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番外編


ある日、仕事から帰ると

いとーさんはいなかった


いつも、「ただいま」と玄関を開けると

元気よく「おかえりー!」と言ってくれるのだが


玄関を開けても、ただいまを言っても

シーーン、と静まり返っていた




おかしいな、こんな事初めてだ


居間に行ってみると

縁側の窓が開けっぱなしになっていた

洗濯物も干しっぱなしになっている


取り入れようと、縁側に置いてあるスリッパを履き

外に出ると


いつも、無造作に畑のあちこちにカカシが刺さっているのだが

今日のカカシは整列していた


キレイに並んで

皆、森に向かって歩いて行っているようだった



「…また、変な事してるな」



あれからカカシは

バージョンアップしており


血を吐いている奴や

お腹からハラワタが飛び出ている奴

黒ギャルに、めっちゃセクシーな奴

うんこ漏らしてる奴もいる


そんなカカシが整列して

森に向かって歩いている



とりあえず、俺もカカシの横を歩いて森に行ってみる





ほんとに何体いるのかわからないくらい作ったな


ネズミくらい小さいサイズのやつもいてバリエーション豊かだ




森に入ったカカシは

カメムシがいた木にタッチして

家に帰るルートになっていた


長いカカシの行列は家の裏口まで続いて、終わった




いったい、なんだったんだ




俺は、裏口から家に入り

洗濯物を畳んでいると


いとーさんが帰ってきた


「あ、おかえりなさい」


「おい!もさむ!俺がどこにいたか分かったか!?」


「え?わかりませんよ

何してたんすか?」


「前から75体目の、目ん玉飛び出してる奴だよ!!」



いとーさんはカカシの列に並んでいたらしい。





そんな、いとーさんとの日常


【番外編】



実は俺は音響会社で働いており

お祭りやイベント、ライブ会場の音響をしている


この島では

毎シーズン、イベントがあり

土地が広いので結構大掛かりなライブが行われたりする


島だが、東京からフェリーで30分程度で着くので

アクセスしやすく

かなりの人が集まる





いとーさんはライブが大好きだ


フェスがあると必ず会場にいる


偶然、俺に会うと大声で名前を呼んでくるので

少し恥ずかしい


いとーさんは、いつも1人で誰よりも楽しんでいる


中でも、

コンジョウヤキ というバンドがお気に入りで

全身、コンジョウヤキグッズを身に纏っている


いとーさんは坊主頭で背が低い(160くらい)

なので、いつも最前列で拳を突き上げ楽しんでいる


ほんと元気な40歳だ


お祭りでも、率先して神輿を担ぐ



静かな野外コンサートでは

ピアノ演奏の素晴らしさに号泣していた事もあった



豪快なんだか、繊細なんだか…








「おい、もさむ!次のイベントは何だ!」


「えーーと、次は、、

無いですね、しばらくありません」


「なんだって?!?!?」



いとーさんはショックのあまり

バナナに滑ったかのように

大袈裟に転げまわった




「仕方ないんですよ、この時期

台風が多いんでイベントは出来ないんですよ

結構この島、直撃しますからね」



「何だよーーー!!!!来ねーよ台風なんか!!」




いとーさんはそう言ったが

今年はめちゃくちゃ台風がきてしまい

中止になるイベントもあった





「大丈夫ですよ、また来年ありますから…」


一応励ましてみるが

落ち込んでいる、いとーさん





イベントが中止になった、次の日


いとーさんは

畑のカカシを集めて

1人でフェスをしていた


自分で歌って、エアギターして

モッシュしてダイブしてサークルまでしていた(カカシと)




俺は、それを縁側から眺め


健康に生きてる平和な日々に感謝した。







【番外編 完】


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