38.第四高校編[一学期]【後ろから:1】
怖い話 怪談『後ろから』の [前編] です。
四豊院奏の初陣をどうぞお楽しみ下さい。
「さぁ 皆 行くよ!」
【アブソリュート=ゼロ】
第四高校編[一学期]
【後ろから】
登場人物
●第四高校
①四豊院 奏(2年A組)
②三葉院 将和(2年A組)
③三葉院 真純(2年A組)
④遠藤 惣四郎(2年B組)
●第七高校
⑤陸堂 翼(2年B組)
⑥陸堂 瑛(2年B組)
●第五高校
⑦葉月 恋奈(1年A組)
日本魔法学部第四高校(宮城県)
5月[一学期]
ある日の放課後
夕方の生徒会室にて
生徒会役員が会議をしていた。
③「……」
④「……」
②「…はぁ…」
①「…ふう…」
③「えぇっと それでは次は…各部活の部費の予算についてなんだけど…」
④「…ああ それについては… それがこれで…」
②「…ほぉ なるほど そういう事か…」
①「…へぇ~ そお?」
④「これでまとめよう」
③「うん なるほど それならそれで委員会に提出しましょうか?」
②「…ああ それでいこう」
④「…ああ わかった」
③「じゃあ それで…」
①「…ふう… これで全部 終わりかな…?」
③「…ところで将和 裏井沢くんの調子はどお?」
②「…え? 楓?」
③「…そう」
②「…ああ いいんじゃないかな…? 調子は良さそうだよ」
③「…そお?」
④「んー 彼も頑張っているようだな 結構強いし…」
①「まぁ 良かったんじゃない」
③「…えぇ~と じゃあ 次の議題はー…」
②「……」
その後も生徒会役員は会議を続けた。
和歌山県の陸堂家の自宅
ある週末の夜[遊戯室]
陸堂瑛は近所のおじさんたちと麻雀をしていた。
…カチャッ!
……牌の音がする……
C「……」
D「……」
…トン!
E「リーチ!」
C「おお?」
D「お? きたなぁ…」
E「ふふん さぁ いくぞ!」
…トン!
⑥「…リーチ!」
D「何~?」
E「…追っかけかよ」
C「お? きた きたぁー」
…カチャッ!
⑥「…ツモ!」
E「あ~ぁ アガッたのかよ…」
C「ちぃっ!」
D「マジで早いよ…」
⑥「……」
その後も陸堂瑛と近所のおじさんたちは麻雀を続けていた。
陸堂家の霊力管理調整室
陸堂翼は葉月恋奈の霊力を正常に作動できるように調整していた。
葉月恋奈はバスローブを着た状態でベッドに眠っていた。
⑦「……」
⑤「…もう終わりましたよ 恋奈ちゃん」
⑦「…あっ はい!」
⑤「…霊力は正常ですね 後は他の能力も調整しておきました。」
⑦「ありがとうございます。」
⑤「…今日はもう遅いので泊まっていきなさい。」
⑦「はい 判りました。」
⑤「では おやすみなさい」
⑦「はい おやすみなさい」
⑤「……」
葉月恋奈はいつもの客室で休んでいた。
陸堂家のリビング
陸堂瑛が既に居て後から陸堂翼がやって来た。
⑤「……」
⑥「おっ もう終わったのか? …翼」
⑤「はい」
⑥「そうか お疲れ」
⑤「はい 瑛の方も終わりましたか?」
⑥「ああ もう帰って行ったよ。」
⑤「…そうですか」
⑥「……」
陸堂兄弟はその後もお茶を飲みながら寛いでいた。
日本魔法学部第四高校
ある日の放課後
夕方の校内廊下にて
二人の女子生徒が話しながら歩いていた。
A「…はぁ 今日も遅くなったわね」
B「ええ 今日はこれからどこかに行く?」
A「じゃあ いつもの所に行く?」
B「いいね~ そうしようかなー」
「 … い い ね … 」
A「えっ!?」
B「えっ!?」
…背後から突然 声がして…
二人の女子生徒は後ろを振り向いた。
しかし誰もいなかった。
A「い 今 後ろで声がしたよね?」
B「えっ? ええ 確かに聞こえたわ…」
A「…ねぇ は 早く行こ」
B「…ええ そうね…」
「 … そ う ね … 」
A「キャァーーーッ!」
B「キャァーーーッ!」
また後ろから声がして二人の女子生徒は走って逃げて行った。
しかし後ろには誰もいなかった。
翌日
日本魔法学部第四高校では早速 昨日の事が噂になっていた。
