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第13話:宇宙生物の襲来! 魔装備を装着し、いざ船外迎撃戦へ!

ルクスを出港し、ワープ航行に入って数時間。

シューティングスター号の船内は、穏やかな空気に包まれていた。リーベは新しい開発キットを前に目を輝かせ、オリビアは手に入れたパーツの取り付けプランを練っている。アステラは、俺の隣でルクスで買ったお菓子を幸せそうに頬張っていた。


「そろそろ目標宙域だ。首都惑星ハライソが見えてくるぞ」


オリビアがそう言った直後、ワープ航行特有の空間の歪みが収束し、船は通常空間へと帰還した。窓の外に広がるのは、巨大な環を持つ惑星――サターン星系の主、ハライソの威容だった。その壮大な光景に、俺たちが息を呑んだ、まさにその瞬間だった。


ガガガガッ!


凄まじい衝撃が船体を襲い、俺たちは座席から放り出されそうになった。

コンソールが一斉に火花を散らし、船内にけたたましい警告音が鳴り響く。


「敵襲!? どこから!?」


オリビアが叫びながら、必死に操縦桿を握る。窓の外には、信じられない光景が広がっていた。

小惑星に擬態していたと思われる、無数の巨大な岩石状の宇宙生物が、一斉にこちらへ向かってきている。その数は、ざっと見て五十を超える。奴らは体表から紫電を迸らせ、あるいは絶対零度の冷気を凝縮した氷塊を、弾丸のように撃ち込んできた。


「魔導防壁、損傷率35%! このままじゃ、もたない!」

「くそっ、航行用の魔導炉の一部がイカれた! まともに動かせない!」


リーベとオリビアの悲鳴がコクピットに響く。ワープアウト直後の無防備な状態を、完璧に狙われたのだ。船内の照明が明滅し、ガコン、ガコンと嫌な金属音が鳴り響く。このままでは、ただの鉄の棺桶にされてしまう。


「(またこれか……! どうして俺の人生は、こうも次から次へとトラブルが……!)」


平穏なニート生活への道が、また一つ、巨大な障害で塞がれた。俺は内心で悪態をつきながらも、即座に思考を切り替える。これは、俺のチームの存続を賭けた、最優先の「危機管理プロジェクト」だ。


「リーベ、船の修理を急いでくれ! オリビアは回避に専念!」

「わかってる! でも、このままじゃジリ貧だよ!」


俺は舌打ちし、覚悟を決めた。

「俺とアステラで対応する。船外で敵を迎撃する」

「正気かい!? この数相手に!?」

「船が動けない以上、やるしかないだろ。アステラ、行けるな?」

「うん! ユウトがいれば大丈夫!」


アステラは、一切の迷いなく、力強く頷いた。

俺たちは船倉にある装備ロッカーへと急ぐ。そこには、個人が宇宙空間で活動するための魔装備――宇宙服型の魔道具が格納されていた。


「アステラ、これを着ろ」


俺が手渡したのは、彼女の体に合わせて調整された、白銀を基調とする流麗なデザインの魔装備だ。軽量な合金の表面には、生命維持や機動を司る魔導回路が、美しい紋様のように青白い光を放っている。ヘルメットを装着すると、プシュッという音と共に内部が与圧され、様々な魔法が起動した。


「ユウトは?」

「俺は船に残って指揮を執る。お前が俺の目となり、手足となって戦うんだ。いいな?」

「うん!」


アステラを射出ハッチへと導く。


「アステラ、出撃準備完了!」

「いつでもいけるよ!」


ハッチが開き、眼前に漆黒の宇宙と、無慈悲に攻撃を仕掛けてくる敵の群れが広がる。


「アステラ、出るぞ!」


オリビアが叫ぶと同時に、魔導カタパルトがアステラの体を宇宙空間へと射出した。

白銀の流星となった彼女は、光の尾を引きながら、敵の群れへと一直線に突っ込んでいった。


宇宙空間での戦闘は、地上とは全く異なる。上下左右の概念はなく、慣性が全ての動きを支配する。アステラは魔装備のスラスターを巧みに操り、縦横無尽に空間を舞いながら、その手に光の剣を形成した。


紫電の鞭が、彼女を捉えようと虚空を裂く。氷の槍が、音もなく背後から迫る。

アステラはそれらを紙一重でかわし、反撃に転じる。光の剣が一閃されるたび、岩石生物の硬い体表が切り裂かれ、内部の魔力光が漏れ出す。序盤は、彼女の独壇場だった。その圧倒的な機動力と攻撃力は、敵を寄せ付けないかに見えた。


だが、敵の数はあまりにも多すぎた。

一体を倒しても、すぐに二体、三体が新たな壁となって立ちはだかる。まるで、彼女の力を試すかのように、その包囲網は少しずつ、しかし確実に狭まっていく。


「(くっ……! きりがない……!)」


アステラの表情に、初めて焦りの色が見え始めていた。

敵はただの物量任せではなかった。一体が陽動として正面から紫電を放ち、その隙に別の二体が左右から回り込んで氷の槍で退路を塞ぐ。その連携は、まるで一つの知性によって統率されているかのようだった。


ガキンッ!


光の剣が、一体の敵を仕留めた瞬間、死角から放たれた氷塊が魔装備の左肩に直撃する。凄まじい衝撃に、アステラの体が錐揉み状態に陥った。


「きゃっ……!」


ヘルメット内に、甲高い警告音が鳴り響く。

『――警告。左肩部装甲、損傷。魔導防壁出力、20%低下』


「(まずい……!)」

焦りが思考を鈍らせ、呼吸が荒くなる。ヘルメットの内側が、自身の吐く息で白く曇り始めた。通信機からは、オリビアの叫び声と、船体が被弾する衝撃音が断続的に聞こえてくる。孤独感と焦燥感が、彼女の心を蝕んでいく。


「(私が、もっと早く敵を倒さないと、船が……みんなが……!)」


その焦りが、さらなる隙を生んだ。

四方八方から絶え間なく降り注ぐ紫電と氷塊の弾幕。もはや反撃どころか、回避するだけで精一杯だった。光の剣を振るう暇など一瞬たりともない。スラスターを最大噴射し、迫りくる攻撃の僅かな隙間を縫うように飛び続けるが、敵の攻撃はそれをあざ笑うかのように執拗に彼女を追い詰める。一体、また一体と、敵の攻撃が魔導防壁を掠め、そのたびに警告音がけたたましく鳴り響いた。魔力の消耗も、予想以上に激しい。魂が削られていくような消耗感が、彼女を蝕み始める。自らの力の源である魔力が、急速に枯渇していくのを肌で感じ、心臓が冷たくなるのを感じた。


包囲網は、もはや目と鼻の先にまで迫っていた。四方八方を敵に囲まれ、逃げ場はない。紫電の鞭が、氷の槍が、そして岩石の巨体が、絶え間なく彼女に襲いかかる。


「(ユウト……みんな……ごめん……私、もう……!)」


希望が、絶望に塗りつぶされかけた、その時だった。


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