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ハーレム帝国ハレムンティア 〜 闇堕ちチーレム転生者が世界征服しましたが、神チーレム持ち異世界 番長がみんなの心を奪い返します 〜  作者: 藤巳 ミタマ
終章

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第六十四話 果たされた約束

 ゲオルギウス城、ウィステリアの私室。


 ウィステリアは窓から外を眺めながらジョージの帰りを待っていた。


「……ジョージ、まだかしら?」


 帰りを信じているが、どうしても不安になってしまう。


「大丈夫ですわよね、きっとジョージなら……」


 ジョージが出発してしばらくした時、太陽が陰り、虫の知らせのように頭にジョージを失うようなビジョンが浮かんだのだ。


 そしてウィステリアは居てもたってもいられず、空を見てジョージに想いを馳せた。そして、その時お腹からも想いが溢れたのを感じると、ウィステリアは魔力に想いを込めてジョージに届くように空に飛ばしたのだった。


 その後、太陽の陰りこそ晴れたが、それがどんな結末をもたらしたのかはまだ誰にも分かっていない。

 ジョージの帰りを待つことしかできないのだ。



「……ジョージ、貴方は約束を守る人ですもの。きっと大丈夫ですわ。

 そうよ、妻であるわたくしが信じなければ誰が信じるの?

 こんな不甲斐ない姿じゃ、この子も不安になってしまいますわよね」


 ウィステリアは己を勇気付けて強い意志で待ち続ける決心をした。その時──



「ただいま、ウィジー!!」


「……ジョージ!!?」


 無事に帰ってきたジョージの姿を見ると、ウィステリアは胸がキュッと締め付けられ、その後すぐにジンワリと温かくなるのを感じた。

 そして、感情が込み上げてきて涙が溢れ出す。


「……ありがとう。心配かけさせちまったな」


 ジョージは静かにウィステリアを抱きしめた。


「貴方のピンチなんて、初めてでしたから……とても、不安になってしまいましたの。

 でも……でも、これでも……貴方を信じて気丈に振る舞おうと先ほど決心していたところですのよ?」


 ジョージに涙を拭いてもらいながら、少し甘えるように気が抜けた表情で微笑む。


「そうか、さすがだな。

 どんな時も誇り高い君には尊敬するぜ。

 ただ、それと同時にウィジーが辛い思いをすると俺はとても悲しくなるからな、これからは不安にさせないと誓うよ」


「誓ってくれますの?

 約束ですわよ?」


 ジョージにとっての約束は絶対。必ず守られるものなのだ。


「約束だ」


 ジョージはウィステリアを抱きしめ直して力強く頷いた。

 覚悟を決めたのだ。


「……それで、えっと……」


 ウィステリアが少し照れながら何かを言いたそうに様子を伺う。


「良い報告、だったな」


「ええ、そうですわ。でも……」


 ウィステリアが困ったように笑うと、ジョージは優しく笑って。


「ああ、伝わってる。

 想いも届いたからな。だが、ウィジーの口から聞きたいんだ」

 

「……ほんと?」


 少し不安げに首を傾げる。


「ああ。報告を聞いて、一緒に喜びたいって言っただろ?」


 その言葉にウィステリアは安堵したように小さく息を吐き、まっすぐジョージの目を見て口を開いた。


「わたくし、妊娠しましたわ。

 わたくしと、ジョージの子供です。嬉しいですか……?」


「……嬉しい」


 ジョージは静かに噛み締めるように言った。ウィステリアは反応が少し薄いような気がしたが、それも束の間……ジョージは涙を流しながら満面の笑みでウィステリアをギュッと抱きしめながら叫んだ。


「やっったああああああ!!!!!」


 ジョージの顔を見るとウィステリアの表情も明るくなり、同じぐらいの声の大きさで叫び、抱きしめ返して共に喜びを分かち合うのだった。


「……ふふっ。

 わたくしも嬉しいですわっっ!!!!!」




 * * * * *




 ジョージとウィステリアの関係が進んだが、他にも仲を深めている2人がいた。


 エリンとイリーナだ。


 以前よりこの2人はよく協力し合い、友達としても仲が良かったが、今回の遠征を通し親友としてさらに仲を深めていく。



「……確か、フェドロ王国はイリーナの故郷じゃったの?」


 エリンが地図を見ながらイリーナに尋ねる。


 そう、今回の遠征はフェドロ王国だ。フェドロ不在で兵力は落ちたが、新たに悪魔が現れて街を支配しているとか。

 

