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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B. 【陸堂家の子猫編】
108/132

20.B【文化祭:3】

前回の続きです。


  ▼▽ (20)


 和歌山県の陸堂家の自宅


  ある日の夕方


 自宅内のリビングでは、陸堂瑛と陸堂翼の双子兄弟が左側のソファーに座っていて、そこからテーブルを挟んだ右側のソファーには、六甲院美咲と六甲院美幸の双子姉妹が座っていて話し合っている。


「……仕事か?」

「はい、瑛様にお仕事の依頼ですわ。 ぜひお願いしたい事がありますの。」

「美咲さんが瑛に仕事の依頼とは、意外と珍しいですよね?」

「ええ、そうですよね。 お姉様は一体何をお願いするのでしょうかね?」

「……」

「はい、私たちが在籍している魔法学校には、文化祭などの行事がありません。 ですが、今回の京都府にあるセイントアリオス女子高等学院には、今度文化祭があるそうですわ。」

「ええ、それに私たち六甲院家にも、文化祭参加の招待状が届いてきました。」

「……それで?」

「はい、実はセイントアリオス女子高等学院には、麻雀部と言う部活動がありまして―――」


「「―――」」

するとそこで、瑛と翼の二人が何かに気がつきながらも、黙って無言で美咲と美幸の話しを聞いている。


「確か……瑛様は麻雀がとても得意ですよね?」

「……ああ……」

「そこで瑛様たちにも、ぜひご協力を―――」

「協力? 俺たちにも、その文化祭に参加しろと?」

「えーと、その……あ、あくまで瑛様たちには、裏方で黒子みたいな感じなんですが……」

「ふーん、なるほどね。 こう言った依頼は、多方面からよく来るようだな。 翼」

「はい、そうですよね。 この文化祭でまたひと稼ぎできそうですよね。 瑛」

「ふふふ、そうだな」


「えっ、そうなのですか?」

「ああ、今は丁度…例の学校の麻雀部員の三人娘が、ウチに来ていて遊戯室で麻雀をしている最中なんだよ。」

「あらあら、そうなのですか? それは私たちも、ぜひ見てみたいですわね?」

「ええ、私もぜひ……」

「ん、そうか。 見ていくか? よし、行くか。」


 するとそこで、瑛と翼と美咲と美幸の四人が立ち上がり、そのままリビングを出ていった。



「瑛様のお家が広くて、私…未だに何処に何処の部屋があるのか、よく解りませんわ。」

「ふふふ、そうか。 お前たちの豪邸の方がとても広くて、よく解らないけどな。」

「はい、そうですよね。」


 などと話しながら歩いていると、瑛たち四人が遊戯室のドアの目の前に到着していた。


「さあ、着いたぞ。」

「はい」

「じゃあ、中に入りますね。」

「ええ、判りました。」


  ガチャッ!


 翼が遊戯室のドアを()けて、瑛たち四人が室内に入ると、そこにはセイントアリオス女子高等学院の女子生徒で麻雀部員でもある、姫岸(ひめぎし)沙羅(さら)鳩邑(はとむら)紗希(さき)西宮原(にしのみやはら)美琴(みこと)の一学年の三人娘がいて、麻雀卓を囲って座っている。


