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第15話 月の満ち欠け なにしにきたのって、決まってるじゃん。君を助けにきたんだよ。

 月の満ち欠け


 なにしにきたのって、決まってるじゃん。君を助けにきたんだよ。


 私がこうして心から笑えるようになったのは、(きっと)全部あなたのおかげだった。


 私が知っていることなんて、この世界のほんの少しの真実だけに過ぎない。世界は真っ暗な闇の中にあって、そのほとんどの姿を私は目にすることができない。

 それは真理であると思う。

 世界には私の知らないことがたくさんあった。


 私はあなたのことが大好きだった。(私は君のことが大嫌いだった)

 私はあなたのことが大嫌いだった。(私は君のことが大好きだった)


 その二つの気持ちはどちらも本当の私の気持ちだった。

 どちらも本当の大切な私の気持ち。

 さて、ここで問題。

 私はどうすればいいだろう?

 猫になった私は、これから猫として生きていくのか? (本物の猫になるのか?)

 それとも人間として生きていくのか? (やっぱり人間に戻るのか?)

 どっちが正解だろう?

 私がそう問いかけると、あなたはいじわるそうな顔でにっこりと笑って、「あなたの人生なんだから、あなたの好きにすればいいよ」と私に言った。

 そんなあなたのすごく楽しそうな笑顔を見て、優しい風の吹いている、月の明るい夜の中で、自分の家の赤い屋根の上にいる猫なった私は、やっぱりあなたのことが嫌いだと思った。


 ……私が消えてしまう前に。


 私は、私を見捨てない。絶対に。


 怖くない。怖くなんて、全然ないよ。


 月の満ち欠け 終わり

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