39.第四高校編[一学期]【後ろから:2】
怖い話 怪談『後ろから』の [後編] です。
四豊院奏の初陣をどうぞお楽しみ下さい。
「そろそろ仕上げね!」
【アブソリュート=ゼロ】
第四高校編[一学期]
【後ろから】
登場人物
①四豊院 奏(2年A組)
②三葉院 将和(2年A組)
③三葉院 真純(2年A組)
④遠藤 惣四郎(2年B組)
⑤裏井沢 楓(2年C組)
日本魔法学部第四高校(宮城県)
5月[一学期]
女子生徒Bの姿が消えた後で四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純と女子生徒Aの四人は生徒会室に戻っていた。
ある日の放課後
夕方の生徒会室にて
四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純と女子生徒Aの四人は話し合っていた。
A「…」
①「……」
②「……」
③「……」
落ち着いてきた女子生徒Aは昨日から起きた出来事を四豊院奏たち三人に詳細に説明した。
①「…」(なるほど やっぱりそうか!)
②「…奏よ 本当に何か対応策があるのか?」
③「そうよ 何か自信有り気な台詞を言っていたけど…」
A「そうよ 友達を救出できるの?」
①「…」(できる!!)
②「…ところで奏よ "アレ" の正体とは一体 何なんだ?」
①「 "アレ" は『アイヅチ』の仕業だよ」
②「…はぁ?」
③「…えっ!?」
A「…『アイヅチ』とは…?」
①「…その前に一つ疑問があるの」
②③「…疑問…?」
A「…?」
①「…そう 何故 一人だけなのか? …と言う事だよ」
②③「…えっ!?」
A「…?」
①「ねぇ 確か前日も二人共 声を聞いたよね?」
四豊院奏は女子生徒Aに話しかけた。
A「…え? ええ そうよ 確かにあたしも声を聞いたわ」
①「なのに 消えたのはあなたの友達だけであなたの方は無事だった…」
A「…た 確かにそうだけど…」
③「奏 まさか彼女が何かしたと言うの?」
①「違うよ そう言う事じゃあないよ」
②「…?」
A「…?」
③「じゃあ 一体どういう事なのよ?」
①「二人共 声を聞いたのならあなたの方が先に姿が消えてもおかしくないよね。」
A「えっ!?」
②「確かにそうだが…」
③「答えは簡単よ 二人共じゃ大変だから一人ずつ連れ去って行こうとしたのよ。」
A「…な なるほど…」
②「…ほう そうか…」
①「……」
③「だけどもう一人を連れ去ろうとしたら私たちが早く駆け付けてきたから連れ去れずに諦めた。」
②「おっ そうか そう言う事か」
A「…」
③「どお? 奏」
①「うぅ~~ん 違うと思う…」
③「えぇー? なんでー?」
①「だいたい幽霊なんだから二人同時に連れ去るぐらいできるでしょ?」
②「あっ!? そうか?」
A「…むっ!」
①「むしろ一人ずつってどんな三流幽霊よ?」
③「…じゃあ 奏はどう推理するの?」
①「これには "仕掛け" があるの それで一人ずつ "しか" 連れ去れないと思うよ…」
②「…はぁ?」
A「… "仕掛け" …?」
③「それはどういう事よ? …奏」
①「…相づちよ!」
②③「…?」
A「あっ!? 相づち…?」
①「そう! そうだよ!」
A「…」
女子生徒Aは3回とも女子生徒Bの後ろから声がして相づちされた事を思い出していた。
A「あっ! あぁーーっ!」
女子生徒Aは大声を出した。
③「な 何よ? うるさいわ!」
②「何だ!? うるさいぞ!」
A「そうだよ 奏ちゃんの言う通りだよ!」
①「…でしょ?」
A「なるほど そう言う事か!」
②③「…うん?」
三葉院真純と三葉院将和はキョトンとしながらお互いの顔を見合わせた。
四豊院奏は女子生徒Aに話しかけた。
①「ねぇ あなたは友達の生年月日や血液型がわかる?」
A「ええ わかるわ」
①「後で教えて?」
A「うん わかったわ」
①「後は友達が普段から身に付けている物も用意してもらえる?」
A「わかったわ 用意するわ」
①「じゃあ 明日の夕方 早速 その幽霊を検証も兼ねて討伐するよ」
③「えっ!? もうできるの? 大丈夫?」
②「ちょっと危険じゃないか? …奏」
①「余裕~ まぁ 見ててよ」
A「…」
①「…将和は惣四郎と楓を呼んでおいて あの二人には早速 明日は働いてもらうよ」
