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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B. 【陸堂家の子猫編】
111/132

23.B【文化祭:6】

  ▼▽ (23)


 京都府内にあるセイントアリオス女子高等学院


  "女王アリオス祭"


  その文化祭の終盤


 文化祭もいよいよ終了間近となり、最終イベントでもある、この学校の女王様(マドンナ)を決める『アリオス女王選定会』の投票を残すのみとなった。


 前回優勝して、女王様(マドンナ)となった現生徒会長の五喬院(ごきょういん)(あきら)が大会二連覇を目指して、今回も参加している。


 その投票方法とは、全校生徒や文化祭に来てくれたお客様たちが、それぞれチケット(一枚)の一票を持って、指定の投票場所まで行って投票する仕組みである。 また参加者は、あらかじめ参加の手続きを済ませており、所定の会場・舞台やステージなどで優勝出来るように必死にアピールする。


「皆さーん、応援よろしくお願いしまーす!」


 ちなみに、今回は生徒会からは、晶の他にも副会長の篠碕(しのさき)湖織(こおり)や書記のレイル・フライヤスが参加、麻雀部員からは、姫岸(ひめぎし)沙羅(さら)鳩邑(はとむら)紗希(さき)が参加している。 (※本校生徒のみ参加可能)


 そこで頂点を目指す乙女たちによる、優勝・女王様(マドンナ)を決める熱いバトル(?)が開始された。 (※普通に投票してもらい開票するだけだけど)






 一方では、お客様がほとんど居なくなった麻雀部の部室内では、ひとつの麻雀卓に陸堂瑛と一珂院撩と七照院燕彦と神柴渉の四人が席に座り、まだ半荘勝負をしていた。


「よし、リーチだ」


 その背後には、陸堂翼や四豊院奏や一珂院恭や一珂院翔が最後まで残っていて、無言で静かに観戦している。


「……」


 既に東場(トンバ)は終了しており、東四局の十巡目に親の役満・国士無双でツモアガッた瑛が一歩リードしている。


 続いて南一局では、六巡目で渉がタンヤオ・ドラドラをツモアガり、次の南二局では―――


(よし! 来たか! この大物手……テンパイだ!)


 その九巡目で撩が役満・九連宝燈(チューレンポウトウ)をテンパイしている。


(……ちっ)

(……おっ)

(……あっ)


 当然だが、相当な実力者でもある瑛、燕彦、渉の三人には、このテンパイは既に気がついていた。


(…ちっ、これで安易に萬子(マンズ)が切れないな…)


(くそっ、もう安牌(アンパイ)なんかねえよ!)


(…いや、この流れなら…おそらく―――)


 その瑛が予測した通りに、既にテンパイしていた撩が、遂に十一巡目でツモ牌の一萬(イーワン)を引き当てて、見事に役満をツモアガッたのだ。


「……ツモだ!」


「ほーう、さすがだな。」

「あぁっ、どうして、そんな手をぉ……っ!?」

「……ちっ!」


「役満・九連宝燈(チューレンポウトウ)だ! これでさっきの瑛の国士無双と並んだな!」


「あぁ~~あ、これで俺はもうハコテンッスよ!」

※ハコテンとは、自分が賭ける点棒が全て無くなり、勝負が出来なくなることで、この場合は敗北となる。


「…私もハコテンだな…」


 渉と燕彦がハコテンのため、これで敗北となるけど、それは当然のことである。 東四局では瑛が十巡目で親の役満・国士無双の48000点を、南二局では撩が十一巡目で親の役満・九連宝燈(チューレンポウトウ)の48000点を、それぞれツモアガッたので、もう何をどうやっても敗北決定なのである。


