景気後退局面の探り方について ←逆イールドについて
この記事はカクヨムに2018年8月27日初出した内容です。古い内容ですが、今でも有効と思います。
この時期(2018年)は米中貿易問題に端を発した米国トランプ政権の失策のせいで世界経済が混乱した時期にあたります。その時の分析はまた別の話でしているのですが(いずれUPします)、この時には2020年ごろにはバブル崩壊するのではないかという計算が出てきたため検証し、その可能性があるために俎上した内容になります。
結果は予想だにしなかった新コロ・パンデミックという未曾有の混乱によりこの時の予想ははずれ、その代わりに現在の激烈な高インフレ状態が長く続くという別の地獄絵図になりました。
無論、この後、本格的な経済恐慌(破滅)がくる可能性もまだ残っていますが…。
そんなわけで破綻の理屈についてだけ、暇つぶしに読んでみてください(^^)/
最近、2020年に世界的な景気後退局面になるという話しが出ています(←補足。2018年の景気後退直後の時期の話)。そこで、景気後退局面の探り方に関して一般的に言われていることを、此処でも述べてみようと思います。
意外と単純で米国の長期金利(10年もの国債の新発債の金利)と短期金利(1年以内の新発債および通常は二年物)との金利差から、かなり正確に割り出すことが出来ます。
通常、金利は『長期 > 短期』になります。長期の場合、債券を保有している間に戦争・災害・景気後退・政情不安等のリスク要因が増えますので、普通は長期金利は『やや高め』になります。
この時に、もし短期金利が上昇する(=短期国債の価値が下がる)ことがある場合、『直近に危機的な事が起こりそう』という不安の現れということです。短期の国債を購入してもらいたい(or売りたい)けど、リスクを感じ取っているので売れない。じゃ、しょうがないから金利を高めに設定して購入意欲をそそるしか無い・・・程度のものだと考えてOK。
ということは、数年〜一年以内にリスク要因がある場合、短期金利は上昇し、長期金利との差が縮まります。この差をグラフ化したものがイールドカーブと呼ばれるもので、上記の理屈から平坦フラットになった時は、短期のリスク要因が(長期に比べ相対的に)高くなった『危険な状態』だと読み取れることになります。つまり景気が悪くなるという可能性がある、ということです。
普通、フラットになった場合、その先には『転げ落ちるように』景気悪化します。
長短金利差のグラフが逆になることを(当然ですが)逆イールド化といい、景気後退リセッションの入り口だと考えて間違いないと思います。
この状態には2000年と2007年になっており、その後、itバブル崩壊やリーマン・ショックを経験しています。
そこでもう一つ。このイールド化に関しては、なんとなく言われている経験則があります。こんな感じです。
世界的な景気後退を見る時に、なによりもまず米国のリセッションが最大の関心事になりますので、アメリカの長短金利差を見てみると、米国景気が過剰加熱している場合(←バブル化)、過度なインフレを避けるためにFRBが利上げを決定します。すると大抵の場合、(なぜだかわかりませんが)利上げ幅のおよそ半分くらいの割合で長短金利差が縮まるのが一般的な傾向です。
なので、FRBの利上げ幅/2からイールドカーブのフラット化を見極め、このラインを越えた場合・・・つまり長短金利差が逆転したら、大体80週間後くらいからリセッションが始まるというのが一般的な過去の傾向です。
こんな感じなので、イールドカーブとFRBの利上げ・利上げ幅から計算すると、このまま金利引き上げを予定通り続けると、大体、2020年年初くらいから景気後退に入りそう・・・という予想が立ちます。
外れると良いのですが・・・
※ ※ ※
【2024/12/21補足】
今日現在、Fedは2年モノ金利と10年もの金利の差ではなく、六ヶ月モノ短期債の金利と、その六ヶ月モノ短期債の18ヶ月先の先物金利とのイールドの関係を見て判断する…という歴史的な変更を行っています。この新しいやり方だと、今日現在でも逆イールドは発生していないとのことです。つまり大恐慌は回避できるという理屈になります。
本当かどうかはこれから判るんだろうと思いますが…(^_^;)
ちな、新コロの時に全世界で約1500兆円規模とも言われる大規模金融緩和があったためにこの予想はハズレています。しかし貨幣の中立性から考えても、後に激しいインフレがくるのは自明で、いまのインフレはこの結果…と考えて良さそうです( ⚭-⚭)




