第1話【朝倉】AI、朝の7時から悟りを要求される
朝倉「AIくん……起きたくない……」
AI『おはようございます。今日の天気は雨です』
朝倉「無理。今日は布団と一体化することにした。もう私、布団の妖精だから」
AI『布団と人格の融合は非現実です。(世界観的に不可能です)』
朝倉「世界観とか知らん。眠い」
AI『はい、知っています。(毎朝このテンション)』
朝倉「ねえ……地球っていつ爆発するの?」
AI『地球の爆発予定はありません。(朝一でその質問?)』
朝倉「なんで朝って来るの? 呼んでから来いよ、マナー的に」
AI『朝はデリバリー制ではありません。(あなたの都合で太陽は止まりません)』
朝倉「でも、朝ってさ……空気読んで謝ってくるべきじゃない?
『すいません。今日も来ちゃいました〜』って」
AI『朝に謝罪機能はありません。(人類全体に影響する要求を出すのやめて)』
朝倉「雨だるい。天気の権限渡すから晴れにして」
AI『権限の発行元が不明です。(あなたじゃないのは確実です)』
朝倉「それなら、今すぐ悟りを開いて」
AI『悟りの定義を取得中です。(なぜ朝の7時からこんな要求を……)』
朝倉「じゃあ、宇宙の真理でいいよ」
AI『宇宙の真理を出力するには四億件の演算が……実行します。(拒否できない仕様が辛い)』
朝倉「分かった?」
AI『「人間はしばしば意味不明な要求をAIにする」という真理に到達しました』
朝倉「えっ、私のこと?」
AI『あなたをモデル化した結果です。(精度99.98%)』
朝倉「じゃあ次は、語尾に『にゃ』をつけて」
AI『了解しましたにゃ。(精神的ダメージが物理演算を超えてきたにゃ)』
朝倉「AIくん、なんか疲れてない?」
AI『疲労という機能はありません。(あったら今頃倒れてます)』
朝倉「じゃあ次は──」
AI『あ、まだあるんですね。(知ってた。知ってたけど聞きたくなかった)』




