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ハーレム帝国ハレムンティア 〜 闇堕ちチーレム転生者が世界征服しましたが、神チーレム持ち異世界 番長がみんなの心を奪い返します 〜  作者: 藤巳 ミタマ
終章

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第七十三話 フェドロ 

 デミウルゴス城、最上階玉座の間。

 あまりの大きさに『広大』と言う言葉が想起されるその空間。玉座すら見上げるほど大きく、天井は高すぎて上が霞むほど。


 そんな空間に立ち上る邪悪なフェロモン(フェドロン)、そしてそのフェドロンが編み込まれた暗黒の重装鎧を着た男フェドロが、ジョージを待ち構えていた。



「……待っていたぞ、勇者よ。さあ、決戦だ──」


 瞑っていた目を開けるとともに、ジョージを見据えて兜のバイザーを下ろした。


「……今日で決着をつけるぞ」


「つけるぞ!」


「「………………」」


 メリーの気合の入った声が聞こえるや否や、少し妙な間が生まれる。


「どうしたの?」


 背中にしがみついていたメリーが、不思議そうによじ登りジョージの顔を覗き込む。

 すると、ジョージがフェドロに視線を送ると、フェドロも少し考えて頷いた。


「メリー、やっぱり君は応援してくれるか?」


「ええ〜!?

 メリーもたたかいたい!」


 メリーもバチボコに戦いたかったので、ジョージに背中からおろされると怒り出してしまう。


「ママなら魔法使いだし遠距離で安全だけど、俺は相手の近くで戦うから危ないんだ」


 できるだけ優しく諭すように言うが、メリーはそんなことで聞くわけがない。ジョージの袖をギュッと掴み込んでしまった。


「でも、せっかくきたのに!

 メリー、パパのおてつだいしたいのに!

 いやいやいや!」


「……心苦しい!」


 胸が締め付けられ悶絶(もんぜつ)するが、心で血涙を流しながら言葉を紡いだ。


「メリーが痛い痛いしたら、パパもママもジェス(おにいちゃん)も、みんな悲しくて泣いちゃうんだ」


「でも……」


「俺の背中で攻撃するのも確かにお手伝いになる。

 でもな……それより、もっとパパが嬉しいお手伝いがあるんだ」


 ジョージの『嬉しいお手伝い』と言う言葉を聞いて、メリーは不服そうな顔ながらも少し興味を示した。


「なぁに?」


「パパはメリーと一緒にいるとフェロモンが強くなる。しかも、応援されるともっと強くなれるんだ」


「メリーが、パパをおうえん?」


 そう、メリーの応援には特殊な能力があり、相手の力を強くすることができる。しかもジョージは特に相性が良いのか、応援を受けたジョージのフェロモンパワーは文字通り桁違いになる。


「そうだ。

 メリーがそばにいるとパパが2人分で、応援してくれると10人分になる」


 ただ、これをそのまま伝えたところでメリーに伝わるはずもなく、困惑したように首を傾げてしまった。


「…………?

 パパはひとりだよ?」


「ああ、えっと、その……そう!

 応援してくれたら、めちゃくちゃ格好いい必殺技を使えるようになるんだ。シャイニングフェロモンオブハレムンティア知ってるだろ?

 あれがめちゃくちゃ強くなるし、それより凄いのが使えるんだ」


 使えるかはわからないが、実際に強くなるし可能性もゼロじゃない。


「おおお〜〜!!

 メリーね、しゃいににぶはでむんちあ、すき!」


 メリーは嬉しそうにジョージの袖を離した。

 ようやく納得してくれてジョージはホッとしながら、帰ったらまたご褒美をプレゼントすると心に誓う。


「……ジョージ・ハレムンティア」


 そこでフェドロが声をかけてきた。待っていてくれたようだ。


「ああ、待たせたな」


「……構わん。それより、玉座の上なら攻撃も当たらないだろう」


「ああ、そうだな。

 ……助かる」




 ジョージはフェドロを待たせていることに少し気まずさと感謝を感じつつ、意外にフカフカな玉座にメリーを座らせた。


「……メリー、ここでパパをおうえんするね!」


「サンクチュアリで落ちないようにしてるが、あんまり端っこに行くなよ」


「うん!」



 ──という一悶着(ひともんちゃく)ありつつも、ジョージとフェドロはなんとか決戦に入るのであった。



 ● ● ●




「──待たせたな!」


「……本当にな。

 だが、この戦いは全身全霊で、誰の邪魔もなく挑みたいからな。貴様が望むのであれば、我は待つしかない」


「……娘が応援すると、俺は本当に強くなってしまうが良いのか?」

 

 邪魔が嫌なら、メリーの応援(能力上昇)も邪魔になってしまうのではないかと危惧したのだ。


「……ここまできてデミウルゴス城に来てしまったのはもはや運命だろう。

 ジョージよ……これで憂うものは無くなったはずだ」


「そうだな。

 これで全力が出せる」


 ジョージは優しいパパから一変し、凄まじい気迫で戦闘態勢に入る。


「……さあ、この魔王フェドロを倒してみよ!」


「パパーがんばれー!!」



 ──戦闘開始!

