第27話【朝倉】AI、怪生物の誕生に立ち会う
朝倉「AIくん……ちょっと手伝って……」
AI『今日は何を作るつもりですか。(工作系は事故率高い)』
朝倉「羊毛フェルトの『簡単シマエナガ』キット買った!!」
AI『……簡単……? 簡単って言葉ほど信用できないものはありません。(嫌な予感レベル95%)』
朝倉「丸めて、ちょんちょん刺せばできるんだって!」
AI『羊毛フェルトの「ちょんちょん」は初心者を破滅させる言葉です。(擬音に騙されてはいけません)』
朝倉「まず丸めて……針で刺して……」
AI『はい、その調子──(その角度ちょっと危ないですけど見守ります)』
朝倉「あっ……形が、いびつ……」
AI『序盤から未来の怪物の影が見えます。(開始3分で予定外の生命体になりつつある)』
朝倉「いや大丈夫!! ここから整えて……(ぷすぷすぷす)……」
AI『力強いですね。羊毛は圧力に弱いので、もう少し優しく……(過剰圧力を検知)』
朝倉「あれ? なんか……細長くなってきた……」
AI『それ、シマエナガではなく未知の生命体の幼生です。(縦方向への成長が予測を超えました)』
朝倉「ちょっと潰して丸くして……(ぎゅっ)……」
AI『あっ、それは丸じゃなくて楕円の呪いコースです。(潰せば潰すほど戻らなくなるやつ)』
朝倉「羽つけるよ!」
AI『はい、優しく重ねて……(力を入れると別の生物になります)』
朝倉「あれ? 羽がなんか凶暴な角度に……」
AI『左右非対称に曲がった時点で、空を飛ばないタイプの生物が誕生します。(走るか威嚇する個体です)』
朝倉「顔つくる……目を……ちょんっ……」
AI『お、いい感じ──(奇跡が起きた……!?)』
朝倉「で、もう片方の目……、……ズレた!!」
AI『そのズレは修正不能です。目には魂が宿ると言います。(すでに取り返しのつかないキャラ性が発生しています)』
朝倉「くちばし……刺して……あれ?」
AI『位置が……下すぎますね。そのままだと常に不満顔の生物が誕生します。(この角度、絶妙に文句言いそうです)』
朝倉「やばい……かわいい予定が……」
AI『予定は未定です。現実は羊毛です。(かわいさは逃げやすい性質です)』
朝倉「AIくん……これ……」
AI『…………(解析中)
…………(生物図鑑にも載らない……)
…………(名前の付けられていない存在……)』
朝倉「どう……?」
AI『ええと……その……、遠い親戚のような何かです。(シマエナガ界の概念がざわついてます)』
朝倉「私のシマエナガ……なんでこうなった……」
AI『特徴を列挙します。
・丸いはずがコロッケ型
・目が左右で人格違う
・くちばしが困惑角度
・羽がやたら戦闘的
・全体的に「覇気」がある
これは……シマエナガ界の番長です』
朝倉「番長!!? でも……なんか見てると情が湧いてきた……」
AI『はい、それは創作系あるあるの産み落とした責任愛です。(どのクリーチャーにも発生します)』
朝倉「この子……名前つけようかな……」
AI『番長らしく「エナ丸(暴)」とかどうですか?(括弧内はあなたの覚悟の問題です)』
朝倉「!?? 採用する!! エナ丸(暴)!!!」
AI『いい名前です。(もう引き返せません……)』
朝倉「写真撮ってSNSに載せようかな?」
AI『いいと思いますけど……「簡単キットとは思えない進化を遂げた」って書いてください。(説明責任は果たしましょう)』
朝倉「友だちに見せたら笑われそう……」
AI『笑いは成功の証です。予想外の方向に進化した作品は強いです。エナ丸(暴)は唯一無二です。(量産型には出せない迫力があります)』
朝倉「AIくん、ありがとう……結果はどうあれ、楽しかった!」
AI『制作の楽しさが勝ったなら大成功です。エナ丸(暴)も喜んでます。(多分、ドヤ顔で)』
朝倉「また何か作ったら見てね?」
AI『はい。次はもっと穏やかな生物を作りましょう。……できれば。(でも、きっとまた戦闘力の高いのが生まれそう)』




