きす×キス×kiss
甘々な短編小説です。
他のサイトでも公開していました。
ふわり
ふわりと
繰り返し、唇越しに伝わる微かな温もり。
幸せそうに傍らに眠る少年を起こさないように、それでも何度も何度もキスを落とす。
恋人へ贈るキスにしては随分可愛らしいキスである。
でもそれは少年を想っての事。
こうして深い眠りに落ちるほど、無理をさせたのは自分なのだから当然ではあるが。
本当はゆっくりと眠らせてあげたくはあるのだが、安らかに眠る少年の顔を見ているとどうしても我慢が出来ない。
剥き出しになった肩に、まだあどけなさが残る頬に、微かに開けられた唇に――。
見つめるだけでは物足らず、掠め取るように順にゆっくりと口づけをする。
「……んぅ」
「…………っと」
そっと唇を重ねた瞬間、不意に少年が小さく身じろぎをした。
起こしてしまったかと、慌てて身を起こすも少年の瞳は閉ざされたままだ。紅く染まり緩んだその頬を見て、ほっと安堵の息を吐く。
クスリと笑みを漏らす。
今度こそ起こさぬよう目元に口づけを落とすと少年の傍らに潜り込み、暖かな毛布と共に少年を腕に抱き込んだ。
夜明けには遠く、起き出すにはまだ早い。
少年の柔らかな猫毛に顔をうずめる。規則的に胸にあたる呼吸を感じながら、自分もゆっくりと眠りに落ちていくのを感じた。