②「ああ わかった」
①「…真純は例の実験魔法の使用準備をしておいて」
③「ええ わかったわ」
①「二人共 お願いね」
四豊院奏たち四人は明日の幽霊の討伐準備の為 今日はもう下校帰宅した。
翌日の放課後
夕方の生徒会室にて
生徒会室には四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純と女子生徒Aと遠藤惣四郎と裏井沢楓の六人がいた。
四豊院奏は女子生徒Aに女子生徒Bの生年月日や血液型を教えてもらっていて女子生徒Bの「氏名」・「年齢」・「生年月日」・「血液型」を記入した紙と女子生徒Aが用意した女子生徒Bのハンカチと四豊院奏が用意した「黒いお札」を四豊院奏が用意した "黒い箱" の中に入れた。
⑤「……」
裏井沢楓は四豊院奏の行動をじぃーっと見ていた。
①「これでよし!」
②「…?」
A「…?」
④「…?」
③「ねぇ 奏~ それな~に?」
①「ん? ああ これは "騙箱" だよ」
③「… "騙箱" …?」
②「なんだ それ?」
A「…うん?」
①「これで幽霊を騙すんだよ」
②「何?」
③「騙す?」
A「騙すって…?」
④「…一体 何をする物なんだ? それ…?」
⑤「……」
①「えぇーと 面倒臭いから詳しい説明は省略させて」
④「…そうか」
①「まぁ どうなるかは実際に見ていればわかるよ」
②③④「ふぅ~ん」
A「…」
⑤「……」
①「それじゃ 将和と真純の二人は昨日の様にボクと一緒に廊下を歩いてもらうよ」
②「おう」
③「ええ わかったわ」
①「他の者たちは階段の踊り場で待機だよ」
④「わかったよ」
⑤「ああ わかった」
A「うん」
①「じゃあ 皆 後は手筈通りにお願いね!」
③「ええ」
②④「おう」
⑤「ああ」
A「…」
四豊院奏たち六人は例の廊下の所まで向かって行った。
校内廊下にて
廊下の一番端には階段があり踊り場がある。
階段の踊り場には遠藤惣四郎と裏井沢楓と女子生徒Aの三人が待機していた。
四豊院奏は廊下の一番端の真ん中に "黒い箱" を置いた。
そこから少し進んだ先の廊下に四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純の三人が昨日と同様に話しながら歩いていた。
会話は完全アドリブである。
①「それじゃ行くよ」
③「ええ 昨日もまた 生徒の姿が消えたらしいわよ…」
②「えっ!? また消えたのか? どこかに連れて行かれたのかよ…」
①「そうみたいだね」
「 … そ う ね … 」
①②③④⑤「!?」
A「!?」
…背後から突然 声がして…
四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純の三人は後ろを振り向いて見た。
しかし誰もいなかった。
遠藤惣四郎と裏井沢楓と女子生徒Aの三人は階段の踊り場から隠れながら見ていた。
④「なるほど 確かに声がしたが姿が視えない…か…」
⑤「…ああ まさに視えない霊か…」
A「…ここからね…」
②「…」(やはり視えないが…)
③「…」(…来たわね)
①「やはり来たね」
「 … き た よ … 」
…背後からまた声がした…
その瞬間…
①「いまよ!」
四豊院奏が合図を出した。
③「行くわよ!」
②④⑤「おお!」
遠藤惣四郎と裏井沢楓の二人が飛び出して来て三葉院将和と三葉院真純と遠藤惣四郎と裏井沢楓の四人が「視えない霊」を中心に廊下の四方の隅に散って四人同時に魔法を発動した。
【防御魔法】
《霊魂封印結界四陣》を使用
「視えない霊」の動きを止める事に成功した。
するとその「視えない霊」がその姿を現した。
その姿は足の無い白い人型をした幽霊が「ぎしゃぁーっ!」と叫びながら動けない身体をジタバタさせながらなおも四豊院奏を襲おうとしていた。
①「行くよ!」
四豊院奏は魔法を発動した。
【攻撃魔法】
《ゴーストマザークリムゾン》を使用
「長身で紅い女性の幽霊」が四豊院奏から出てきてその「白い幽霊」を抑え込み廊下の一番端にある "黒い箱" の方まで押し込んだ。
すると "黒い箱" の上からなんと女性生徒Bが現れた。
