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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B.【四豊院奏の最終報告書編】
127/132

38.B【黒い影:14】

  ▼▽ (14)


 ここは日本の東京都の某所


 翌朝、あの一珂院恭・一珂院撩・一珂院翔の一珂院三兄弟が、とある都内にある某病院の中にいた。


 そこは院内の地下にあり、遺体が安置されてる霊安室である。

 その霊安室とは、一般的に警察関係者・医療関係者や遺体を安置している親族などだけしか立ち入れない。

 最もほとんどの人間は、滅多にあまり立ち入りたくない場所でもある。

 また夜は勿論だけど、日中でも、あまり居たくない場所である。


 ―――とにかく怖いから・・・


 この霊安室に、一珂院三兄弟がいる。

 その他にも、日本支部長で男性死神の『ミドウリン』や警視庁の警視総監の里崎氏と、その部下たち数名や医療関係者の数名が、薄暗い霊安室の中と外にひしめいている。


 この霊安室で遺体となって眠っているのが、警察庁長官の石橋氏である。


 一同が、その遺体を静かにジィーッと見つめていると、


「本当に死んでるようだな。 だがまさか、"悪夢" を見た者が "悪夢" 以外の方法で死去するとはな。」


 石橋氏の遺体を見た『ミドウリン』が驚いた顔で話し始めた。


「おい、検死とか解剖とかはされないのか?」


 続けて、恭が近くにいた刑事に質問してきた。


「いえ、一応は自然死なので……でもどうなのでしょうか……?」

「……自然死……」

「……心不全ってことか……」


「………」


「そんな死に方をするとは……未だに信じられない……」

「だが既に、そういう死因で死んでいるのだ。 これは、もう仕方なかろう」

「……た、確かに……それはそうだが……」


「では、そのまま火葬されるのか? 彼には身内がいないんだろ? どうするんだ?」


「………」


「これは聞いた話ですが、彼の遺体を発見したのは、あの地球の護り神〈アクナディオス〉だと言うのは、本当のことですか?」

「はい、驚くべきことに救急車を呼んだのも、その護り神だそうです。」

「あ、あり得ない……」


 だがしかし、そこで恭が―――


「―――ことでもあるまい。 異世界転移の準備や確認などの為に、わざわざ自宅に出向いてみたら、彼の死体を見つけた。 最も何故わざわざ救急車を呼んだのか、は解らんけどな。」


「そんなことは、どうでもいい! もし、それが本当だったら、その地球の護り神〈アクナディオス〉は実際に人間(ヒト)の家に勝手に上がり込んだことになるぞ!」

「ああ、まぁ住居侵入罪の不法侵入だからな。」

「いや、そういうことを言ってる訳ではない! 実際に護り神が人間(ヒト)の家まで、勝手に上がり込むことが出来たということだ!」


「………」


「そんなことは、もはや重要ではない。 忘れたか、奴らは既に様々な建物の中に侵入していることを。」

「では、一体何が重要なのだ?」


 ここで撩の持論が展開する。


「ああ、重要な課題(ポイント)はふたつ。 ひとつは俺たちが地球の護り神〈アクナディオス〉に出会うことができなかったこと。 もうひとつは()()()()()()()()。 本来なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()。 もしくは、その前に異世界転移して、もう別の世界に行ってた筈だ。 なのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」


「………」


 ・・・

 ・・・


「それが一体なんだと言うんだ……?」

「あんた、一体何が言いたいんだ……?」


「ふん、"人間はいつか死ぬ。 遅いか早いかだけ" ……いう言葉もあるけど、問題は()()()()()()。」


「……何……?」

「なんだと?」


「ふん、問題なのは、そもそも人間の力では変えられない()の死の運命を変えられたことにある。」


 ここで撩が一呼吸、間をおいてから、次の持論を展開する。


「人間の死ってヤツは、人間の力では変えられない。 自然死は勿論だけど、病死・事故死・他殺・自殺・怪死・・・その全てが死の運命を統括している女神によって決められている。 たかだか地球の護り神〈アクナディオス〉ごときが死の運命を改変することなどできないはずだ。」


「……?」

「それが一体なんだと言うんだ……?」

「だから、どうした?」


 ここでも撩が一呼吸、間をおいてから、また次の持論を展開する。


「ふん、まだ解っていないようだな。 今回の出来事は〈アウターマウカー〉や地球の護り神〈アクナディオス〉とかの仕業ではなく、まだもっと別の誰かの仕業ではないか、と言っているのだ。」


「「「「!!?」」」」


 一同が驚愕する。


 ・・・

 ・・・


 そこで撩がこんなことを言い出してきた。


「おい、石橋さんの遺体、まだ検死や解剖や火葬なんかするなよ? ()()はまだ利用する価値があるんだからな?」

「……利用……だと?」

「一体何をするつもりなのだ?」

「あんた、何言ってるんだ?」

「………」

「いいな?」

「……あっ、はい……判りました……」


「恭よ。 奏に連絡つくか?」

「ああ、それは問題ないが……まさか、()()を使う気か?」

「ああ、勿論。 使わせてもらうつもりだ」


 疑問に思った刑事の一人が翔に質問してきた。


「さっきから撩さんや恭さんが言ってる()って、一体誰のことですか?」

「ああ、四豊院奏さんのことかい? あの人は陸堂瑛・八陀院凌・一珂院撩の三人に匹敵するほどの実力と能力を持ってるお人だぜ。」

「えっ、そんな人がいるんですか?」

「ああ、これは()()()()だぞ。 おそらく撩兄は彼女の能力を利用したいんだよ。」

「……か、彼女の能力……?」

「そ、彼女の無敵の能力 "()()()()()" をね」

「……?」


 ・・・

 ・・・


 そこで恭が七照院燕彦との連絡をつけて、その内容を撩に知らせる。


「……で、どうだった?」

「ああ、協力すると言ってる。 但し、むこうもこっちに協力を要請している。」

「ふん、いいだろう。 ギブアンドテイクだ。 協力しよう」

「わかった。 では、そのように伝えておくぞ。」


 そこでまた恭が七照院燕彦と連絡して、お互いに問題解決を協力し合うことで一致した。

 これはもしかして、近日中に一珂院三兄弟や『ミドウリン』が、陸堂兄弟・六甲院姉妹・七照院燕彦・四豊院奏たちと合流する日が近いかもっ!?


  △▲

     ━-━-━


※「蘇生の力量」とは、能力の正式名称ではなく、現時点で能力の情報の一端にすぎず、正式名称は不明である。


まだまだ次回に続きます。

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