第18話 ある少女の見る夢 ……毎日を、きちんと生きる。
ある少女の見る夢
……毎日を、きちんと生きる。
「人ってさ、死んでしまったらどうなると思う?」
少女はもう一人の少女に質問する。視線は星を見続けている。
「急にどうしたの?」
もう一人の少女が少女に言う。
「だって、知りたいじゃん、どうなるのかさ」
「きっと、どうにもならないよ。死んだら終わり。たぶん、人は何処にも行かないよ」
もう一人の少女が答える。もう一人の少女も星を見続けている。
「それは違うと思うよ」少女が言う。
「違うって、なにが?」
「どこにも行かないってところ」
「じゃあ、君は人が死んだらどこに行くと思っているの?」
もう一人の少女の質問に少女は笑顔で答える。
「今見ているところ。『人はね、死んでしまったら星になるんだよ』」
もう一人の少女は少女の顔に視線を移す。なんだかとてもあきれたような顔をしている。
ようやく私の顔を見た。最初からそうしていればいいのに。
あなたは星を見てないでしょ? あなたはいつだってどこか遠いところを見ている。ここではない場所。どこか遠くに行きたいんだよね、あなたは。
でもだめだよ。そんなの許さない。あなたは私のそばにいるの。
私とあなたはずっと一緒に暮らすんだよ。
だって、私たちは友達なんだから。
離ればなれになることなんて絶対にないんだからね。
そう心の中でつぶやくと、少女はもう一人の少女の美しい黒色の瞳を見つめ返した。そしてそれから、もう一度、夜空に輝く満天の星空を見て、にっこりと笑った。
星空を背景に、あなたの顔が私の瞳の中に映り込む。
私はなんだか、星に手が届いたような気がした。
気がしただけで、十分だった。
そこで少女の夢は終わった。
朝、目が覚めると、やっぱり、少女は泣いていた。
見ていた夢は、消えてしまった。
ある少女の見る夢 終わり