 ブーケトス流星群で殆どの人は解放されたものの、強い冒険者や騎士はもとより強い洗脳にかかっており、今も後遺症で放心状態のままだ。

 生きるのは問題ないが、戦うことはほぼ不可能。街を守りきれなかった理由だ。


 そして今回、この2人はフェドロ王国の首都を悪魔から取り返すために、自ら志願して遠征に向かったのだった。



「そうだよ。

 まずは助けにゃいとだけど、パパとママにまた会えると思うと、とっても嬉しいのっ」


 かつてイリーナの父オズワルド・ミャウは、フェドロ軍から娘のイリーナを逃すため自らを犠牲にした。

 きっと今も洗脳にかかったままだろう。

 母のララもオズワルドと同時に洗脳されたので、同じ境遇と思われる。


「イリーナのママパパって、どんな方なのじゃ?」


「ママは人間で、青い髪で、あたしと同じ青い目にゃの。あたしの好きにゃご飯をいつも作ってくれるし、とっても優しいんだよっ。

 それでパパはホワイトタイガーの獣人でね、恐い顔だけど、あたしが何かしようとしたらすぐに心配して『怪我に気をつけろよ』とか『パパがしようか?』って過保護にゃんだよねえ」


 イリーナは楽しそうに懐かしむようにエリンに語った。両親のことが大好きなのだ。


「会うのが楽しみじゃの」


「うん!」


 そんな話をしていると、前方に邪悪な煙とともに悪魔が出現する。



「貴様ら、ここを通るという事は首都に向かうつもりであるな?」


 全身漆黒の西洋鎧を着た騎士の姿で、ツノの生えた真っ黒な武装した馬10頭が引くチャリオットに乗っている。

 ダークデーモンとは比べ物にならないオーラを放っている。


「それが?」


 エリンはすでに弓を構えている。


「……話が早い。敵対するというなら、吾輩がこのチャリオットでミンチにしてやるだけだ。

 しかし、吾輩は慈悲深い。

 最期を迎える前に貴様らの名前を胸に刻んでやろう。さあ、名乗れ」


 見下すような態度を取りながらも、よほど自信があるのか急な攻撃はしない騎士道的なものはあるようだ。


「……うちは弓使いのエリンなのじゃ」


「……あたしはマジックシーフのイリーナ」


 イリーナもマジックパイルドライバーを腕に装着しながら魔法陣を出現させる。


 ふたりとも臨戦態勢だ。


「なるほどなるほど、エリンとイリーナか。

 弓使いとシーフなどという卑怯な武器を使うのは気に食わんが、まあ覚えておいてやろう」


 チャリオットの悪魔騎士は少し不服そうに咳払いをすると、自らも名乗りをあげた。


「さあ、聞け。貴様らを地獄に送るこの騎士の名前を!

 ダークアダマンタイトの鎧に身を包み、ダークオリハルコンのランスで敵を突く。

 10頭のバイコーンで駆ける戦車、ダークチェックメイトチャリオットで数多の戦場を地獄に変えた。

 そして、悪魔王……デミウルゴス様の寵愛(ちょうあい)を受けし、高貴なる存在。

 選ばれし者、チェックフォーの1柱にして無二の機動力を持ち、もっとも古くから仕える忠義の(ゆう)

 その栄闇(えいこう)を一身に背負いし、吾輩の名はル──」



 ──プスっ!


「ぬぉおおあああ!!?」



「刺さったのじゃ」


「エリンちゃん、ナイス(にゃいす)!」


 そう、名乗りに夢中で隙だらけだったので、エリンが矢をぶっ放したのだ。すると、本当に名乗りに夢中だったみたいで、回避できずに……いや、正確には回避する素振りもなく、そのまま頭に刺さってしまったのだった。


「き、貴様ら!

 吾輩の名乗りを邪魔しおったな!!」


 チャリオットの騎士は頭に矢が刺さったまま激怒した。


「だって、長かったし……ねえ」


「ね」


 エリンとイリーナは苦笑いする。


「おのれぇえ!

 吾輩を怒らせたこと、後悔するが良い!

