が不法侵入してきて覗きでもしたか?」
④「それはもう犯罪では?」
⑤「…それでその変態犯人はその後 どうなった?」
⑥「……」
カレン・ウォールドヴァーゼはうつむいた。
①「…?」
③「どうしたの? カレンちゃん?」
⑥「…誰もいなかったそうです。」
②③④「えっ!?」
①⑤「…?」
⑥「勿論 彼女たち二人は視線を感じた後ですぐに周りを見回したそうですし外も確認したそうです。」
①「…でも誰もいなかった……と」
⑥「はい 犯人が逃げるにしても気配や音などでわかると思いますが…」
②「…なかったのか…」
⑥「…はい」
①「うぅ~ん」
④「…そうか」
③「監視カメラはどうなの? 確かあの辺りの外には監視カメラが設置しているわよね?」
⑥「はい 友達も守衛さんに確認してもらいました… …そうです」
⑤「…でも誰も映っていなかった…」
⑥「…はい」
①「うぅ~ん」
③「ふぅ~ん」
⑤「…ふむ」
⑥「これって気のせいなんでしょうか?」
①②③④⑤「……」
⑥「……」
……沈黙が続く。
①「うぅ~ん 今の話しだけではなんとも……」
②「視線はあるのに覗いた者の気配も音も姿もなかった…か…」
③「難しいわね~」
④「もう少し様子を見てはどうだろう…」
⑤「…そうだな…」
⑥「…様子ですか?」
①「そうね 残念だけど情報が少なすぎるね。」
③「でもシャワー室は今まで通りに使ってね。」
⑥「判りました。 友達には気のせいだと伝えておきます。」
①「……」
②「…君は何か部活をしているのかい?」
⑥「いいえ 帰宅部です」
②「なら その友達に付き合ってみてそのシャワー室にいると本当に視線を感じるのかどうか確かめてみるか?」
⑥「…っ! いいんですか?」
⑤「…ふむ」
④「…なるほど」
①「……」
③「ええ いいわ 許可するわ」
⑥「はい 判りました ありがとうございます。」
カレン・ウォールドヴァーゼは一礼をした。
⑥「それでは失礼しました。」
…ガチッ!
カレン・ウォールドヴァーゼはドアを開けて生徒会室を出ていった。
①「……」
③「まさか今回も心霊現象なのかしら?」
②「えっ!? じゃあ 幽霊が覗き魔?」
④「…またか?」
⑤「まだ決まった訳ではない」
①「…そうね 様子見ね…」
生徒会役員はその後も会議を続けた。
…数日後
ある日の夜
女子更衣室にて
カレン・ウォールドヴァーゼの友達の女子生徒Cが所属している部活が夜遅くまでかかりようやく終わって女子生徒Cの友達で同じ部員の女子生徒Dと付き添いに来ていたカレン・ウォールドヴァーゼも一緒に体育館裏にある女子更衣室の中のシャワー室まで来ていた。
女子生徒Cと女子生徒Dはシャワーで部活で疲れた身体を汗ごと洗い流そうとしていた。
C「ふ~ん ふん ふん ふ~ん~~」
女子生徒Cは鼻歌を歌いながらシャワーを浴びていた。
D「はぁ~ 気持ちいい~~」
女子生徒Dも気持ち良さそうにシャワーを浴びていた。
⑥「……」
シャワー室の外(女子更衣室内)ではカレン・ウォールドヴァーゼが不審者がいないか見張っていた。
C「ねぇ カレンちゃん」
女子生徒Cがカレンに話しかけた。
⑥「…ん?」
C「やっぱり 気のせいだったのかな~?」
⑥「う~ん」
C「まぁ あまり 気にしない事だよね~」
D「そうだよね 視線なんか感じないし~」
女子生徒Dが話しに割り込んできた。
⑥「そうかな~?」
すると突然…
カレンと女子生徒Cと女子生徒Dは自分たちを見つめる強い視線を感じた。
⑥「!?」
CD「!?」
⑥「何っ!?」
カレンは周りを見回した。
しかし誰もいなかった。
C「何っ!? 嘘?」
D「なんなのよ これ?」
⑥「確かに視線を感じるのに…?」
カレンはふっと天井を見上げた。
⑥「えぇっ!?」
カレンは天井を見て驚愕していた。
女子生徒Cと女子生徒Dも天井を見上げた。
CD「…!?」
三人が見上げた天井には大きな眼だけの幽霊が天井に引っ付いていた。