2年A組の教室
二人の女子生徒が四豊院奏に昨日の事で相談していた。
①「……」
A「奏ちゃん 昨日も出てきたよ…」
B「あたし もう ビックリして寝れなかったよ…」
①「うぅ~~ん 後ろから…?」
A「うん」
B「そう 後ろから女性のかすれた声で相づちしてきたのよ…」
A「でも 後ろを振り向いても誰もいなくて…」
①「うぅ~~ん 後ろから…ねぇ~…」
A「もしかして信じてない?」
B「…?」
①「いやぁ ボクが今まで体験した恐怖体験と合うものがないか検索しているんだよ…」
A「…」
B「…」
③「それってもしかして 怪談 "後ろから" かしら?」
後ろから三葉院真純が現れた。
AB「会長!!」
①「真純」
③「…ふふふ…」
①「な~に? その "後ろから" て?」
③「…ああ 結構有名だよ 第三高校でも出たって噂だしね」
①「それ マジなの?」
③「ええ」
AB「えぇーーっ!?」
①「ふぅ~~ん じゃあ その対応策は?」
③「知らないわよ」
①「それじゃ駄目じゃん」
③「えへへ」
①「しゃあない 放課後 早速 調査ね」
A「…えっ?」
B「あたしたちも同行するの?」
①「その必要はないよ」
③「心配ないわ 私たち『心霊現象研究会部』に任せて!」
①「……」
A「それでは…」
B「よろしくお願いします」
①「…うん」
二人の女子生徒は立ち去った。
①「ちょっと 真純 安請けし過ぎよ? どうするつもり…?」
③「あら? もしかしてビビッたちゃんなの?」
①「…何 それ?」
その日の放課後
夕方の校内廊下にて
『心霊現象研究会部』のメンバーでもある四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純の三人は昨日 二人の女子生徒が実際に体験した場所に来ていた。
①「確か ここね」
②「なるほど 夕方の廊下は夕陽があるとはいえ薄暗いな…」
③「確か ここで話しながら歩いていると…」
①「…後ろから…」
「 … こ え が … 」
①②③「!!」
…背後から突然 声がして…
三人同時に後ろを振り向いた。
しかし誰もいなかった。
①「…!?」
③「どこ!? どこにいるの!? 悪ふざけが過ぎるわよ!! 出てきなさい!!」
三葉院将和は周りを見渡した。
②「これは気配がまるで感じない?」
しかしそこには誰もいなかった。
①「……」
③「これってどういう事なの?」
②「…視えないのか…?」
①「…一旦 戻るよ…」
②「ああ」
③「ええ」
生徒会室にて
四豊院奏と三葉院将和と三葉院真純は生徒会室に戻っていた。
①「……」
②「なぁ 真純 第三高校でも確か同じ様な事が起きているんだよな?」
③「ええ 確か夕方 2回 背後から声をかけられると姿が消えてしまうのよ…」
②「…2回?」
③「ええ そう 1回目はただ声をかけられるだけだけど… 2回目の声かけでその人は姿が消えてしまうのよ。」
②「なんだ それ?」
③「第三高校ではここ数日で数人の生徒の姿が消えていて今でも家族や警察が捜索しているんだって」
②「ふぅ~~ん」
①「…」(姿が消える? 確かに姿を消す魔法は有るけどこんな長時間発動し続ける事は不可能… だとすると本当に…?)
すると突然…
A「キャァーーーッ!」
女子生徒の悲鳴が聞こえた。
①②③「!?」
四豊院奏たち三人は生徒会室を飛び出して悲鳴が聞こえた場所まで走って向かって行った。
そこには暗闇の廊下で一人の女子生徒が尻餅をついて震えていた。
四豊院奏たち三人が走ってやって来た。
A「…」
①「どうしたの?」
A「か 奏ちゃん ま また後ろから声が… そ そしたら 友達の首に白い両腕が… そ それで消えちゃった…」
③「…えっ!?」
どうやら友達の女子生徒Bの姿が消えてしまったようだ。
①「…えっ!?」
②「…消えただと…?」
三葉院将和は周りを見渡したけど誰もいなかった。
A「あわわわ… どうしよう 次はあたしだよ」
①「…」(…消えた? 本当に…?)