 騎士に二言はないから悔しいが名前こそ約束通り覚えておくが、絶対に地獄送りにしてくれようぞ!!

 ……いくぞバイコーンたちよ! ダークチェックメイトチャリオットでヤツらを轢いてやるのだ!!!」



 漆黒の騎士は馬を走らせてチャリオットを凄まじい勢いで進めていく。車輪についたトゲトゲスパイクが地面をえぐり、車体についた刃が風と木々を切り裂いていく。が──


「……イリーナ、これは!」


「まっすぐ来てるっ!」


 チャリオットは一切の迷いもなく何の警戒も搦め手なく、エリンとイリーナの元へまっすぐ向かってきていたのだ。

 つまり回避する気がないのである。

 そう、これは短い時間とはいえ絶好の攻撃チャンス!


「イリーナ、補助魔法をありったけ!

 なんなら重ねがけして強化してくれんかの!

 攻撃当てたい放題のビュッフェが始まるのじゃ〜!!」


「まかせて!

 マジックオーバードライブ!!

 いくよ……高速化禁術(スカンディケーション)!!

 攻撃もあげるね!

 ──金剛招来(ヴァジュラ)!!」


 イリーナがすかさず禁術級の補助魔法をかける。


「──マシンガンショット!

 スターマイン!!

 おお、全部当たるのじゃ!」


 超高速発射する代わりに狙いがほぼ付けられないマシンガンショット。秒間1万発の攻撃なのだが、回避しない騎士は全弾命中。


 続いて放ったスターマインは連続発射することは変わらないものの、一定時間の経過か矢に対象が当たると花火みたいに火花が広範囲拡散する矢だ。

 そのスターマインも漏れなく全弾命中!


 2つともエンシェントロアーに並ぶ、エリンが最近編み出した弓の究極技の2つである。そんな技をもろに喰らえば、当たり前だがチャリオットはもうボロボロ!



「ぬ、ぬおお!!

 負けはせぬぞぉおお!!!」


 そんな状態でも馬鹿正直にまっすぐ突き進む漆黒の騎士。たまにバイコーンが困惑して騎士に目線を送るが、当の騎士はお構いなし!


「ひ、ヒヒ〜ン!!」


 バイコーンはもうヤケクソだった。矢の雨を直撃しながら最後まで進むしかないと覚悟を決めた。


「エリンちゃん、まだまだ魔法かけるね!」


「うん、どんどんちょうだい!

 もう考えるのも面倒になってきた!

 マシンガンショット連打なのじゃ〜!!!」


 そんなチャリオットに嬉々としてどんどん矢を浴びせていく。

 禁術を重複させたマシンガンショットはもう、秒間10万発! 1発あたりの威力も凄まじく、カス当たりでも上級魔法レベルで、直撃したらその上の特級魔法レベル。


 それが10万発なのだから、喰らえば漆黒騎士と言えどもちろん──



「ぬぼぼぼぼおぼああああばなばばばばぁああああ!!?!?

 痛いよ〜!!!!」


 騎士の鎧は一瞬で破壊され、ふんどし一丁の高慢そうなおじさんが情けない声を出して涙を流してしまう。

 バイコーンは1頭、また1頭と、瞬く間に倒されて1秒ともたずに全滅して魔界に強制送還されていった。


「うぉおおおおおお!!!」


 容赦のないエリンはさらに矢を発射しまくり、もう一発で倒しきれそうなところで──


「最後はド派手にいくぞ!

 エンシェントロアー!!!!!!」


 山のように大きな凄まじい魔力の奔流(ほんりゅう)が、ドラゴンの咆哮のような轟音をあげ、周囲の土も草木も消し炭に変えながら、情け容赦無く無防備なおじさんを飲み込んでいく。




「あ、ヤバ────」





 こうして、おじさん……もとい、チェックフォーの1柱、チャリオットの"ルーク"は、エリンとイリーナにダメージを与えるどころか、名乗ることもできずに敗北したのだった。




 ● ● ●



「そう言えばさっきの悪魔はなんて名前だったのかのう?」


「ああ、確かに聞いてにゃかったにゃ」


「でも、まあ良いか。

 本命は首都にいるはずのボス悪魔じゃからの」


「そうだねっ。

 ……あ、見えてきたよエリンちゃん!」


「ようやくじゃな。さあイリーナ、頑張るぞ!」


 

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