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アブソリュート=ゼロ ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
B. 【陸堂家の子猫編】
101/132

13.B【反逆者:2】

前回の続きです。

(今回は子猫は登場しません)

2017年12月、今年最後の投稿・連載です。


  ▼▽ (13)


 京都府の某所にある暗闇の細い道にて。


  ある日の夜


 女子高生のレイル・フライヤスが一人で、学校の帰り道に自宅まで歩いていると、左側の曲がり角から突然…一人の少女が飛び出してきて―――


  どん!


 そのままレイルとその少女がぶつかってしまった。


「あいたっ! ちょっと! 何…一体何なのよぉーーっ! 痛いじゃないのよぉーーっ!」

「…はぁはぁはぁはぁ…た、助かったの…? はぁー…」


 その少女がレイルの身体に、しがみついてくる。


「お、お願いします! た、助けてください!」

「……え……?」


 どうやら…この少女は誰かに追われているようなのだが…。


「私…このままだと…アイツに殺されるわ…うぅっ…」

「……は……何それ……?」


  たん!


 なんと言うことなのか、その少女が突然…レイルの身体から両手を離し、両膝を地面について、しゃがみ込んでしまった。


「…えっ!? どうしたの!? あなた…っ!?」

「……うぐぅ……」


 その少女は何故か、左側の脇腹を手で(おさ)えており、その手の間から…赤い液体が流れ落ちていて、服をつたって地面に滴り落ちている。

 驚いたレイルも一緒にしゃがんで、その少女が心配で様子を見ている。


「…えっ!? あなた…大丈夫なの!? それって…もしかして…血…なの!?」

「…うっ…なんだか知らないけど、突然…通り魔みたいのに…刺されてしまって…うぅっ…」

「…えっ!? 通り魔…っ!? 嘘でしょっ!? この道って…そんなに物騒なの!?」

「…うっ…それは…よく解らないけど…うぅっ…」


「と、とにかく…すぐに救急車を呼ばないと…!」

「…いいえ…それよりもここから…早く…逃げないと…私だけでなく…あなたも…殺されるわよ…うぅっ…」

「……っ!!?」


  タッ…タッ…タッ…


「ひぃ……っ!!?」

 その少女が声にならない悲鳴を上げる。


  タッタッタッ……


 すると…この少女が逃げてきた方向から、男性の人影がレイルたちの方に歩いて近づいている。


「…だ、誰なのっ!? アンタは…っ!?」


「おやおや…夜遅くに美少女がもう一人…こんな所に居るとは…驚きだよね? ぐふふ」


 暗くて顔は…あまりよく解らないけど、男であることには間違いなく、中年で…しかも体型はかなり太っていて、とても大きい…デブ…なのか? さらに左手には、大型のサバイバルナイフを持っており、刃先が少し赤く濡れている。

 もしかして…アレでこの少女の左側の脇腹を刺したのか?


「ちょっと! アンタは何ぃっ!? なんでこんなことをするのよぉ!?」

「ふん、そいつがおとなしくブラジャーとパンティーを渡さないから、そうなったんだ!!」

「…うっ…だ…誰が…アンタ…なんかに…っ!」

「は…っ!? そんなことの為に、アンタは人を刺すの!?」


「けっ! うるさい!! 黙れ!! お前も…この俺様に下着を献上しないと、そいつみたいに刺し殺すぞ!!」

「ふざけないで! 誰がアンタなんかに…っ!」

「ふん、バカな奴らだよ!! それなら…力尽くで奪い取るまでだよ!!」

「くっ、日本は比較的に治安が良いって聞いてたけど、まさか…こんな変態が居るとは…!」


  タッタッタッ……


「ひぃ……っ!!?」

 その少女がまた声にならない悲鳴を上げた。


「うっへっへっへっ」


 その中年の太った男が、刃物を持った左手を頭上に上げながら、顔はよく見えないけど…おそらくはイヤらしく笑う表情をして、どんどんとレイルたちの方に歩いて近づいてくる。


「うっへっへっへっ、覚悟しろよ! お前ら!」


 すると突然…中年の太った男の背後から―――


「…覚悟するのは…お前の方だよ! バカめが!」


  ガシッ!


 ―――と、その男姓の声と同時に、中年の太った男の刃物を持った左手を、掴む何者かの手があった。


「くっ、誰だ―――ぐがあぁっ!!?」


  ドン! ドサッ!


 その中年の太った男が、後ろを振り向こうとするのだが、首の後ろを(手刀の一撃で)強打されてしまい、中年の太った男が前のめりに倒れ込んだ。

 なんと…そこに居たのが、一珂院恭、一珂院撩、一珂院翔の三兄弟であり、力自慢の恭が、その中年の太った男を捕まえている。


「あ、あなたたちは……!?」

「…その前に……」


 撩が負傷している少女に近づき、流血している左側の脇腹の傷口を、少し光っている手で(おさ)えつけていて、撩は魔法を発動している。


【補助魔法】

《セイント.ワールド.オブ.サウザント》を使用


 撩の(てのひら)に「紅い瞳」がつき、この少女の左側の脇腹の傷痕をどんどんと吸収されていき、あっという間に傷口も流血も消えてしまった。


「えっ!? 傷口も血も痛みも全部無くなってる!? これって一体…っ!?」

「えっ!? 嘘ぉっ!? 一体どうやったのよぉ!?」


 レイルもその少女も物凄く驚愕している。


「彼女の傷を異次元に吸収してもらったのさ。 もう消滅して…この世には存在しない。」

「……?」

「……マホウ……なの?」

「ああ、そうだな。 これを渡しておこう。 また何かあったら…ここに連絡しなさい。」


 撩はレイルとその少女の二人に、一珂院家の名刺を渡した。


「いち……なんて読むの?」

「いちかいんりょう…だよ」

「一珂院…撩ね……日本の男性も、まだまだ捨てたものではないようね。」


「さぁもう夜も遅いから、俺たちが家まで送ろう。」

「はい、どうもありがとうございます!」

「ありがとう!」


 そして…一珂院三兄弟は、レイルとその少女を、それぞれの自宅に送り届けていた。


  △▲


次回に続きます。

(2018年1月、来年より再開予定)


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