「チクショウ! 互角かよ!」

「残念だったな。 今日のところはこんなところだな。」

「しかし、本当に点数もほぼ互角なんだな。」

「……まったくッスよ!」


 そこで撩、瑛、燕彦、渉の四人が、それぞれ感想を述べている。


 結局は南四局(オーラス)までいってないので、双方の決着はつかずに終了した。


 そこに最後まで残っていて、瑛たちの麻雀を静かに見ていた四豊院奏が話しかけてきた。


「あら、もう終わりなの?」


「あぁ~~あ、また俺ハコテンッスよ!」

「…ふん、私もだ…」


「ふ~ん、それでどっちが勝ったの?」


「残念だけど、痛み分けだ」

「また勝負がつかなかった」


「じゃあ、また勝負すれば?」


「えーっ、またッスか? もうこれで36回目ッスよ?」

「ああ、そうだな。 連続して35回やっても、決着つかずってところだな。」


 そうなのである。

 もう既に35回も半荘勝負をしており、一回の勝負がだいたい約30分以内、そのほとんどが南四局(オーラス)までいけずに、瑛と撩の二人がそれぞれ一回は「親の役満・48000点」でツモアガッているため、渉と燕彦の二人は毎回ハコテンになってしまう。

 しかも、これでも瑛と撩は手加減しているらしい。


「じゃあ、もう止めたら? 両者引き分けで…」

相変わらず奏は無関心で素っ気ない。 ……麻雀には興味ないのか?


「……」


 するとそこに、二爽院静花と梶崎愛莉と三葉院真純と九道院将晴が麻雀部の部室に戻ってきた。


「あら、まだやってたの?」

「お前ら…本当に好きだな。 …麻雀が…」

「ごきげんよう、皆さん」


 早速だが、静花や真純たちが麻雀卓の席に座っている瑛や撩たちに近づき、それとなく話しかけてきた。


「おや、女王様を決める大会はもう終わったのですか?」

そこで翼が質問してきた。


「ああ、なんとかな、だが疲れたよ」

「ええ、もう終わりましたわ。 なんとか無事に……ですが、異常な盛り上がりでしたわ。」

「やっぱり、()()()は本当に強いわね。 ダントツだったわよ。」


「…そうですか、よく判りました。」

そこで翼は何かを悟った。


「…そうか、じゃあもう終わりにしようか…」

「…そうだな、これで終わりにしよう…」

ここで瑛と撩が立ち上がった。


「今日は勝負がつかず引き分けだな。 瑛よ」

「ああ、そうだな。」

「それじゃあ、そろそろ行くぞ。 恭、翔」

「ああ、わかった」


 そう言うと、皆に別れを告げて、一珂院三兄弟の恭、撩、翔が部室を出ていった。


「さあ、俺たちもそろそろ行こうか。 翼よ」

「はい、判りました。 それでは晶さんによろしく、"優勝おめでとう!" と言っておいてください。」

「……行くの?」

「あっ、もう行くのね。」

「はい、判りましたわ。」


 そう言うと、皆に別れを告げて、陸堂兄弟の瑛と翼も部室を出ていった。





 結局は今回の『アリオス女王選定会』の優勝者・女王様(マドンナ)は、やっぱり大差の得票率で五喬院晶となり、これで一学年・二学年の二連覇達成である。


 その晶が銀色のティアラを頭につけて、真紅のマントを身につけて、優勝トロフィーを持って、会場の皆から拍手・称賛・祝福されていて、晶自身も感謝の気持ちを述べていた。

 ちなみに、六甲院美咲と六甲院美幸の二人は、会場の前方に座っていて、静かに見ていた。


「……」


「皆さーん、本当にどうもありがとうございまーす!」


「……」


 その会場の後方では、陸堂兄弟と一珂院三兄弟が静かに立っていて、ほんの少しの間だけ見届けると、そのまま立ち去っていった。



 こうして、今回のセイントアリオス女子高等学院で開催された文化祭 "女王アリオス祭" は、無事になんとか終了した。


  △▲

     ━━━



  丁度その頃では、


 男性死神にして、『死神反逆者同盟協会』の幹部でもある、『ミドウリン』が既にセイントアリオス女子高等学院から離れていて、その近くの上空を高速飛行している。


「まずは大阪府だな。 では作戦行動開始だな。」


 そのまま何処かへ飛び去っていった。


    【後日談】


※その時、日本魔法学部第三高校の女子生徒たちも『アリオス女王選定会』の会場にいた…?


※六甲院美咲の行動は、単なる敵情視察だけでなく、かなりライバル視している様子…?


※今回の文化祭 "女王アリオス祭" では、麻雀部の『子猫と麻雀のメイドカフェ』も最終イベントの『アリオス女王選定会』も大成功している。


※役目を終えた子猫たちは、既に帰宅している。



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