第52話
白い花の咲いたようなふわりとした白いスカートの服を着ていて、裸足で、緑色のりぼんをその美しい白い髪につけていました。グラスはさなと同じ十二歳くらいに見えました。(わたしは同い年のみんなよりも少し小さく見えたから、ちょっとだけお姉ちゃんみたいに思えました)
さなとグラスはそれからすぐに、とっても仲のいいお友達になりました。
グラスをはじめて見たとき、光が、とても眩しかったのです。光が、なんだか、とってもきらきらと輝いていたんです。
病室の中に差し込んでくる光が。
白い壁や白い床を照らして反射している眩しい太陽の光が。
グラスの真っ白な髪や体を照らしている光が。
そんなたくさんのきらきらした光が、わたしのことをまるごと全部(身体だけじゃなくて、なんだかわたしの目に見えない心と一緒に)包み込んでくれているみたいに思えました。
グラスは本当に綺麗でした。
……、本当に、本当に、美しかったのです。
だけど、グラスはさなではないほかのみんなには見えないようでした。
先生や看護婦さん。お母さんが病室にやってきたときにグラスのことをなんて言ったらいいのか、さなが悩んでいると、グラスは「大丈夫ですよ。わたしのことはさなではない人には見えませんから」とにっこりと笑ってさなに言いました。
どうして? とさなは画用紙に書いて言いました。
「お花の妖精というものは、そういうものなんです」とグラスはくすくすと笑ってさなに言いました。
グラスの言っていることは本当のことで、みんなにはグラスが見えていないみたいでした。声も聞こえていないようでした。
グラスはずっと窓のところにある白いお花の鉢植えのところにいて、たまにみんなに(ばれないからこっそりと)いたずらをしながら楽しそうに過ごしていました。(わたしはみんながグラスのことに気がつくんじゃないかと思って、とってもどきどきしました)