③「じゃあ 声を聞いた私たちも…?」
②「…ぐっ!」
①「…」(…一体 これは…?)
A「ど どうしよう… あたし…」
③「そ そうだわ 瑛様に応援を頼みましょう」
②「そ そうだな 彼ならこんな『神隠し』みたいな現象でも解決できるかもしれないよな。」
①「…??」(…『神隠し』…?)
……四豊院奏は閃いた!……
①「…!!」(そうか! そういう事なのか!)
③「…将和 瑛様に連絡を…」
②「…あ 瑛の連絡先は…」
①「待って!」
②③「えっ!?」
A「…!?」
①「わかったよ こいつの正体が!」
③「えっ!?」
②「本当か?」
①「うん そしてその対応策もあるよ 瑛に連絡するのはその後でも遅くはないよ。」
②③「…何っ!?」
A「それは本当なの?」
①「うん ボクに任せて!」
四豊院奏が第一の心霊現象 [後ろから] の謎に挑む。
つづく
―――――――
『今回の怪談』
「No.1」【後ろから】
時間:夕方(放課後)
場所:校内廊下
外見:視えないモノ
現象:2回 背後から声をかけられてしまい 2回目に声をかけられた時にどこかに連れて逝かれてしまう。(姿が消える)
結果:解決していない。
備考:これはこの魔法世界に古くから伝わる結構有名な "学校の怪談" の一つ。
恐怖度:★★☆☆☆
危険度:★★☆☆☆
【登場人物紹介】
[簡易型]
[三葉院 真純]
年齢:16歳
宮城県出身
日本魔法学部第四高校の女子生徒(2年生)
三葉院将和の双子の姉。
名家・三葉院財閥のご令嬢。
現在は生徒会の会長をしていて「心霊現象研究会部」にも所属している。
[遠藤 惣四郎]
年齢:16歳
???出身
日本魔法学部第四高校の男子生徒(2年生)
父親が警察官で刑事をしている。
現在は生徒会の会計をしている。
[裏井沢 楓]
年齢:16歳
???出身
日本魔法学部第四高校の男子生徒(2年生)
プロボクサーである。
風紀委員に所属している。
(※登場していないが名前が出たので紹介する)
『四豊院奏の魔法』
四豊院奏の一つ目の魔法を紹介する。
【攻撃魔法】
《ゴーストマザークリムゾン》
(透過&特殊魔法)
[霊力が必要]
幽霊なので霊感や霊力が無い者には視えないのを前提で自分が所有している幽霊を操る事ができて敵に攻撃する事ができる。
奏はあくまでこれは魔法だと言い張っているのだが…
(四豊院奏の通常魔法)
登場人物紹介
四豊院 奏
(しほういん かなで)
年齢:16歳
身体:148cm
誕生日:9月13日(乙女座)
3サイズ:B76/W56/H79
岩手県出身
趣味:将棋.チェス.麻雀
在籍:2年生(2年A組)
所属:生徒会書記.心霊現象研究会部部長
家族構成:実父.義母.義妹
一人称:[ボク]
日本魔法学部第四高校の生徒。
性別は不明だが四豊院奏は普段から女子の制服を着ているので便宜上は「彼女」(女子)と言わせてもらう。
成績・魔法共に大変優秀であり雑学にも強い。
運動神経は未知数でどこまでが本気か解らない。
名家・四豊院財閥の "ご令嬢?" に属している。
外見は可愛い普通の女の子?である。
性格は幼少の頃からの逆境をはね返すだけの精神力を有しておりなおかつ集中力も高い。
後は "チビ" と言われると怒る。
第四高校の女子寮の隔離部屋に住んでいてそこから学校へ徒歩通学している。
格闘能力があり魔法力は凄く高く攻撃魔法は近接型・遠距離型共に非常に強力であり補助魔法も充実している。
幼少の頃に実母と死別しておりその頃から不思議な力に目覚め始めた。
父とは確執が強く疎遠となり後に再婚した義母・義妹とは相性があまり良くない。
陸堂兄弟とは魔法学校入学以前から面識がある。
生徒会書記でありながら心霊現象研究会部の部長でもあり『霊感』・『霊力』が極端に強く多くの心霊体験を経験しており対幽霊戦用の魔法も持っている天才の一人である。