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民主党政権が失敗政権となった、たった一つの理由について ←「金融政策より財政政策」という優位性があるから「民主党は悪くなかった+しょうがなかった」というお話し…m(_ _)m

この内容は、まだ岸田政権時の2023/2/23にカクヨムに投稿した内容です。概要は『悪夢の民主党時代』になってしまったのは民主党のせいではなく、新自由主義者の白川日銀総裁のせい…という内容で、結構驚かれたものでした。

以下に説明いたします…m(_ _)m

岸田首相「民主党政権によって誇り、自信、活力失った」

https://www.sankei.com/article/20230226-T26WKKJP6VKOPILKWI6NMNJPJE/


民主党政権時は無能(プケ

…ということなのでしょうが、この理由はたった一つです m(_ _)m


国の政策は大まかに金融政策と財政政策に分れ、前者は中央銀行が、後者は政府が担当します。この両者の関係は経験上、『金融政策 > 財政政策』とされ、両者が食い違う場合には財政政策が破綻する(金融政策が優位に立つ)とされています。



この点から民主党時代を見てみると、このときの日銀総裁は白川氏でした。

んで、この白川総裁は「日本はもはや高度経済成長の見込めない低成長デフレ国家」と考えていて、そのために低成長下での金融政策(この場合は日本が破綻しないための国債金利の抑圧)に力点をおいていました。

他方、民主党は当初、大規模な景気回復のための積極財政を打ち出していました。自民党政治の打破≒経済成長というスローガンをあげていたようです。要するに「インフレ成長派」でした。おそらくはケインジアン的な財政拡張政策を目指していたのでしょう。


ということは「金融政策 (デフレ) > 財政政策(積極財政)」と食い違ったために金融政策の方が優先され、景気が全く上向くことはなかったということでした。このため鳩山内閣のような財政の半分を国債で賄うという異常な財政によって国家破綻の危機を誘発する程になったにも拘らず全く景気・失業率が改善しなかったということです。

要するに民主党の大敗北は当然だったということです。


その意味では、むしろ気の毒だったというべきかもしれません…m(_ _)m


この場合、民主党に求められていたのはデフレ派の主張、つまり「増税と緊縮財政」によって財政健全化を図るということだけでした。国債の発行量を極力減らし、増税で国債の償還を進めるという「まさに財務省がやりたがっている事」しかできなかったのです。そして実際には「やらなかった」ので、何の成果もあがらずに国民の信頼を失ったということでした。


逆に安倍氏の大勝利は「この逆」をやったからです。そのため白川総裁を任期途中で引きずり下ろして黒田氏に挿げ替えてまで「インフレ成長」金融政策に強引に持っていった安倍晋三さんの手腕は偉大でした。しかし民主党が本来、そうすべきだったのです。


そう考えると安倍晋三回顧録にあるように「財務省が財政拡張派(←安倍晋三政権)を殺そうとしている」というのは「多分本当」と思われます。民主党がそうやって殺されたのですから…m(_ _)m



  ※     ※     ※  



ここで一つ非常に重要なことがあります。「白川前日銀総裁はデフレ派だったのか?」という疑問です。


大変驚くべきことは、白川氏は財政健全派でもケインジアンでもなく、純粋な「マネタリスト」…つまり新自由主義派に近かったはずだという事です(爆白川氏はマネタリストの牙城でもあるシカゴ大学経済学部卒なだけでなく、ミルトン・フリードマンの授業を受けている程でした。


新自由主義の開祖、フリードマンの愛弟子が白川氏…(@_@;)?!


それどころか愛読書はミルトン・フリードマンの『A Monetary History of the United States』だと言い切っているほどの「ゴリゴリのマネタリスト」です。てか、ここまでハッキリとフリードマンフリークという日銀総裁はもう二度と出てこないでしょう。


なら、ごく普通に考えればアベノミクスのような経済政策を実施して当然…なはずでした。しかし実際には金融緩和をしてもすぐに金融引き締めを行うという「ケチ」ぶりを発揮し、金融緩和の効果が出る前にデフレ化を進めてしまうという悪循環を繰り返すだけでした。これは超謎です(?_?)


