15.5話 挿話 イーリスとすっぽかされた約束
朝、食堂でブランズと約束した時間に。学校内のある講堂でイーリスは人を待っていた。
約束した時間に待ち人は訪れず、アイシャと言葉を交わしながらしばらくは待っていたのだが、忘れてしまったかな、と呟きながらイーリスは席を立つ。
この部屋は授業がない時間だったが、他の部屋からはまだ授業中のようで人の気配とわずかに声が聞こえてくる。
穏やかな午後の中で、イーリスは広場に戻りながら今日の出来事を思い返した。
興味がなさそうな2人からの、失伝魔法についての質問があるという共通の話題。
リーンのほうは闇の魔法に目覚めたという相談と、事実行って見せた召還での前例がないような異世界人の召還。
ブランズのほうも、なにかしらそういった話だろうとあたりをつけていたのだが、まだそれを聞くことは出来ていない。
イーリスは伝承のいくつかを思い返し、リーンの『砕けたいくつかの一つが私に入ってきた』という発言を反芻する。
なるほど、複数あるのか。
イーリスはそう納得し、それなら光の魔法も同様なのかもしれない。と思考する。
闇の魔法を極めたものが魔王になるなんて通説をイーリスは支持していなかった。
リーンの様子からもそう思えたし、元々自分の考えとは違うので、まあ噂話なんてそんなものか。と思考を切り捨てる。
自身の興味が向く先を考える。
召還されてきた異世界人シンは、古代語に似た言葉を話していた。
シンの世界のヒューマンが、昔もいたのだろうか。
そしてそれは、現在の魔道具士では複製することの叶わない、古代のアーティファクトを作ったヒューマンたちと同年代なのだろうか。
興味は尽きないが、焦ることはない。
まずは妹分の助けをしながら、ゆっくりと解き明かしていけばいい。
その過程を楽しみに思い描きながら、イーリスはアイシャと共に2人の待つ外へと戻っていくのだった。




