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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B.【四豊院奏の最終報告書編】
126/132

37.B【黒い影:13】

  ▼▽ (13)


 ここは日本の東京都の某所


 そこは地球の護り神〈アクナディオス〉が指定したポイントであり、その○○月○○日の夜8時から9時までの間、都内某所にある某ビル建設途中の工事現場の下である。

 ()()が石橋氏の命日と死場所(しにばしょ)でもある。

 ここに夜8時ちょうどに、一珂院恭と一珂院撩と一珂院翔の一珂院三兄弟に男性死神の『ミドウリン』が既に来ていた。


 だがしかし、肝心の警察庁長官の石橋氏の姿がまだ見えていなかった。


 だから、ここは彼らが石橋氏が来るのを待つことにした。


 その一珂院恭が腕組みしながら立っていて、近くにあった鉄柱に背中を付けて寄り掛かっており、あの石橋氏が来るのを待っている。

 その一珂院翔が腕組みしながら、近くに転がってあった鉄骨の上に座っていて、あの石橋氏が来るのを待っている。

 その一珂院撩が腕組みしながら、少し空中に浮いていて、あの石橋氏が来るのを待っている。

 その男性死神の『ミドウリン』が、今回は[漆黒のマント]をヒラヒラ揺らしながら、かなりの高さの空中に浮いていて、あの石橋氏が来るのを待っている。





 だがしかし、いくら待ってもいっこうに姿を現さない警察庁長官の石橋氏。


 さらに地球の護り神でもある〈アクナディオス〉もまだ姿を現さないようだ。



 そこで不審に思った者たちが声を上げてきた。


「……」

「おい、どうした? 何故姿を現さない?」

「まさか場所や時間が合っていないのか? ミドウリンよ」

「はい、そこは合っているはずです。 これは確認情報です。」


「ふっ、まだ8時15分くらいだ。 慌てる必要はない」


 ここで撩が[漆黒小型万能端末(ブラック・アイ)]についてる "時計機能" を見て、現在(いま)の時刻を確認している。


「ならば何故、いっこうに姿を現さないのだ? 石橋氏は……」

「た、確かに石橋氏はあんなに "()" を恐れていたはずなのに、いっこうに姿を現さないところを見ると、別の何か方法を見つけたか?」

「それとも異世界転移、そのものを恐れてしまい、それで遂に逃げ出したのか?」


「……?」


 ここで男性死神の『ミドウリン』も何やら不審に思い始めてきた。


「……お…おかしい……何故、あの地球の護り神でもある〈アクナディオス〉も姿を現さないのか……?」

「やっぱり、日時と場所の情報は合っていなかったのか…?」

「…いや、そんなはずは…」


「……?」


 そこで撩が[漆黒小型万能端末(ブラック・アイ)]についてる "時計機能" を見て、また現在(いま)の時刻を確認している。


「ふん、現在(いま)の時刻は……午後8時25分くらいか。 まだ時間があるようだが……?」


「あぁ、確かにそうだけど……」

「はい、まだ彼は来ていませんね。 もう彼は諦めたのでしょうか?」

「いや、それはまだわからんが、あれほど『生』に執着していたのだが……なぁ?」


 そう、まだ30分も経っていないけど、まだ警察庁長官の石橋氏も地球の護り神でもある〈アクナディオス〉も、まだ()()には来ていないのである。


 だがしかし、それでも一珂院三兄弟と男性死神の『ミドウリン』は、()()で警察庁長官の石橋氏や地球の護り神でもある〈アクナディオス〉が現れるのを待ち続けた。






 やがて、午後8時50分を過ぎた頃に、複数台のパトカーの列が、一珂院三兄弟や男性死神『ミドウリン』の居る場所に向かってやって来た。


 ピーポーピーポーピーポー、ウィーーン!


 赤いサイレンを鳴らしながら、急いでやって来た複数台のパトカーの列の一台目が、一珂院三兄弟や男性死神『ミドウリン』の目の前に停車した。


 キキィッ!


 ガチャリ、ガチャリ!


 タッタッタッ!


 そのパトカーのドアが開いて、慌てて飛び出してきた一人の高齢で高位の男性が、一珂院三兄弟や男性死神『ミドウリン』の目の前まで走ってやって来た。


「こ、ここに居ましたか!? やっぱり、一珂院家の皆さんにミドウリン様!! 捜しましたぞ!!」


 その一人の高齢で高位の男性が息を切らせながらも、少し声を大きくさせて言った。


「おう、これは警視庁の警視総監の里崎さんではないか? 一体どうしたのだ?」


 そう、そうなのである。

 この高齢で高位の男性とは、警視庁の警視総監の里崎氏である。

 その彼が血相かいて慌てた様子で凄く焦って何かを話し始めていた。


「おい、一体どうしたと言うのだっ!? 里崎さん」

「はい、け…警察庁長官の石橋さんが………し…死にました……っ!!」

「な、何ぃっ!!?」

「そ、それは本当のことなのかっ!!? 里崎さん」

「し、信じられない……っ!!?」

「な、なんと……っ!!?」


「い、一体どうやって死んだのですか……っ!? 里崎さん」

「はい、石橋さんは昨夜お風呂に入っていたら、突然発作が起きて心臓麻痺で心肺停止になってしまい、病院に搬送されたそうなのですが……そのまま……」


「そ、そんな……バカなぁ……っ!!?」


 そう、そうなのである。

 なんと、石橋氏は既に昨夜のうちに、自宅のお風呂に入浴途中で突然心臓に発作が起きて、すぐに心臓麻痺の心肺停止の状態で、ちょうど深夜零時に発見されて、救急車で搬送されたけど、病院に到着する前に死亡したそうだ。


 だがしかし、本来ならば今夜、午後8時50分に都内某所にある某ビル建設途中の工事現場の下の空間、つまり、()()で石橋氏が()()()()()()に巻き込まれて死亡するはずだったけど、昨夜もう既に死んでいたのだ。


 な、なんということなのかっ!?

 遂に死の時期や場所や死因までも変更されてしまったようだ。

 未だに地球の護り神でもある〈アクナディオス〉も姿を現さないところを見ると、どうやら地球の護り神でもある〈アクナディオス〉だけには、()()()()が判っていたようであり、だからこそ、今夜は来なかったようだ。





 結局は石橋氏死亡の報告を、警視庁の警視総監の里崎氏から聞いた一珂院三兄弟や男性死神の『ミドウリン』が凄く驚愕して、かなり動揺したままで、今夜はその場をあとにして、仕方なく帰宅していった。


 その時の時刻は、ちょうど夜9時を回っていたそうだ。


  △▲


   ━-━-━


 【備考】

※実は死亡寸前の石橋氏を発見したのが、地球の護り神〈アクナディオス〉であり、救急車を呼んだのも地球の護り神〈アクナディオス〉なのである。

※ちなみに石橋氏はご高齢による心不全・自然死である。

なんということなのか?

なんと異世界転移する予定のあの石橋氏が既に死んでいた。

これで彼は異世界転移することはもう出来ないのか…?

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