第7話:天空に浮かぶ交易都市!「星巡りの方舟『ルクス』」へ!
ワープ航行を終え、シューティングスター号が通常空間に姿を現す。
窓の外に広がる光景に、俺たちは言葉を失った。
「でっか……」
眼前に浮かぶのは、一つの都市、いや、一つの世界そのものだった。
巨大なリングが幾重にも重なり合い、その内側には緑豊かな大地やきらめく水面さえ見える。リングの中心にそびえるコアからは、天まで届かんばかりの無数のタワーが伸び、それらを繋ぐように光の道筋――魔法で形成されたハイウェイ――を、無数の小型船が行き交っていた。全体が柔らかな光の繭に包まれ、まるで神話に出てくる天空都市のようだ。
あれが、星巡りの方舟『ルクス』。
銀河中の人、物、金、そして欲望が集まる、宇宙最大の交易ステーション。
「すごい……! お城みたい! ねえユウト、早く行ってみようよ!」
アステラが子供のように目をキラキラさせて、俺の腕をぶんぶんと振る。
シューティングスター号は、ルクスの巨大なドッキングベイに吸い込まれるように着艦した。管制官とのやり取りは、リーベがそつなくこなしてくれる。何百という船が整然と並び、自動で動くカーゴドローンが忙しなく行き交う。アナウンスの音声が、様々な言語で響き渡っていた。
一歩船外に出ると、そこは喧騒と活気に満ちた別世界だった。様々な種族の異星人が行き交い、未知の言語が飛び交う。空気は異国の香辛料と機械油の匂いが混じり合い、どこか退廃的で甘美な雰囲気を醸し出していた。ルクスはいくつかのブロックに分かれており、貴族が住む上品なエリアもあれば、裏社会の人間が蠢くアングラなエリアもあるらしい。
「さて、まずは活動資金の確保だ。せっかくここまで来たんだ、パーッと景気よくいこうじゃないか」
俺は不敵な笑みを浮かべ、ルクスで最も煌びやかで、最も欲望が渦巻く娯楽ブロックへと向かった。
目的は、魔法カジノだ。
黄金と魔光石で彩られた巨大なゲートをくぐると、その豪華絢爛な内装に圧倒される。天井からはシャンデリアのように巨大な魔石が吊り下がり、床には柔らかな絨毯が敷き詰められている。魔力で絵柄が変化するカードを使ったポーカー、属性魔法の相性で勝敗が決まるカードゲーム、さらには精神感応能力で未来を予知し、その結果に賭けるというダイスゲームまである。どれもこれも、俺の好奇心を強く刺激するものばかりだった。
「ユウト、すごい! キラキラしてる! お祭りみたい!」
アステラは初めて見る世界に、大興奮だ。
「(まあ、見てろ。俺の現代知識チートがあれば、こんなカジノ……いや、待てよ)」
一瞬、楽勝ムードが頭をよぎるが、すぐにそれを打ち消す。これは遊びじゃない。俺たちの今後の活動を左右する、重要な「資金調達プロジェクト」だ。
俺は《解析瞳》を発動させ、カジノの奥へと足を進めた。確率論、期待値、資金管理。前世でソシャゲのガチャに注ぎ込んだ知識と情熱、そして、膨大な情報から最適解を導き出すために徹夜で回し続けた分析ツール。それらの経験を、今こそここで発揮する時だ。俺の戦場は、ここにある。