C「キャアーーーッ!」
D「キャアーーーッ!」
女子生徒Cと女子生徒Dは悲鳴をあげて慌ててシャワー室を飛び出てタオル一枚を濡れた身体に巻いた状態で女子更衣室を飛び出て行った。
⑥「……?」
カレンは何か違和感を感じながらも女子生徒Cと女子生徒Dの後を追う様に女子更衣室を飛び出て行った。
女子生徒Cと女子生徒Dとカレンは暗闇の体育館の中を走り抜き校舎内に入り廊下を走り抜き生徒会室に向かって行った。
一番後ろを走っていたカレンは途中で数回 自分の背後を確認したがあの「眼の幽霊」が追ってくる気配がなかった。
生徒会室にて
四豊院奏と三葉院真純の二人だけが夜遅くまで残っていて後片付けをしていた。
そこに全裸にタオル一枚巻いた状態の女子生徒Cと女子生徒Dと制服姿のカレン・ウォールドヴァーゼが生徒会室の中に飛び込んできた。
①③「!?」
奏と真純はビックリしていた。
C「はぁ はぁ はぁ…」
D「はぁ はぁ はぁ…」
⑥「……」
女子生徒Cと女子生徒Dは走り疲れていたがカレンは大丈夫そうだ。
それを見た真純が動揺気味な言い方で女子生徒たちに話しかけた。
③「あっ! あなたたち 一体なんて格好をしているのよ!?」
奏は冷静な言い方で女子生徒たちに話しかけた。
①「…どうしたの?」
C「…あ あの て 天井に… め… めがあって… それで…」
女子生徒Cは気が動転してロレツが回っていない。
①③「…?」
⑥「あの… いいですか?」
三人の中で唯一落ち着いているカレンが今起きた出来事を四豊院奏と三葉院真純の二人に詳細に説明した。
③「…天井に大きな眼…?」
①「……」
⑥「はい」
D「はい 不気味で大きな眼がこちらを睨み付けていて…」
①「…瞳の色は?」
CD「…えっ!?」
⑥「…綺麗な翡翠色でした」
③「…!」
①「なら 平気だね」
CD「…えっ!?」
⑥「…?」
①「その幽霊はおそらく "ヒトツメヴァリィウス" と言う名の幽霊だね」
⑥「… "ヒトツメヴァリィウス" …?」
C「…長い名前です…」
D「なんだか強そうな名前の幽霊ですね。」
①「そうだね でも実際には無害な幽霊だよ。」
CD「えっ!? そうなんですか?」
⑥「…!」
①「まぁ 見た目は確かに凄いけど天井や壁に引っ付いていてただ見ているだけで他には何もしてこないから…」
⑥「…そうなんですか…」
C「…でもさすがに怖いよね…」
D「…うん あれは夢に出そう…」
①「なら 浄霊しておく?」
⑥「できるんですか?」
①「できるよ」
C「それなら…」
D「…お願いします」
①「わかったよ」
③「なら あなたたちも一緒に来なさい」
CD「えぇーーっ!? そんなーーっ!?」
③「あなたたち ずぅーっとそのままでいるつもり?」
CD「…」
⑥「…」(確かに…)
①「それじゃ行こうか」
四豊院奏と三葉院真純とカレンと女子生徒Cと女子生徒Dの五人は生徒会室を後にした。
女子更衣室にて
体育館裏にある女子更衣室に四豊院奏と三葉院真純とカレン・ウォールドヴァーゼと女子生徒Cと女子生徒Dの五人が到着した。
①③⑥「……」
CD「……」
五人は天井を見上げた。
そこには大きな眼だけの幽霊 "ヒトツメヴァリィウス" が天井に引っ付いたままの状態でこちらの方をじぃーっと見ていた。
C「まだ いたよ…」
D「…本当…」
⑥「…綺麗な瞳…」
①「……」
三葉院真純は女子生徒Cと女子生徒Dに話しかけた。
③「あなたたち まだシャワー浴びるの? 浴びないのなら風邪ひいちゃうから早く服を着なさい。」
CD「はい!!」
⑥「……」
①「……」
女子生徒Cと女子生徒Dはタオルで素早く身体を拭き下着や制服を着てもとの普通の女子高生に戻った。
四豊院奏は左手を前に出してこう言った。
①「 "ヒトツメヴァリィウス" よ ボクの所に来なさい!」
すると「眼の幽霊」 "ヒトツメヴァリィウス" は天井から壁へ壁から床へと移動して四豊院奏の影をつたって左手の掌に収まる大きさの眼になって左手の掌に引っ付いた。