 どうやら瑛に麻雀について、色々と教わっていて勉強しているようなのだが、今は丁度休憩のようなので、子猫ちゃんたちと遊んでいる。


  にやぁー、にやぁー


 麻雀部員の三人娘の太股には、それぞれ子猫が乗っかっており、喉を「ゴロゴロゴロ」と鳴らしながら、小さな身体を丸くして、ぐっすり眠っている。



「あら、やっぱりあなたたちも、ここに来ていましたか?」

美咲が早速、麻雀部員の三人娘に声をかけてきた。


「はい、先程まで瑛先生に手ほどきを受けていました。」

「あっ、どうも美咲様に美幸様。 やっぱりこちらへ?」

「はい、やっぱり瑛先生の麻雀は大変奥が深いですね。」


「あら、そうなのですか? 麻雀ですか…? 私はまだルールすらよく解りませんけど……」

「それに例え…ルールが解ってきても、そう簡単にアガれないのが現状なんですよね?」

「ふん、まぁ…まずは "習うより慣れろ" だな。 こればかりは練習と実戦で経験値を稼いでいくしかあるまい。」

「はい、まぁ…当然のロジックですよね。」

「…なるほど確かに…」


「よし、じゃあ先程の続きをするか…?」

「「「はいっ、先生!」」」


 するとそこに麻雀部員の三人娘が座る麻雀卓のひとつだけ()いてる席に瑛が再び座ってきた。


「美咲も美幸も俺の麻雀を一度見ていくがいいぞ。」

「「はいっ、先生!」」


 再び沙羅と紗希と美琴の麻雀部員の三人娘に、瑛を入れた四人で麻雀を再開している。



 まず東一局めに五巡目で、美琴が(ハク)のみの手でツモアガりしている。


「ツモ、(ハク)のみ。

ふう、まずは1000点だね。」

「あらあら、あそこで(ハク)鳴きとはやりますね。」


 次の東二局めに六巡目で、紗希がタンヤオのみの手でツモアガりしている。


「ツモ、タンヤオのみ。

ふう、こっちもなんとか1000点奪取できたよ…。」

「あら、彼女も鳴いてのツモアガりなのね…?」


 続いて東三局めに七巡目で、沙羅が(ナン)[自風牌]のみの手でツモアガりしている。


「ツモ、(ナン)のみ。

ふう、こちらもどうやら1000点取れました。」

「やっぱり、(ナン)を鳴いてまでのツモアガりですか…?」


「これは皆さん、鳴いてまでツモアガりをしてますわね。」


 などと美咲がこの三局までの対局を見ていて感想を言っていると、


 するとそこで瑛が―――

「ああ、いいところに目をつけたな。 その通りだぞ、美咲。 これはなるべく早くツモアガりする為の特訓だな。」


「でも何故、ロンアガりでは駄目なのですか…?」

「……」


 ここで東四局めに瑛が、二巡目で西(シャ)を鳴いて、三巡目で(トン)を鳴いて、四巡目で大四喜(ダイスーシー)の親の役満手でツモアガりしている。


「ツモ、大四喜(ダイスーシー)…役満だ…。」


「…や、役満…っ!?」

「ああ、こうやって鳴いてでも、ツモアガりを目指した方が、自分が早くアガれる確率が高いだろ…? それにロンアガりでは、あくまで他人任せだから、アガれるかどうか解らないだろ…?」

「なるほど…これはそういう特訓なのですか…。」


「こいつら麻雀部員だから文化祭だけでなく、普段からこうやって練習や特訓をしているのだ。 だから俺のことを先生と呼ぶのだよ。」

「さすがは瑛先生。 実用的な教え方ですわね。」


「ふふふ、そうだろ?」

瑛がニヤリと笑いながら得意満面な顔をしていると、するとそこに横から―――

「それで美咲さん、僕たちもその文化祭に参加すればいいのですね? 例えば麻雀部員のお手伝いとかで……」

全く空気を読まない翼が、今回の仕事の内容を確認し始めてきた。


「…え…あっ…は…はい、そうですわ。 すっかり忘れていましたわ。」

「……」(さすがは翼様!!)

そう言えば、仕事の依頼に来ていたことを美咲がすっかり忘れていて、それを翼が呼び戻したことに美幸が感心している。


「ああ、そう言えば…仕事の依頼を受けていたな。」

どうやら瑛もすっかり忘れていたようだ。


「だが…もう一局打たせろ」

「……やれやれ……」

さすがの翼もすっかり(あき)れており、瑛の麻雀好きにも困ったものである。


  △▲


次回に続きます。


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