0.失敗作
はじめまして!閲覧していただきありがとうございます!
何年か前からあたためていた作品ですが、ちゃんと執筆するのは初めてなので、おかしな点や誤字脱字かなりあると思います。ご了承ください!
またもし見つけたら教えていただけると嬉しいです。
「ああ、こっちはダメか」
白く、豪華な城の一室で、白髪の男は呟いた。男の両手には二つの球体が握られている。球体の中では小さな赤子がすやすやと気持ちよさそうに眠っていた。
そのうちの片方、左手首に紋章がある赤子が入った球体を見て、男は顔を顰める。
「最近は調子が悪い。ダメになってきた賢者を二千年ぶりに代替わりさせようと思ったのに、成功したのは一つだけか」
はあ、とため息を吐きながら男は懐から綺麗な箱を召喚する。そして成功した方の球体を箱の中へしまった。
「まったく、何故こう気持ち悪い紋章がついてしまうのか。こんなのを俺の手下にするなんてありえない。ゴミだゴミ」
男はそう呟き、懐から、今度は小さなシルバーのハンドベルを取り出し、チリンチリン、と鳴らした。
すると部屋に魔法陣が描かれ、そこから漆黒のローブを纏った人が現れた。ローブから濃い赤髪が覗いている。
赤髪の女性は膝をつき、頭を下げる。
「お呼びでしょうか。レフィ様」
「ああ」
レフィと呼ばれた白髪の男は、女性の姿を認めると、手にあった球体を女性の方へ投げた。
女性は慌てて球体を受け止める。
「失敗作だ。青の賢者に渡せ。処分させる」
「ですがレフィ様。こちらはお作りするのに多大な時間と貴重な材料を必要とするのでは」
「ああそうだ。だから捨てるんだよ、俺の大事な時間を無駄にしたゴミを、目に入れたいと思うわけがないだろう?今魂のダストシュートを青の賢者に貸してるからな、俺が捨てることは出来ない。わざわざこちらから向かうなんて無駄な時間だ、お前が行ってこい」
「しかし……」
「渡しに行けと言ってるんだ!俺の命令が聞けないのか?そのゴミを、青の賢者に渡して処分させるだけだ。渡すだけだぞ?俺のやることに比べたら、何百倍も簡単な仕事だろう。わかったら早く行け」
「はい。申し訳ありません」
深く謝罪した後、女性は立ち上がり、部屋を後にした。