一般論からみれば、新自由主義的な白川総裁は、財政拡張を唱えていた民主党(現立憲民主党)と極端に親和性が高いはずでした。唯一の違いは白川総裁は新自由主義者、民主党はケインジアンということですが「積極財政派」ということでは同一のはずで、民主党がニューケインジアン的であるのなら(元々、ケインジアンから派生したのが新自由主義。また新自由主義を取り入れてアップデートしたのがニューケインジアン)「特に違和感はなかった」はずでした。


つまり1998年以後のスウェーデン社会民主党のような「左翼政権+新自由主義的アプローチ」政権に、日本の民主党も十分に成長することが出来たはず…ということでした。この左派政権+新自由主義アプローチというのはかなり成功する確率が高く、左派が中道になったのがフランス・マクロン政権であることを考えると、世界的には「自由放任の自由党(右派) vs 左派(新自由主義・ニューケインジアン)」というのが本来の形と言えます。


これに対し日本の場合は少し違っていて、自民党保守派=新自由主義的財政拡張派であり、逆に立憲民主・日本共産党+朝日新聞などの左翼勢力が財務省と同じ財政緊縮派という「保守勢力」となっているところが非常に異なっています。

日本の場合は「保守勢力=財政緊縮派=左翼」であり、これに対する「改革派=積極財政派=右派勢力」という構図です。


本来、右派は自由放任の自由党などの大企業と結託した勢力で反左翼・反労働組合ということなのですが、日本ではこの欧米の標準形が当てはまりません。

保守派は憲法九条を含めて「改革したい」派であり、日本の左翼は「改革したくない派」なので長く続いたデフレ支持=財務省と同じ考えという事かもしれませんし、日本が財政破綻した方が「左翼的共産主義革命が成功しやすい」から日本共産党や極左勢力(朝日新聞など)がシンパシーを持ってるのかも知れません。


自民党保守勢力・維新=積極財政派=現状改革派(進歩派)

立憲民主・共産・左翼=財政緊縮派=財務省PB派(保守派)


…というのが「なぜ日本では自民党が永久政権なのか?」の理由の一つと思われます。

特に若年層は何処の国でも「反保守派」の現状改革派が多いものです。よって「(政治的には革新系であっても)保守派」である「立憲民主・共産・朝日新聞=財務省派」に対する反発が強く、自民や維新、そして国民民主のような「積極財政派」という「(政治的には保守主義であっても経済においては成長戦略)改革派」を支持するのだろうと思われます。


この成長戦略を求めた時代にうってつけだったのが「新自由主義者」の白川総裁でした。パヨクが嫌っていた『はず』の新自由主義の開祖フリードマンの超フリークの白川氏だったのです。



ここに、当時の民主党は「緊縮財政なんてガン無視」「国債刷ってもOK」なばら撒き政策を実施する…を公約にして政権を奪った政党でした。財務省はさぞ、真っ青になったことでしょう。よって白川+民主党は本来「黄金コンビ」であり、世界的には勝ち組の「左翼colabo」だったという事です(爆



しかし実際には逆でした。

なぜか白川氏は「一般にイメージされていた(←高橋洋一みたいな感じの)新自由主義者」らしいところを「全く見せること無く」むしろ緊縮財政派もどきに成り下がっていました。これでは民主党が何をやっても「無駄」で、実際、民主党政権は「無駄」な時間で終わりました。その意味では民主党のせいではないとも言えます。この理由はなんなのか(?_?)これに関しては理由はいまだ不明です。しかし一つの可能性はあります。


