40.B【黒い影:16】
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●【アナザーワールド.1】●
その後も色々な方面から、様々な作戦会議をしたけど、結局は何も思いつかずに、残念ながら地球の護り神〈アクナディオス〉の誘き寄せ作戦は、取り敢えずは保留となった。
また別の違う話し合いでは、"この少女をどうするか問題" であり、今回は一珂院恭と一珂院撩と一珂院翔の一珂院三兄弟が、例の謎の少女『暁恵』を引き取ることになった。
また学校に関しても、見た目がまだ小学生なので、何処かの小学校に編入させるべきか、早急に検討することになった。
ここで集合した全員が一旦別れることにした。
そこに名門の一珂院三兄弟が、四豊院奏と七照院燕彦と例の謎の少女『暁恵』を連れて六人で、また日本の東京都まで戻ってきた。
ちなみに男性死神『ミドウリン』は、一足早く東京都に戻っていった。
その途中で奏が撩に小声で話しかけてきた。
「ねぇねぇ、撩はさぁ~ ボクに一体何をさせたいのぉ~?」
「ああ、ある人間をほんの少しの間だけでいいから、生き返らせて欲しいんだ。 奏よ」
「あぁ、いつものアレね。 勿論、今回も高いわよぉ~? 撩」
「ああ、わかってるよ。 奏、礼はきっちりはずむ」
「ふ~ん、そう。 ちなみに誰を一時的に復活させたいのぉ~?」
「ああ、ある警察官の官僚のおじさんだよ。 彼には死ぬ前の声が聞きたいんだ。 最期の声がな。」
「へぇ~ そうなんだねぇ~ まぁ、なんとかしてみるよぉ~ その・お・じ・さ・まぁ~♪」
「ああ、頼むぞ。 奏よ」
「了解~♪ 撩」
などと…なにやらこの二人が、今回の例の謎の少女『暁恵』の件とは、全く違う別の話題を話してる。
一体何を話しているのかっ!?
ちなみに一時的に生き返らせようとしている者は、当然、あの警察庁長官の石橋氏であり、この奏の禁断の能力をもってして、一時的にほんの少しだけ生き返らせようとしてるのだ。 勿論、本当に生き返らせることが出来るのか、作者にもよく解らない…?
ここは日本の東京都の某所
ある日の夕方頃
とある某病院の地下の霊安室
ここには一珂院三兄弟と、一部の警察関係者と一部の医療関係者と男性死神『ミドウリン』に、四豊院奏と七照院燕彦の二人が合流した。
ちなみに例の謎の少女『暁恵』は、別室にて待機している。
この霊安室の中は、普段から薄暗くまた夕方頃もあって、さらに薄暗くなってる。 勿論、蛍光灯の明かりで、ある程度は明るいけど、それでもなかなか薄暗い室内になってる。
まさに何かが出そうな雰囲気。 よく怖い話の中に、病院の霊安室が取り上げられるけど、まさに何か怖さを感じる。
その室内の奥の方に、白いベッドがひとつだけあって、その上に仰向けで寝ているのが、警察庁長官の石橋氏の遺体である。
そこで奏が石橋氏の遺体を無言で見つめていた。
その石橋氏の遺体の周囲には、灰色のモヤのようなモノが、その遺体を包み込むように発生していた。
まだ死にきれていない。
奏がそう思った。
今までいくつもの死を見てきたことか。
彼女にはわかる。
彼の心残り・無念さ・まだとても成仏できないことを。
未だに彼の魂が、この周囲を漂っていることを、彼女は気づいていた。
しかし、彼はもう死んだ。
彼の魂は冥界に送らなければならない。
彼自身にも、それを教えなければならない。
これで最期なのだから。
ここで奏が撩に質問してきた。
「ねぇねぇ、撩。 彼の死因は……?」
「一応、心臓麻痺ってコトになってる。」
「……検死・解剖とかは……?」
「見ての通り、まだやってない。」
「ふぅ~~ん」
「……イケるか……?」
「そうねぇ、死んでそんなに時間も経ってないみたいだし、遺体の状態も良いみたいだし、心臓麻痺だけなら頭くらいは動かせるでしょ?」
「…そうか…」
「一応、やってみるけど、たぶん動かせるのは、頭だけだと思うけど、それでもいいの…?」
「ああ、それでいい。 石橋さんには、少し聞きたいことがあるだけだからな。」
「ふぅ~~ん、そう。 わかったわ、なんとかしてみる。」
「頼むぞ、奏よ」
そう言うと、奏が石橋氏の遺体が眠るベッドの、すぐ横に立って両手を広げた。
「!!?」
ざわざわざわ―――
この奏の不可解な行動に、一部の警察関係者や一部の医療関係者が、なにやら騒ぎ出したのを見て、燕彦が注意事項として、彼らに声をかけた。
「これから、信じられない光景を目にするが、この事は他言無用でお願いしたい。 またこれを見て、体調がすぐれない場合、即刻退室してもらい、体調管理を徹底してもらいたい。 あれを長時間見続けるのは、非常に危険だ。 あと信じるか信じないかは、あなた方次第だ。」
「はい、判りました。」
この燕彦の注意事項に警視庁の警視総監である里崎氏が代表で応えた。
それから少し時間が経って―――
奏の周囲には、無数の円形魔法陣が発生、さらに無数の虹色の魂・火の玉が石橋氏の遺体の周囲に発生。 また奏の全身には炎が燃えるような感じで、真紅色のオーラが包み込んでる。
「!!?」
ざわざわざわ―――
この奏の不可解な行動に、一部の警察関係者や一部の医療関係者が、なにやらまた騒ぎ出したのを見て、再び燕彦が彼らに注意した。
「皆さん、お静かに!」
「はい、判りました。」
この燕彦の注意に警視庁の警視総監である里崎氏が代表で応えた。
ピカァッ!
その次の瞬間、一瞬だけだが、奏の身体と石橋氏の遺体が強烈な光で輝き始めた。
「!!?」
うわぁ―――
その強烈な光に、恭と撩と翔と燕彦と男性死神『ミドウリン』といった特殊な人間は平気だが、他の一般の警察関係者や一般の医療関係者は、あまりの眩しさに思わず目や顔を隠して覆っていた。
少しの間、その場が光り続けて時間と共に輝きの威力も弱くなり、それに伴い、無数の円形魔法陣や無数の虹色の魂・火の玉も、徐々に消えてなくなり、少なくなってきた。
「ふぅ~う。 なんとか成功ようねぇ~」
「ふむ、相変わらず見事な魔法だな。 奏よ」
「おう、お疲れ様だったな。 奏よ」
「ありがとう、撩」
「ほう、これは一種の降霊術みたいなモノかな?」
「なるほど、確かに面白い魔法ですね。」
「いい撩。 時間は約10分間……それ以上はもたないわよ。 いいわね?」
「ああ、わかってる。 奏よ」
まだ奏の身体と石橋氏の遺体が少し弱い光で、白く光り続けてるけど、突然……死んでるはずの石橋氏の遺体の口が開いた。
「―――ここは……??」
なんと死んでるはずの石橋氏の遺体から、生前の石橋氏の声が発した。
そして、遂に石橋氏の遺体の目が開いた。
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●【アナザーワールド.1】●
これは複数ある物語のひとつであり、今回の主要視点は一珂院撩であり、主要場所も東京都になってる。
また物語の内容も他のモノとは、全く違うモノになってる。
お久しぶりです。
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では次回に続きます。