31.B【黒い影:07】
▼▽ (07)
ある日の朝のこと
ここは日本の島根県にある某所
その島根県の人里離れた、その某所で林に囲まれた中に大きな白い建物があった。
ここはあの六甲院家のアトリエ・工房なのである。 ここを主に使用しているのが、六甲院美咲・六甲院美幸の双子の姉妹である。
この六甲院家のアトリエ・工房には、最初に四豊院奏・七照院燕彦の二人が作業して、次に陸堂瑛・陸堂翼の二人が作業して、ある程度完成してきた下着が送られてきた。
その一室には先程の下着が七種類あって―――
純白に赤色のリボンが付いたブラジャーとパンティーのAセット。
水色と白色の横縞模様のブラジャーとパンティーのBセット。
ピンク色と白色の水玉模様のブラジャーとパンティーのCセット。
黄色のフリルのブラジャーとパンティーのDセット。
青色のレースのブラジャーとパンティーのEセット。
赤色の透け透けブラジャーとパンティーのFセット。
漆黒に紫色のリボンが付いたブラジャーとパンティーのGセット。
―――以上の七種類、いずれも新品同様の試作品として、ここに送られてきている。
早速、六甲院美咲と六甲院美幸の二人が、届いてきた試作品の下着の最終チェックをしていた。
「なかなか仕上がってますわね。 しかも丈夫ですしね。」
「はい、着心地も良さそうですし、通気性も良いと思いますよ。 お姉様」
「これなら良いものが出来そうですわね?」
「はい、それにしてもあの方々は本当に良い仕事をしてますわね?」
「はい、本当にさすがですわね。」
「それでは早速、試着してみましょうか。」
「はい、お姉様」
そこで美咲と美幸の二人が、自分たちの衣服や下着を脱いで全裸となり、届けられた試作品の下着に着替えていた。
ちなみに、まず美咲が漆黒に紫色のリボンが付いたブラジャーとパンティーのGセットの下着を試着して、美幸は純白に赤色のリボンが付いたブラジャーとパンティーのAセットの下着を試着している。
だがしかし、この時になって美咲と美幸の二人が、なかなかの違和感と不思議な雰囲気と異様な疑問符がついている。
「…この試作品…私たちのサイズに合っていますわね…?」
「はい、さすがですね。 お姉様」
「…え…ええ、そうですわね…。 でも何故、私たちのスリーサイズを知っているのでしょうか…?」
「それは愚問ですよ、お姉様。 あの超天才の翼様に知らないことなど、全く何もありませんわ。」
「…そ…そうですか…。 いや、そうですわね。」
ここで美幸が力説している。
ただ美咲の方が一瞬だけ引いていたけど、またすぐに気持ちを切り替えていた。
「それにしても、この試作品は手触りもとても良いですわね。」
「はい、これなら商品化も可能かもしれませんね。」
「いやいや、まだまだですわよ。」
「…そうですか、お姉様…」
うんうんと頷きながら、妙に納得し、慎重にいくつもりの美咲と、今度は少し引いてる美幸。
まぁ…二人だけしかいないとは言え、下着姿ではしたなく話し合っているのも、どうかと思うけど…。
今度は美咲が水色と白色の横縞模様のブラジャーとパンティーのBセットの下着を試着して、美幸の方がピンク色と白色の水玉模様のブラジャーとパンティーのCセットの下着を試着している。
こちらの下着も微妙なサイズ調整がされており、明らかに、まるで美咲と美幸の二人のスリーサイズを知っているかのような仕上がりになっている。
「「……」」
さすがの二人も今度は無言で引いている。
「…ま…まぁ…当然ですわね…。 なかなか良い仕事をしてますわ。」
「でもお姉様。 これなら…この仕上がりなら、他のを着ても同じなのでは…?」
「ですが、一応最終チェックですので、全部試着しないといけませんわね。」
「はい、そうですね。 お姉様」
この後も美咲と美幸の二人が、手分けして試作品の下着を次々と試着しており、その仕上がり具合を確認していた。
やっぱり、どれもとても良い仕上がり具合であり、二人共に納得している。
ただ贅沢を言えば、少し可愛さに欠けてる下着が多く、プリント絵柄されてる下着や花柄模様の下着などがないようだ。
だがしかし、それを瑛や翼たちに求めても仕方ないことである。 何故なら何て言ったって、彼らには "可愛さ" など不得意な分野だからである。
「よし、あとはもう少し種類を増やしましょうか。」
「はい、そうですね。 お姉様」
その後も美咲と美幸の二人が、残りの試作品の下着も試着して、姿見の鏡で自分たちの下着姿を見ながら、女性の目線で細やかなチェックをしていた。
◆◇◆
ー後日談.1ー
ある日の夕方のこと
ここは日本の和歌山県にある某所
そこは陸堂家の自宅の一室である。
その一室には陸堂瑛と陸堂翼の二人が、ソファーに座ってゆっくり寛いでいる。
先程、六甲院美咲から連絡があって、試作品の下着の仕上がり具合の良さを報告してきた。
それを聞いた瑛と翼が話し合っていた。
「ほう、あんなんで良かったのか?」
「はい、そのようですね。 あとは種類をもう少し増やして欲しいそうです。」
「ほう、そうか。 まぁユニフォームにしては、種類が少し少ないからな。 当然だろうな」
「ではまた何か考えますか?」
「ああ、そうだな」
この後も瑛と翼の二人が、なにやら異様な話し合いをしていた。
◆◇◆
ー後日談.2ー
ある日の夕方のこと
ここは日本の長野県にある某所
そこは七照院家の別宅の一室である。
その一室には四豊院奏と七照院燕彦の二人が、ソファーに座ってゆっくり寛いでいる。
先程、六甲院美幸から連絡があって、試作品の下着の仕上がり具合の良さを報告してきた。
それを聞いた奏と燕彦が話し合っていた。
「あら、あんなんで良かったのかしら?」
「ああ、そのようだな。 まぁ…瑛と翼の二人の仕事が良かったからだろ?」
「へぇ~ あの二人ってさぁ、女性用下着を作る才能なんかあったのね。」
「ああ、意外な才能だったな。 あの二人…」
「それであと何かするのかしら?」
「ああ、そうだな」
その後も奏と燕彦の二人が、なにやら不思議な話し合いをしていた。
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【商品開発】
[試作品]
1.発案者:陸堂瑛
2.布・形作成:四豊院奏・七照院燕彦
●『アブソリュート=ゼロ』(掲載)
3.装飾品・プリント:陸堂瑛・陸堂翼
●『アウターマウカー』(掲載)
4.確認・試着:六甲院美咲・六甲院美幸
●『アブソリュート=ゼロ』(掲載)
以上、予定進行中……完成間近?