39.B【黒い影:15】
念の為に言っておきますけど、前回からの続きです。
▼▽ (15)
ここは日本の某所 (場所の特定は不可能)
ある日のこと
そこはとある地域の森の中。
その森の一番奥の方には、廃墟に近い大きな白い建物があって、もう既になんの建物だったのか、よく解らないほどに雑に崩れていて、一部が破壊された建物がある。
ここは真夜中になると、よく女の泣き声が聞こえたり、上半身だけの女が出現したり、下半身だけの女が出現したりしてるらしい。 勿論、こんな所に人などいない筈だが…。
また肝試しに来る若者がいるようだけど、ここへは森の奥ということもあって、ほとんどの人が近づいてこないようだ。
また夜になると、特に周囲が暗く怖くなり、よほどの達人的な者でないと、普段から誰も来ない場所である。
そう、ここは日本屈指の有名な心霊スポットなのである。
現在は午前8時だぜ!
この廃墟には、一珂院恭、一珂院撩、一珂院翔の一珂院三兄弟に男性死神の『ミドウリン』が先行して来ていた。
待ち合わせの時間より、まだまだ全然早いけど、何故か一番乗りは譲らない性分の連中である。
「やれやれ、なかなか面白い場所を待ち合わせ場所に選んだものだな。 奏の奴」
「こういう所が一番落ち着くんだろう?」
「えっ、だってここって日本屈指の有名な心霊スポットだよね?」
「なるほど、確かにここは落ち着く場所ですね。」
「………」
「…そ、そうか…」
「やれやれ、その他の連中はまだまだ来てないようだな? 恭よ」
「ああ、どう考えても我々の方がまだ時間的に早いからな。 撩よ」
「恭兄、撩兄、今まだ朝の8時だからだろ? そりゃあ、まだ誰も来ていないだろう?」
「……少し早すぎないか? 否、いくらなんでも早すぎるぞ! 撩よ」
「……そうか?」
「うん、そうだよね」
「撩。 今回の待ち合わせ時間は、確か午前10時だったはずですからね。」
「まあ、今はまだ朝の8時過ぎだが待ち合わせ時間は、確かに午前10時だったからね。 それで早いんだよ。」
「さすがに2時間前から来ても仕方あるまい。 撩よ」
「ああ、でも仕方ないよね。 もう少しここで待つのかい? 撩兄」
「ああ、そうだな。 もう少し待つことにするよ。 恭に翔よ」
「自分も君たちと一緒に、もう少しここで待っていますか。」
「そうか」
そこで一珂院三兄弟の三人や男性死神の『ミドウリン』が、この心霊スポット廃墟の所定の場所で、それぞれが瓦礫の上に座ったり、崩れかけた柱に背中を付けて立ってたり、廃墟の屋上の上へ空中に浮いてたり、持参した飲み物を飲んだりしていて、様々な暇な時間を潰している。
しばらくの間、その心霊スポット廃墟の中で待っている四人。
現在は午前9時だぜ!
撩たち四人がこの廃墟に来てから、約一時間が過ぎた。
ここで遂に八陀院凌と八陀院蒼依の二人も、この心霊スポット廃墟までやって来た。
この呪い・呪術が専門の凌や蒼依に対して、こんな心霊スポットなど最早片腹痛いけど、まあまあの場所であろう。
早速だが、恭と撩と翔の三人に、日本担当の男性死神の『ミドウリン』が、ここに来た凌と蒼依の二人を出迎えていた。
「おお、来たか。 凌に蒼依よ」
「よう、来たのか。 凌と蒼依よ」
「ああ、恭に撩か。 来たぞ」
「はい、来ました。 恭に撩よ」
「どうもです。 凌先輩に蒼依先輩、お久しぶりです」
「おお、弟君の翔だな」
「はい、どうもです。 翔くん」
「意外と早かったですね。 凌に蒼依よ、待ち合わせの時間より、まだ一時間は早いはずですけど…?」
「ん? そうなのか、ミドウリンよ。 午前9時に待ち合わせではなかったのか? 否、午前10時に待ち合わせだったのか?」
「今回の集合はあなたでしたか? ミドウリンよ。 何か急用でもありましたか?」
「はい、様々な用件がありまして、それらを全部こなしていくのに、かなりの人数が必要なんですよ。」
「なんだ、人数合わせか?」
「はい、ぜひ協力してもらいますよ。 皆さん」
「まぁ、別にいいけど、あとで報酬は貰うぞ。 ミドウリンよ」
「はい、判りました。 報酬付きで協力しましょう。 ミドウリンよ」
「はい、それでは宜しくお願いします。 お二人とも」
「おお、そうか」
「ヨロシクな、二人とも」
「どうも宜しくお願いします。」
その後も彼らの話し合いは続くけど、取り敢えずはこの六人がこの廃墟の中の至る場所で、それぞれ自由に寛いでいる。
あとは六甲院美咲と六甲院美幸と四豊院奏と七照院燕彦と陸堂瑛と陸堂翼と謎の少女『暁恵』の七人が来るのを待つだけである。 また待ち合わせ時間は午前10時なので、それまでには来るだろう。
現在、その七人はこの心霊スポット廃墟まで向かって来ているようだ。
さて、ここでまず男性死神の『ミドウリン』が、この場にいるみんなに向けて話し始めた。
「今回の話すべき点は三つ。 まずひとつ目は "悪夢" と呼ばれる夢の話について。 二つ目は地球の護り神〈アクナディオス〉に関する対応の問題について。 三つ目は謎の少女『暁恵』の処遇についての議論。 この三つの問題が焦点になるでしょう。」
「なるほど、それらの問題を瑛たちを含めて話し合う、ということだな?」
「はい、その通りです。 ここなら誰にも邪魔されずに済みますので、ご協力をお願いします。」
「それで具体的に、どのような協力をすればいいのか? 彼らと意識や情報の協力だけなのか? それとも実務や任務も共に協力するのか?」
「いいえ、その件も含めて、これから話し合うことになりますね。」
「ほーう、なるほどな。 そういうことなのか」
「はい、全ての話し合いはこれからです。」
「ああ、わかった。 では、それで話を進めよう。」
「はい、皆さん宜しくお願いします。」
今後の事については、これから来る瑛たち七人もを交えて、この心霊スポット廃墟の中で、重要な密談をすることになる。
そして、午前10時頃には瑛や奏たち七人も、この心霊スポット廃墟までやって来ることになるだろう。
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◎この作品の今作中の後半の話には、
小説タイトル『アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~』の 99.D【凶夢:22】に続きます。
●ちなみに、39.B【黒い影:15】→ 99.D【凶夢:22】となります。
そういうことなので、宜しくお願いします。