第14話:「星のささやき」の覚醒。アステラに聞こえる宇宙からの道標
絶え間なく続く攻撃。四方八方から迫る敵の群れ。
アステラは懸命に戦い続けたが、その動きは徐々に精彩を欠き始めていた。回避が精一杯で、有効な反撃ができない。魔力の消耗も激しい。
「(このままじゃ……みんなを、守れない……!)」
焦りが、彼女の思考を鈍らせる。その時だった。
『……き……て……』
不意に、頭の中に直接、声のようなものが響いた。
いや、声ではない。もっと純粋な、音の奔流。あるいは、光の波動。
それは、暖かく、そしてどこか懐かしい感覚だった。
『……ささやき……を……』
「(声……? ううん、違う……。これは、星が……歌ってる……?)」
混乱するアステラ。だが、その不思議な感覚に身を委ねると、世界が一変した。
これまでただの暗闇だった宇宙空間に、無数の光の流れが見えるようになったのだ。それは銀河を流れる天の川のように、あるいは生命の血管のように、複雑に絡み合いながら、壮大なシンフォニーを奏でている。星々の誕生の産声、星雲が奏でるハミング、そして、宇宙そのものが発する荘厳なコーラス。その全てが、彼女の魂に直接流れ込んでくる。
《解析瞳》で船内からアステラの様子を見ていた俺は、彼女の変化に気づいた。
「(なんだ……? アステラの魔力パターンが、急激に変化している……! 外部の魔力と共鳴し、増幅しているのか!? これは……システムの暴走じゃない。最適化だ!)」
アステラの瞳が、淡い虹色に輝き始める。その瞳には、まるで宇宙の法則を読み解くかのような、複雑な幾何学模様が浮かび上がっていた。
これが、彼女の特異体質――『星のささやき』の覚醒の瞬間だった。
彼女は今、自分自身の内なる魔力だけでなく、宇宙そのものに満ちる膨大な魔力の流れと繋がったのだ。
「(そうだ、アステラ……! 感じるんだ! お前はもう、一人じゃない!)」
俺は思念通信で叫んだ。
俺の声が、彼女の中で響く「星のささやき」と重なり合う。
アステラは、はっと顔を上げた。その瞳にもう迷いはない。
彼女はゆっくりと光の剣を解き、両手を広げた。
まるで、宇宙の全てを抱きしめるかのように。
「(そうか……。私は、この声に従えばいいんだ……)」
彼女がそう思った瞬間、周囲の光の流れが、彼女の意思に応えるように集まり始めた。
それは、あまりにも美しく、そして神々しい光景だった。