財務省が日銀白川総裁および民主党に有形無形の圧力を加えた


…可能性です。今回は陰謀論ではなく「平常運転」の範疇です(爆)。

財務省は「日本が破滅してもプライマリーバランスが均衡すればよい(安倍晋三回顧録より)」という考え方の連中だそうです。つまり緊縮財政派であり、そのために増税することと政府支出を減らすことだけしか考えない連中です。米国財務省などが、適切な財政支出(この場合、国防費増額を含める)によって失業問題を解決し、債務はインフレ成長によって抹消していくという健全な考え方をもってるのとは対称的です。


国債の発行を0にすることしか考えていないのです。

しかし黒字財政かつ政府債務が非常に少なく、しかも重増税国家がどうなるのか?


…これは現在のロシアがまさにこれなのです。

常に侵略戦争を志向していたロシア・プーチン政権は外国への金融的依存度を減らす目的で国債の発行量を極力減らしつつ増税で財政の健全化を目指し、同時にエネルギー資源等の輸出で貿易黒字を溜め込んで、このカネで戦争を続けていました。

しかしこの緊縮財政のために産業力が劣化し、いざウクライナ紛争を始めてみると必要な軍事物資の増産さえ出来ないほどに国家経済が萎縮していたのです。緊縮財政の結末は「いざという時に必要な国力がなかった」という、まさにデフレ国家の末路を意味していました。財政ファイナンスによって国力を増強し、四年に渡ってGDPで四倍の米国と戦い続けた大日本帝国のようなしぶとさが全く失くなってしまったのです。


財務省に任せれば、ロシアのようになるのは日本です。今度の日本は戦争さえ出来ずに死滅するでしょう。例えば東海〜東南海大地震のような国家的災害時に「復旧するための国力を喪失していた」ということになりかねないのです。借金してでも国力を増強する。後で債務抹消をインフレ成長で達成する…たったこれだけでOKであり、民主党政権でさえ当初はそう正しく理解していたにも関らず、財務省が踏み潰したのではないか? …という推察です。


結論はこうです。

民主党政権は何一つ良いこと無く終わった。理由は日銀がデフレ金融政策を採用していたからで、これでは民主党はデフレ政策しか採用することは出来なかったはずだ…ということです。


デフレ策とは増税+福祉カットなどの政府歳出削減であり、国民に犠牲を強いるだけの政府ということです。それは財務省の意向と不思議なほど一致しており、財務省のやり方は「社会福祉保証をほぼ全部カットする」です。一番、国のカネを食ってるからです。

逆に民主党政権は緊縮財政以外の政策を採用しても「金融政策 > 財政政策」の経験則から財政出動は全て政府の借金を増やすだけの効果しか失くなってしまい、失敗した…と考えるのが正解と思われるのです。


民主党末期には財務省の言いなりになってるかのような政策運営が続いていたことは、「そう見えていた」だけではないのではないでしょうか?


その意味では民主党の皆さんも大変気の毒な「犠牲者」だったのかもしれませんね。

財務省の…(^_^;)






  ※     ※     ※


【補足】

とても重要なことなので二度いいますね…m(_ _)m


・新自由主義者は金融緩和派ではない

・新自由主義者はインフレを何よりも恐れる


…ということです。よって



・国債はバンバン刷ってはいけない

・景気刺激のために国債を利用してはいけない

・国債は毎年、一定額だけしか発行してはいけない



…つまり、一般論とは違い「緊縮財政派」っぽく見えてしまうのです。

実は世間一般のイメージとは逆で、この3つが新自由主義者の本質です。


理由は簡単で2つのセントラルドグマがあるからです。

「インフレは全て貨幣的現象に過ぎない」と「貨幣の中立性」の2つです。



前者は、産業国家の場合、もはや需要は飽和気味。よって市場への通貨供給量の増減がインフレ(経済成長)・デフレを統御する最重要な要素と考えているということです。


後者の貨幣の中立性は、金融政策によって景気刺激を図ったところでうまく行くこともあれば失敗することもある。よって短期的(政策的)には究極「中立」であるが、長期的に見れば通貨供給量を増やせばインフレ(物価高)、減らせばデフレ(国力・民力衰退)という理屈です。