①「悪いけど キミがいるとここ使えないんだよ キミを死界に送るよ」
「眼の幽霊」 "ヒトツメヴァリィウス" は2回 瞼を閉じて頷いた。
①「じゃあ バイバイ」
四豊院奏は魔法を発動した。
【補助魔法】
《死界反射送魂》を使用
「眼の幽霊」 "ヒトツメヴァリィウス" は消えてしまった。
どうやら死界に還って行った様だ…
①「ふう 終わったよ」
女子生徒Cと女子生徒Dは周りを見回した。
CD「…」
①「大丈夫 他に霊的気配は感じないから…」
⑥「……」
③「うん さぁ 終わったわよ もう夜遅いから早く帰りなさい。」
CD「はい」
⑥「はい」
①「…じゃあね」
こうしてカレンと女子生徒Cと女子生徒Dの三人は下校帰宅した。
そして四豊院奏と三葉院真純の二人は生徒会室の後片付けと戸締りをして下校帰宅した。
第二の心霊現象【覗き魔】を見事 解決できた。
―――――――
『今回の怪談』
「No.2」【覗き魔】
時間:夜
場所:更衣室や脱衣場などの着替え場(女性限定)
外見:大きな眼だけ(一つ眼)
現象:天井や壁などに引っ付いていて女性の裸や下着姿をただじぃーっと見つめるだけで他は何もしない。
結果:第四高校では解決済み。
備考:学校に限らずあらゆる更衣室や脱衣場などに出没している。
恐怖度:★★★☆☆
危険度:★☆☆☆☆
『今回の幽霊』
【ヒトツメヴァリィウス】
『眼』の一種。
主に夜に更衣室や脱衣場などに出没する「眼の幽霊」。
何故かは知らないが天井や壁などに引っ付いていて女性の裸や下着姿を見るだけでそれ以上の事は何もしてこないし男性の所には出現しない。
外見は大きな一つ眼で瞳の色は透き通った翡翠色(安全な瞳)。
大きさは様々で中には約2m近いのもある。
性格はものわかりが良く幽霊に正義という概念があるのか不思議だが正義感が強く本当かどうかは定かではないが以前 鏡の中に連れ去られた少女たちを救出した逸話が残っている。
第四高校では四豊院奏によって死界に還してあげた。
【登場人物紹介】
[簡易型]
[カレン・ウォールドヴァーゼ]
年齢:15歳
ドイツ出身
日本魔法学部第四高校の女子生徒(1年生)
ドイツからの留学生で両親と一緒に日本に来ていて暮らしている。
後に風紀委員に所属する。
『四豊院奏の魔法』
四豊院奏の二つ目の魔法を紹介する。
【補助魔法】
《死界反射送魂》
(??魔法)
[霊力が必要]
幽霊を死界に送る魔法。
これは浄霊と呼ばれる行為を奏は魔法化したモノだ。
(四豊院奏の通常魔法)
登場人物紹介
三葉院 真純
(さんよういん ますみ)
年齢:16歳
身体:167cm
誕生日:9月28日(天秤座)
3サイズ:B88/W58/H90
宮城県出身
趣味:ショッピング
在籍:2年生(2年A組)
所属:生徒会会長.心霊現象研究会部
家族構成:父.母.双子の弟
一人称:[私]
日本魔法学部第四高校の女子生徒。
成績優秀・運動抜群・容姿端麗・性格良好の四拍子揃った優等生の少女。
魔法実技(技術)もかなり優秀である。
名家・三葉院財閥のご令嬢で三葉院将和の双子の姉である。
その容姿は『柊沢綾花』や『白橋雪姫』に匹敵する程の美貌の持ち主でスタイルも抜群である。
性格は温厚で他のお嬢様特有な喋り方をしない誰とでも普通に接するフランクなお嬢様。
名家・三葉院財閥の本家から第四高校が近くでそこから学校へ徒歩通学している。
既に生徒会に所属していて会長に就いている。
格闘能力はないが攻撃魔法は近接型・遠距離型共に強力であり充実している。
『心霊現象研究会部』の部員ではあるが四豊院奏の様な自分専用の対幽霊用の魔法は所有していない。
陸堂兄弟とは魔法学校に入学する以前から面識があり陸堂瑛には尊敬と好意を持っている。
『霊感』・『霊力』はある程度持っていて他の者よりも比較的に強いがやはり四豊院奏や陸堂瑛には劣る。