7軍
「この国には八百万の神々がいらっしゃいます。その中の七柱の神々が、この国を守り固めるべく、その御業を我々にお授けになったのです」
渡辺少佐は、厳かな口調で語り始めた。
「その七柱の神々から賜った御業が、あなた方が感じられている特殊な能力ではないでしょうか。その能力を持つ者の中から志願した者たちが、七軍に入隊しています。七軍とは、月光軍、火軍、水軍、風軍、雷軍、地軍、そして陽光軍です。なお、七軍がそれぞれバラバラに動いては、まとまりがなく非効率な軍隊となってしまいます。したがって、統合参謀本部が統制しています」
渡辺少佐は一旦言葉を切り、林田と中村の反応をじっと見つめた。
「七軍それぞれの能力というのは、どういったものなのですか?」
林田が質問した。
「それは、この後、暗殺方法について討議する際に触れたいと思います」
「分かりました。続けてください」
「七柱の神々から与えられた御業について、我々は神術と呼んでいます。この能力を持っている者たちは、それぞれ『月光の一族』だとか『火の一族』だとか呼ばれますが、特殊な能力を持った一族であるため、国が厳重に管理しています。もし、見過ごせない罪を犯せば、主上へ上奏し、能力を剥奪していただきます。主上は、能力を受容できるようにすることも、できないようにすることもできる、とされているのです」
「主上は、それほど強大な能力をお持ちなのですね」
林田は驚きを隠せない。
「神術は、通常一人につき一柱の御業しか使えませんが、主上は三柱の御業が使えると聞き及んでいます。何代か前かは分かりませんが、過去には七柱すべての御業が使えた方もいらっしゃったそうで、なぜ現在は三柱なのかは、私にも分かりません」
渡辺少佐は、林田と中村の前に整列している七人の兵士たちが、それぞれ七軍に所属する兵士であると説明し、一人ずつ紹介を始めた。紹介された兵士たちは、所属と階級、そして名前を簡潔に述べた。その後、机をロの字型に配置し直し、全員が着席して討議が開始された。
移動中、そして演説中。いつ、どのような形で暗殺が行われるか分からない。暗殺方法は神術が使われる可能性もあり、一つに限定されるものではない。対処法も含め、彼らは討議を重ねたが、議題はあまりにも多く、一日では結論が出ず、翌日以降に持ち越しとなった。