それを見た「白い幽霊」は半ば混乱しながら「ぎしゃぁーっ!」と叫びながらその女子生徒Bに掴まれて「女性の幽霊」に押し込まれながら女子生徒Bに引きずり込まれてしまい「白い幽霊」は女子生徒Bと一緒に "黒い箱" の中に入ってしまって封印された。
一連の動作はまさに一瞬の出来事であった…
①「ふう これで終わったよ」
「女性の幽霊」はスゥーと消えてしまった。
四豊院奏は "黒い箱" を手に取った。
②③④⑤「……」
A「…」
するとなんと本物の女子生徒Bが廊下の真ん中にスゥーと現れた。
A「あっ!?」
B「…あれ? あたしは一体 何を…?」
どうやら女子生徒Bは無事だったようだ。
A「うわぁーん よかったよ~~」
女子生徒Aは泣きながら女子生徒Bに抱きついた。
B「えっ!? えっ!? 何っ!?」
女子生徒Bは困惑していた。
⑤「…ふむ」
④「なるほど 勉強になったよ」
②「さすがにやるな 奏」
③「お見事! 奏」
①「さぁ もう帰ろうよ」
③「ええ」
②④⑤「ああ」
A「うん」
B「…?」
四豊院奏たち全員は下校帰宅した。
こうして「白い幽霊」 "アイヅチ" の退治に成功した四豊院奏たち五人は女子生徒Bを無事救出できた。
四豊院奏は "黒い箱" を持ち帰り処分した。
第一の心霊現象【後ろから】の謎を見事 解明・解決できた。
―――――――
『今回の幽霊』
【アイヅチ】
『神隠し』の一種。
学校校内の廊下で夕方によく出没する地縛霊である。
自殺者の霊魂が複数融合したモノで視えない姿で標的の背後に接近し3回 相づちした時に標的を3回後ろに振り向かせる事ができれば死界へと連れ去る事ができる。
ただし連れ去られた時から3日以内に "アイヅチ" を退治する事ができれば連れ去られた者たちはもとの現世に戻れる。
普段は姿が視えないが能力を封じられると「足の無い白い人型の幽霊」(白い幽霊)として姿を現す。
性格は意外に臆病で予想外の出来事が起こると混乱する事がある。
四豊院奏に敗北した事でもう悪さをしないと誓わせて死界に還してあげた。
『使用魔法の紹介』
今回の魔法は単独での発動は不可能である。
四豊院奏の言う実験魔法の一つである。
【防御魔法】
《霊魂封印結界四陣》
(重力&吸収魔法)
[霊力が必要]
四人の使用者が対象者(人・霊などは問わず)を中心に四隅に配置して発動させる事で対象者の「動き」と「能力」を封じ込める事ができる魔法。
第四高校の生徒ならほぼ使用できるはずの簡単な基本的魔法なのだが…?
(第四高校生徒の通常魔法)
【漆黒の騙箱】
別名「騙形代」
呪詛返しの一種。
対象者の身代わりになる黒い箱。
対象者の「氏名」・「年齢」・「生年月日」・「血液型」を記入した紙と対象者が身に付けていた物と「黒いお札」を一緒に「黒い箱」の中に入れる事で『漆黒の騙箱』が完成する。
幽霊や呪いなどがこの箱の上から出現する対象者の偽者を本物ではないかと勘違いして襲おうとしたところをこの箱の中に封じ込める。
四豊院奏が好んで使用する呪詛返しの一つである。
(※創作の為 実際には作動しません! 絶対にマネをしないで下さい。)
登場人物紹介
三葉院 将和
(さんよういん まさかず)
年齢:16歳
身体:175cm
誕生日:9月28日(天秤座)
宮城県出身
趣味:麻雀(陸堂瑛に教えてもらっている)
在籍:2年生(2年A組)
所属:生徒会副会長.心霊現象研究会部
家族構成:父.母.双子の姉
一人称:[俺]
日本魔法学部第四高校の男子生徒。
成績・運動・魔法共に大変優秀である。
名家・三葉院財閥の御曹司で三葉院真純の双子の弟である。
外見は意外と格好が良く女子生徒からよくモテる。
性格は人見知りが激しく極度の緊張とあがり症であるが一度 面識を持つとフランクに接してくれる。
名家・三葉院財閥の本家から第四高校が近くでそこから学校へ徒歩通学している。
既に生徒会に所属していて副会長に就いている。
格闘能力は高く攻撃魔法は近接型・遠距離型共に強力であり充実している。
『心霊現象研究会部』の部員ではあるが四豊院奏の様な自分専用の対幽霊用の魔法は所有していない。
陸堂兄弟とは魔法学校に入学する以前から面識があり彼らに色々とフォローしてもらっている。
『霊感』・『霊力』はある程度持っているが当然 四豊院奏や三葉院真純や陸堂瑛たちよりは弱い。