なので、現在が不景気だからといって景気刺激のために国債をバンバン刷りまくると後で物凄い物価高になる(からやめとけ!)派です。



現在の世界的インフレがまさにこれで、2020年の新コロ時、世界経済は崩壊しかけたのをFedはじめ世界中の中銀が市場救済のためにいきなり超大規模金融緩和(推定総額1,500兆円とも言われていた)したために、その数年後から世界的な超物価高に悩まされるようになった…という、まさに貨幣の中立説が正しいと証明された事と軌を一にしています。


インフレがイヤならば国債は大量には発行してはいけないのですこれが財務省のセントラルドグマだったのです。この内容についてはこちらの方に軽くまとめてありますので、お時間いただけるようでしたご参照ください…m(_ _)m


流通速度Vと何故、新自由主義者は中央銀行を廃止しろと騒ぐのかについて ←「国債は機械的に毎年一定額だけ建てること!」…(๑•ω-๑)♥

https://novelup.plus/story/152223157/599128881



  ※     ※     ※



これらについてはまた別途、自然利子率とドーマーの条件日銀版とからめて長く書こうと思っています。「ザイム真理教」な財務省の皆さんも組織や人事上の問題以外にも、彼らの本質として「インフレは国家を滅ぼす悪魔」という信念があり、インフレ撲滅に全力を注いでいる組織だと考えるとわかりやすいと思います。

財務省の人間が超緊縮派に偏り過ぎているのは、ワイが思いますに「インフレは悪魔であり、絶対殺すマン」すぎることと「あまりに新自由主義的すぎる」事ではないかと…?


やりすぎのせいで、現在の長期無限デフレに陥っているのではないか?…と



まあ、ワイも新自由主義者なのですが…(爆死

新自由主義にもいろいろ問題はある、という自己批判でした…m(_ _)m



【2025/1/15補足】

要点は、

①金融政策(中銀の政策)と財政政策(政策予算)との2つがある場合、金融政策の方が有為とする経験則

②民主党の政策はアベノミクスと同じ財政拡張政策であり、違いはない。

③民主党政権時、日銀および財務省は緊縮財政政策を採用し、金融緩和に一貫して否定的だった白川総裁が指揮していた

④白川総裁こそが「本物の新自由主義者」で、「大きな政府・大きな中央銀行を否定する」派(←現在のアルゼンチン大統領のミレイ氏に近い)。


…この結果、「金融政策(緊縮) > 財政政策(拡張)」の結果となり民主党政権は何ら得るものなく瓦解した。つまり民主党政権を葬ったのは白川総裁であり、新自由主義的な志向によるもの、という内容です。


実際、民主党から政権を奪還した安部晋三氏が一番最初にやったことは白川総裁の任期満了を待たずして黒田氏クロトンにクビを挿げ替えた…ということでした。


要するに安倍のやったことは「日銀総裁を黒田に変えたこと」←これだけだったということです。これがアベノミクスのほぼ全てです。


黒田日銀総裁は反新自由主義的でニューケインジアンに限りなく近い人物で、その結果、失業率は大きく改善し国力の増強・回復が見られました。民主党にとっては気の毒でしたね…という程度の内容です。


ちなみに本文ではこの時までに白川総裁の発言を調べた所、緊縮財政(≒新自由主義的な市場不介入主義・放任主義)と積極財政(失業の改善など)の両方の意見を述べていて、どちらが優位ということはあっても著しい偏りが見られませんでした。よって「中途半端」な書き方になっています。根拠に確信がなかったからです。


ただし今日の段階では「白川総裁は新自由主義者だったので、市場への介入(≒大規模金融緩和)に否定的だった」のではないかと考えるようになっています。

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