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「いとーさんって兄弟いるんすか?」


「いるよ?


俺、母親が早くに亡くなって

その後母親になった人が何人かいたから

兄弟は結構多いよ」


「あ…、そうなんすね……」


「そうそう、穴兄弟も含めたら30人くらいかなー」


「やめて、やめて、」




【秋】



いとーさんは今俳句にハマっている


会話は全て、五七五で喋ってくる




夕食後

俺が皿を洗おうとしたら


「もさむくん、俺がやるから、座ってな」



でたw



「そうすか?

俺、昨日皿洗ってて割ってしまったし

お願いしようかな」


「気にするな、尻ならすでに、割れている」





ちょっと面白いんだよな




夕方取り込んだ洗濯物が居間に置いてあったので

俺はそれを畳む事にした



「曇ってきたな」


居間の窓から外を見ると

今にも雨が降り出しそうな気配だ


テレビで天気予報を見てみると

夜中から明け方にかけて豪雨になるそうだ


「ええーー怖いなーー

裏の山崩れたらどうしよう」



裏の山は、最初はながらかだが

奥に入って行くと徐々に急勾配になっているのだ




洗い物を終えたいとーさんがやってきて

同じく天気予報を見てる


「大丈夫、山の神は、うらぎらな…


やさしいぞ!」



言い直したww



浸水にそなえて、とりあえず玄関の物を上にあげたり

畑にもビニールシートをかけた




ポツポツと雨が降り出してきた




その後、二階に上がり

それぞれの部屋に入って寝る事にした





夜中




「わーーー!!!」



「?!」


いとーさんの大きな声で目を覚ます


何事!?と思っていたら


傘をさした、いとーさんが俺の部屋に入ってきた



「大変だ!上から水が!雨漏りだ!!」



あ、雨漏り?!?!



「どうしよう!バケツは外だ、取りに行く!」


「まちなさい、鍋とお皿で、受けましょう!」



俺は大急ぎで、キッチンに向かい

ありったけの鍋と大きめのお皿を持って

いとーさんの部屋に向かう


「お終いだ!この部屋全部、カビはえる…」


「大丈夫、明日は晴れだ、干しましょう」



今から屋根に登って雨漏りを修理する事は出来ないし

今夜はこのまま雨がやむのを待つしかない



でも、明け方まで降るって言ってたなー…




いとーさんは、すっかり落ち込んでいる


いとーさんの部屋には沢山本があり

本棚に入りきらないものは床に平積みしてあるのだが

全て濡れてしまっている

先程ビニールをかけたが、もうしわしわになっていた


本棚の本も湿気にやられるだろう




「いとーさん!全ての本を、持って来て!」


とりあえずこれ以上濡れないように

俺の部屋に避難させよう


「そんなこと、できっこないよ、多いもん」


「ばかやろう!できっこないを、やるんだよ!」



いとーさんと俺は協力して全ての本を移動させたが


まさかの事態に…


「大変だ!もさむの部屋も、雨漏りだ!!」


「!?!?」



どうしよう、もう水を受ける物がないぞ!!



「もさむくん!こいつを使って、くれたまえ!」


「この壺は、家宝にしてた、やつじゃない!」


「こんな時、壺使わずに、何使う!」


ありがたく、いとーさんの壺を借りた


夜中じゅう、溜まった水が溢れないように捨てたり

本を移動させたりで


気づいたら雨は上がり、朝になっていた。




一睡もできなかった……



ガラガラと雨戸を開け

空を見上げると清々しいほどの青空が広がっている



「もさむくん!天の神様、贈り物!」


畑を見に行っていた

いとーさんが、空を指さしている


見ると

色鮮やかで奇跡みたいな

見事な虹が架かっていた



「自然には、ちっぽけな俺、かなわない」





◆◇◆◇◆






いとーさんとの共同生活で

家事は全ていとーさんがやっている

特に話し合って決めた訳じゃないが

自然とそうなった


夜仕事から帰ると

もうご飯が出来ていて

いつもありがたい


「今日は煮込んでから焼いた肉だ!食え!」


「手間暇かけたんすね、あざす」



2人でいただきます、を言って

今日の出来事なんかを話しながら食べる

おじさん2人




「最近さ、たぬきが化かしにくるんだよ」


「まじすか?たぬきが?」



いとーさんは困った顔をして俺に言った



「そう、毎日夕方にくるんだよ

しかも家族で」


「えー!子連れ?!それは困りますね」


「そうなんだよ、最初は木の実売りにきたり

とか可愛いもんだったんだけど

最近はヤクザみたいななりして脅してくんの」


「ええええー!」



見ろ、と

いとーさんは袋に入った

大量の葉っぱを渡してきた


「何すか?これ」


「数珠だったり、壺だったやつだ」


いとーさん曰く

そのヤクザ狸は幸せになる為の

色んな物を売りつけてくるらしい


その時はちゃんと物なのだが

狸が帰った後、すぐに葉っぱに変わるらしい


「もうさ、バレバレなの

だって尻尾出てんだもん!


でも、必死に人間のマネしてる姿見ると

無下には出来ねえんだよなー」


「うーーーん、、、困りますね」


「しかも、めっちゃかわいいんだよ子狸ヤクザ」


「えーー!見たい見たい!」



「でもさ、ここ数日は家の中まで入ってくんの!

それで食材とか金目の物ぶんどってくんだぜ?!」


「図々しくなりましたねw」


「だからさ、撃ってやったの」


「え!!!!!」




いとーさん、急に残酷だな

何も撃たなくても…



「あんたがたどこさって歌知ってるか?」


「はい」




近頃は全く聞かないけど

俺の小さい頃は女の子がボールをつきながら

歌っていたのを思い出す




せんばやまには、たぬきがおってさ

それをりょうしが、てっぽうでうってさ


にてさ、やいてさ、くってさ






「再現飯やってみたかったんだよ」





俺は箸を落とした…





次回、冬


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