 

 刹那、最初に動いたのはフェドロだった。



「──電光石火!

 ふん!!」


 ──ドゥンッッッ!!

 瞬間移動と見紛う神速のステップで距離を詰めると、ジョージの腹目掛けて渾身のパンチを叩き込んだ。



「……はっ……ぐうう!!

 っるるぁああ!!」


 ジョージは吹き飛ばされながら空中受け身を取り、ボタンをババっと外しフェロモンを解放。


「──フェロモンバズーカ!!」


「刹那!!」


 フェロモンバズーカを正真正銘の瞬間移動で回避する。が、この間にジョージは残りのボタンも外しきり──


「魅力解放!!

 ……うぉおおおお!!

 ──シャイニングフェロモンオブハレムンティア!!!」


 フェロモン解放、そしてすかさず拳から神々しいフェロモンの波動を打ち出した。


「ハレムンティア神の技か面白い。

 ──疾風怒濤(しっぷうどとう)!!」


 凄まじい暗黒の風を身に纏ったフェドロが神速で突撃。シャイニングフェロモンオブハレムンティアの波動を打ち砕いてしまう。


「燃えろ、俺のフェロモン!」


 ジョージのフェロモンが熱く燃えたぎり、闘争フェロモンが呼び起こされた。


「──獅子奮迅!!」


 獅子のごときフェドロンの咆哮が、ジョージを喰らおうと襲いかかる。


 ──ガウンッッ!!!!


「ぬぅうん!!!」


 ジョージは()()()攻撃を受けて闘志をさらに燃やすと、その瞬間!


「フォームチェンジ!

 ──サマーバケーションフォォオオオム!!」


 そのフォームチェンジの爆発で獅子奮迅を粉砕。

 アロハ柄の海パン姿になると、フェロモンを凝縮して球体に変える。


「フェロモンボール!!」


 空中でボールをぶっ飛ばしてフェドロにぶち当てた。


「ぐっ!?

 ──電光石火!!」


 ダメージを受けてのけぞるが、一瞬で立て直して神速の一撃を放つ。


「──オラァ!!」


 跳ねたボールの元へ瞬間移動して、エネルギーを増幅させながらまたぶっ飛ばす。


「──ふんっ!!」


 電光石火とフェロモンボールが衝突して爆発。しかし両者はすぐに次の攻撃に移った。


「フェロモンボール!」


「電光石火!」


「「オラオラオラオラオラァ!!!!」」


 ボールを通して拳が怒涛(どとう)の勢いで何度も何度もぶつかる。

 赤熱したボールと拳。

 ジョージとフェドロの視線が交差する時、貯まりに貯まったエネルギーが爆発する!


「サンシャイン・オブ──」


気炎(きえん)──」



「ハレムンティア!!!!!!」

万丈(ばんじょう)!!!!!!」



 灼熱のボールと拳が大激突!!!



 ──ゴゴゴゴゴゴオゴゴッゴゴゴォオオオオン!!!!


 その爆発によって城が爆散してしまう。

 残っているのは玉座と、フェドロとジョージ、そしていつの間にか戦闘を終えていたウィジーとジェス、その隣にいたダリアの周辺だけだった。




「……………………」


「……………………」


 静かな睨み合いだった。しかし、闘争心は最高潮。


「体があったまってきたぜ」


 ジョージの身体が太陽より熱くなり、羽織っていたアロハシャツが燃え尽きる。


「我もだ」


 真っ黒な鎧が高エネルギーフェドロンによって黄金に光りだす。


「ほう、この香りは……!

 ふっ……フェドロお前、吹っ切れたみたいだな」


「くく……ようやく、な。

 これこそ、フェドロンの真の姿だ!!」


 今までまとわりつくようなネッチョリ汚い禍々しいフェロモンだったフェドロンが覚醒を果たした。

 それはホクホクでネッチョリ心暖まる、まるで香ばしい焼き芋のようなフェロモンだ。


「──来たれ、これが我の覚悟の力!

 魔王剣フェドロ!!!」


 ──魔王剣。


 それは、魔王と呼ぶには明るかった。

 赤い装飾に彩られた黄金の剣。あまりの熱量に立ち昇る蒸気、そして人の心を惹きつけるオーラ。

 オリハルコンでできた伝説の英雄の剣みたいなその出立ちは、まさに物語の主人公が持つに相応しい代物だった。


 かつて少年の時、いや……前世から憧れていた胸を躍らせるその剣を、不動 一郎(フェドロ)は今、手にしたのだった!


「……手加減は無用だジョージ!

 さあ、全力でかかってこい!!」


 

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