34.B【黒い影:10】
▼▽ (10)
ここは地球の中心地にあるマグマが凄い勢いで、とても熱い場所である。
ここにあの地球の護り神〈アクナディオス〉が大挙して存在している。
そこは地球の護り神〈アクナディオス〉の別荘みたいな場所であり、会議室みたいな場所でもある。
勿論、普通の人間が普通に来れる場所でもない。 非常に危険な場所である。
ここで地球の護り神〈アクナディオス〉たちが、なにやら騒ぎながら話し合っている。
『異世界転移成功!!』
「ヒヒヒ、上手くいったようだな。 だがしかし、まさか本当に人間を別の世界に送り届けることが出来るとはな。 ハハハ」
「ヒヒヒ、まったくだな。 だがしかし、もう少し調べないといけないけどな。 ハハハ」
「ヒヒヒ、さて……人間をどんどん異世界に送ってやるぞ。 ハハハ」
「ヒヒヒ、ところでアラスカにある例の白い要塞の件はどうなってる? ハハハ」
「ヒヒヒ、無事制圧成功だよ。 まぁ……我々にかかれば、彼らごときに制圧など容易い簡単なことだよ。 ハハハ」
「ヒヒヒ、それで残りの開発資料や実験データみたいなものは、まだあったのか? ハハハ」
「ヒヒヒ、残念ながら、まだ見つかっていない。 どうやら今のところ、あのハリー・ダグラスが持ち帰った開発資料や実験データ・実験台などが全部のようだね。 ハハハ」
「ヒヒヒ、そうか、ハハハ」
「………」
「……ヒ…ヒヒ……もしかして、もう少し泳がせておくべきだったか? ハ…ハハ……」
「……ヒ…ヒヒ……もしかしたら、もう少し待つべきだったのかもしれないな? ハ…ハハ……」
「ヒヒヒ、その心配は必要ない。 既に新たなる技術者・科学者・魔法使用者などを総動員して、新たなる特殊施設も用意してある。 ハハハ」
「ヒヒヒ、その通りだぞ。 その協力者たちと開発資料や実験データ・実験台は、既にその特殊施設まで送り届けている。 もう既に実験が再開しているはずだぞ。 ハハハ」
「ヒヒヒ、さすがは我が同胞。 相変わらず仕事が早いな。 ハハハ」
「………」
「ヒヒヒ、もし『保険魔法』が実在するモノになれば、かつて人間が人工的に魔法が使用できるように作られた、あの『悪魔ウィルス』に匹敵するほどの大発明だと思われる。 ハハハ」
「ヒヒヒ、大袈裟だな。 ハハハ」
「ヒヒヒ、だがしかし、これでまだ我々は地球と戦える。 ハハハ」
「ヒヒヒ、その通りだ。 これでまだ我々は戦える。 ハハハ」
「ヒヒヒ、その通りだぞ。 ハハハ」
「ヒヒヒ、ところでハリー・ダグラスの件はどうするつもりなのだ? ハハハ」
「………」
「ヒヒヒ、そうだな……あの男は復讐の塊なのだ。 己の復讐の事しか頭にない。 ハハハ」
「ヒヒヒ、ではもう彼は用済みかな? ハハハ」
「ヒヒヒ、そうだな……もう協力しないだろうし……利用価値もなくなったしな。 ハハハ」
「ヒヒヒ、そうか、ハハハ」
「ヒヒヒ、ならば彼に裏切り者を引き渡す約束はどうするつもりなのだ? ハハハ」
「ヒヒヒ、もう放っておけ。 どうせ彼に我々は倒せない……力が全てのこの時代に裏切る裏切らないだとか、利用するか利用しないかだとか、そんなくだらない事をいちいち気にしていたら、キリがないぞ。 ハハハ」
「ヒヒヒ、確かにその通りだな。 我々は別に人間に信用される必要はないからな。 ハハハ」
「ヒヒヒ、確かに……どうせいずれ滅亡する種族なのだ……さほど気にする必要もない。 ハハハ」
「ヒヒヒ、彼もすぐ死ぬだろう? ハハハ」
「………」
「ヒヒヒ、まだ何か? ハハハ」
「ヒヒヒ、別に特に何も……ハハハ」
「ヒヒヒ、そうか、ハハハ」
「ヒヒヒ……ハハハ」
その後も地球の護り神〈アクナディオス〉たちは、まだなにやら話し合いを続けていた。
また怪しい密談をしているわけだが、相変わらず意味不明なことばかり言ってるようだ。
そもそも『保険魔法』とは、一体なんなのか、どういう能力・効果があるのか? また『異世界転移』と何か関係があるのか?
それと「地球と戦う」とは、一体どういう意味なのか? 地球の護り神と言っておきながら、地球と敵対するのか? それとも「地球と共に戦う」という意味なのか? 全くさっぱり解らない。
そして、今回もまたハリー・ダグラスは捨て駒にされたのか?
ここでも切り捨てられ、裏切られ途方に暮れることになるのか?
やっぱり復讐はやめろと言うことなのか?
彼の運命やいかに!?
もっとも当の本人のハリー・ダグラスは、一体どう思っているのか、不明だが―――
ここは日本の東京都の某所
そこは警察庁の大きな建物があり、その建物内部の上層階にある某部屋の中には、部屋の奥の方にある大きな窓を背にして、ある男性の席があり、ある男性が椅子に座って、大きめな机の上で、その男性が頭を抱えて青ざめていた。
彼は今……怯えている。
顔に汗をかきながら、小言のように独り言のようにうなされている。
「……つ、遂に……遂に……この俺様にまで……来てしまった……のかぁ……っ!?」
「……これから俺様は……一体どうすればいいのかぁ……っ!?」
「……この俺様は……このまま……死んでしまうのかぁ……っ!?」
「……死なん……」
「……いや、そんなはずはない……俺様は……俺様は……絶対に死なんぞ……!」
口調は力強いけど、まるで弱気な小声であった。
そう、そうなのである。
遂に彼も見てしまったのである。
その "悪夢を見た者は必ず死ぬ!" という地獄の刃を!!
誰も逃れることはできない地獄の牙を、彼も受けてしまった。
彼の名前は……『警察庁長官の石橋氏』……彼もまた運命に翻弄される哀れな人間の一人である。
「……くそ……」
思い悩む彼のところにも、またアイツらが忍び寄ってきている?
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あの地球の護り神〈アクナディオス〉が少し満足している?
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