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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B.【四豊院奏の最終報告書編】
116/132

27.B【黒い影:03】

  ▼▽ (03)


 日本の東北地方にある某所


  ある日の深夜


 その総合病院の誰もいない屋上で、不気味な黒い人影が宙に浮いていて、まだ不敵な()みを浮かべていたが―――そこに、あの七照院燕彦と四豊院奏と八陀院凌と八陀院蒼依と男性死神・No.019の『ミドウリン』の五人が、突然…現れて取り囲んでいる。


 この不気味な黒い人影とは、まさかの…地球の護り神〈アクナディオス〉であり、遂に…この東北地方にも出現したことになる。 そこに奏たち五人が、地球の護り神〈アクナディオス〉の周囲をガッチリ固めて、逃がさないようにしている。 ちなみに何故、奏たち五人が、この地球の護り神〈アクナディオス〉の所在が判ったのかは、企業秘密なので教えられない。


 ちなみに地球の護り神〈アクナディオス〉が、一体何の目的でここまで来たのかは、今のところ詳細が全く不明なのである。


 一見して、"四面楚歌" に思えるこの状態でも、地球の護り神〈アクナディオス〉は、まだ余裕綽々の不敵な()みを浮かべている。


『フッフッフッ』

「―――こんな状況でも…余裕綽々だな…?」


 この地球の護り神〈アクナディオス〉の、不遜で不気味な態度を見ていた『ミドウリン』が質問してきた。


『フッフッフッ、―――失礼……ア、ア、ア、グフッ』


 なんと地球の護り神〈アクナディオス〉が咳払いをして、声帯や喋り方が急に変わった。


「―――失礼、この声には…まだ馴れていないものでな。 だが…何も問題はない。」


「…こ…声が変わった…?」

「……」

「へぇ~ なかなかやるわねぇ~ こいつぅ~」

「…ちっ! 余計なことを!」

「ほーう、なるほど…報告通りのようだな。」


 そこで死神『ミドウリン』が、黒く古い本を取り出して、その謎の本をパラパラ開いていき、あるページで止まった。


「…何も問題ないとは、その声のことか? それとも…我々を前にしても、全然平気だと言うことか?」

「ふふふ、その両方だ」


「……なにっ!?」


 何か危険を察知した、奏、燕彦、凌、蒼依の四人が、とっさに身構えて、ほんの少しだけ距離をとったが…『ミドウリン』だけは、微動だにしなかった。


 だがしかし、この地球の護り神〈アクナディオス〉の方は、相変わらずの余裕綽々の不遜な態度で、ビッグマウスを続けている。


「ふふふ、誰も我々を倒すことも、捕まえることもできない。 我々はまさに無敵なのだ。 だから無駄だ」


「ほーう、なかなかの余裕ぶりだな。 すると…私たちだけでは勝てんとでも…?」

「へぇ~ スゴいわねぇ~」

「…無敵だと!? 神だかなんだが知らんが、俺たちをナメてんのか!?」

「…お、おい、あまり(あお)るなよ。 凌」


「なるほど、無敵か? 確かにそいつは困ったな。 だが…何も問題はない。」

「……何?」


 今度は死神『ミドウリン』の方が、なにやら冷静沈着の余裕綽々な様子でいて、先程の黒く古い本のあるページを見ている。 いや、読んでいる。 だけど…一体何が書いてあるのかは、まったく解らない。 おそらく、()()が読めるのは、死神だけなのだろう。


 それに微妙に反応したのが、地球の護り神〈アクナディオス〉の方である。 今まで余裕綽々の不遜な態度でいたが、その時…ほんの一瞬だけ…戸惑いを見せている。


「…一体何が問題ないのか、とても理解できないのだが、何故問題ない?」

「ふふふ、それは我々が、本当に貴様を倒しにきたわけでも、捕まえにきたわけでもないからだ。 だから、先程の貴様の発言を聞いて、我々にも "()()" が出てきたのだ。」

「ならば、一体何しにきた?」

「言ったはずだぜ。 貴様の目的を止める…と」

「それこそ、無駄だ。 我を倒さない限り、我々を止めることはできない。 つまり、まさに不可能なのだ」


「ふふふ、それを聞いて…尚更安心したぞ。 やっぱり貴様は何も解っていないようだな。」

「……何?」

「ふっ、勝敗は問題ではない。 最も重要なのは、その目的阻止にある。」

「…なんだと…?」


 この『ミドウリン』の不可思議な発言に、さすがの地球の護り神〈アクナディオス〉も、ほんの少しだけ動揺している…?


「さぁ…行くよ!」


 すると突然、七照院燕彦と四豊院奏と八陀院凌と八陀院蒼依の四人が、地球の護り神〈アクナディオス〉を中心に、四方向に()って四人同時に魔法を発動した。


【防御魔法】

《霊魂封印結界四陣》を使用


 これで地球の護り神〈アクナディオス〉の動きを止めるのだが―――


「………」

「まだまだ、これからだ!」


 するとそこに、死神『ミドウリン』が黒い小箱の "漆黒の騙箱(だましばこ)" を取り出し、黒く古い本のあるページを、地球の護り神〈アクナディオス〉の方に向けて見開いた状態で、この『ミドウリン』の目の前で浮かんでおり、同じく宙に浮かんでいる黒い小箱の "漆黒の騙箱(だましばこ)" のフタが、自動的にパカッと開いた。


「…なんだ…それは…?」

「…ふっ…」


 この【防御魔法】《霊魂封印結界四陣》によって、動きを封じられたはずの地球の護り神〈アクナディオス〉が、冷静に淡々と質問してきた。


「これで貴様を封印する」

「……! なるほど… "封印" …か。 これなら確かに "勝敗は関係ない" とか "目的を阻止する" などの説明がつくな。」

「…ここまできて、また随分(ずいぶん)と余裕だな…」

「いいや、こう見えて…結構焦っている」


 その地球の護り神〈アクナディオス〉が、動きを封じられた上に、今にも黒く古い本の「力」で黒い小箱の "漆黒の騙箱(だましばこ)" の中に吸収・封印されようとしているのに、肝心の地球の護り神〈アクナディオス〉の方は、全く微動だにしない。


「ハッ!!」


 なんと地球の護り神〈アクナディオス〉が、ほんのちょっと気合いを入れただけで、【防御魔法】《霊魂封印結界四陣》がすぐに解除されて、奏たち四人も少し後退した。


「…な…なんだと…」

「…ちっ、駄目か…」


 さらには、『ミドウリン』が用意して宙に浮いていた、黒い小箱の "漆黒の騙箱(だましばこ)" も見事に破壊された。


「…失敗したのか…?」

「…残念…神を封印することはできなかったけど、でも…まぁ、()()えずは…上々の出だしだな。」

「…なるほど…()()()()()()()…確かに、少し侮っていたようだな。」


 これは一体何が起きているのか、よく理解できないけど、死神『ミドウリン』の余裕の()みと、地球の護り神〈アクナディオス〉の少しの戸惑いに、一体どちらの方が優勢なのか、まだまだこれから続きそうに見えるが…。


  △▲


新年、明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。


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