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第51話:ラスボス、聖域に降下! 最終決戦の舞台は地上(魔法)戦へ!

『馬鹿なぁっ!』


カイヴァー・ドレークの断末魔(だんまつま)が、通信回線の残滓(ざんし)となって、俺たちのブリッジに虚しく響き渡る。


アステラの放った光の奔流に貫かれた敵旗艦は、その内部から連鎖的に爆発を起こし、やがて、音もなく、巨大な火球となって、宇宙空間に四散した。


俺は、その光景を冷静に見届けながら、ライブラに最後の指示を出す。


「ライブラ、聖域の重力制御装置を使い、爆発のエネルギーを、敵艦隊の中心に押し戻せ。衝撃波で、残党を掃討(そうとう)する」

『了解。タスク、実行します』


タスクは、最後まで確実に。リスクは、徹底的に潰す。それが、社会人の基本だ。


聖域から放たれた不可視の重力波が、爆発のエネルギーを敵艦隊の中心へと押し戻し、連鎖爆発を誘発する。統率者と旗艦を同時に失った『深淵』の艦隊は、完全に崩壊し、残った船は、蜘蛛の子を散らすように、撤退を開始した。


「やった……! やったね、ユウト!」

「へっ、アタシたちの敵じゃなかったな!」


ブリッジに、歓喜の声が響き渡る。


宇宙空間では、アステラとカリスタが、互いの健闘を称え合うように、ハイタッチを交わしていた。


爆発の光が、歓喜に沸く仲間たちの顔を明るく照らし出す。俺たちの、完全勝利だ。


だが、俺は、勝利の余韻に浸る仲間たちの中で、一人、眉をひそめていた。


何かが、おかしい。


カイヴァー・ドレークほどの男が、こうもあっさりと、やられるものだろうか?


俺の《解析瞳》が、再び、警報を発した。


それは、先ほどまでの巨大な魔力反応とは違う。もっと小さく、しかし、より凝縮された、鋭利な刃物のような、不穏な気配。


「……ライブラ、何か、見逃しているものはないか?」


俺の問いに、ライブラは即座に聖域全域のセンサーを再スキャンする。


『……! 報告します! 旗艦の爆発直前、極小の脱出艇が、射出されたのを確認! 現在、聖域下方の惑星、コードネーム『ノヴァ』の大気圏に、高速で突入しています!』


魔導水晶盤(クリスタルパネル)に、一つの赤い光点が、惑星の地表へと落ちていく様子が映し出される。


やはり、生きていたか、カイヴァー・ドレーク。


『彼の目的地を、予測。……! いけません、ユウト様! 彼の向かう先には、古代の兵器が封印されている『第一神殿』が存在します!』

「古代の兵器だと?」

『それだけではありません! その神殿の最深部には、この聖域の、いえ、この宇宙の魔力バランスを調整する、最重要魔導具――『魂格(ソウル・フレーム)』の本体が、安置されているのです!』


ライブラの声が、初めて、焦りに震えていた。


もし、カイヴァー・ドレークが、魂格(ソウル・フレーム)を手にすれば、どうなるか。


宇宙の調和を、彼のエゴで、自在に操ることが可能になる。それは、この宇宙の、完全な終焉を意味していた。


「ちっ、最後の最後まで、面倒な奴だ!」


俺は、悪態をつきながら、即座に指示を出す。


「オリビア、全速力で奴を追うぞ! 惑星に降下する!」

「アステラ、カリスタ、船に戻れ! 決戦の舞台は、地上だ!」


俺たちの戦いは、まだ、終わっていなかった。


シューティングスター号は、急反転し、赤茶けた大地を持つ、死の惑星へと、その機首を向けた。


決戦の舞台は、無限の宇宙空間から、古代の謎に満ちた、惑星の地表へと移る。


俺たちの、最後の戦いが、今、始まろうとしていた。


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