表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

同意か、不同意か?

作者: 立花 優

法定内で、繰り広げられる、同意有りか、無しかの、コメディチックな話。


そして、その結末とは?

「裁判長、異議があります」



「被告人の発言を認める。で、反論したい事は何ですか?」



 すると被告人の山崎真一は、弁護士に向かって、

「アレを、皆の前で、音声拡声器で流して下さい」



 それを、聞いて、弁護士は、カバンの中から、デジタル・ボイス・レコーダーを取り出した。



 音声拡大器に繋ぐと、嫌らしい雰囲気の、被告人と被害者の、二人の会話が、法廷に流れた。



◆ ◆ ◆



「ねえ、渚ちゃん。僕たち、付き合ってもう、1年以上経っているし、そろそろやらせてくれてもいいんじゃ無い?」と、被告人の山崎真一は、恋人の浜辺渚に、それと無く、イヤはっきりと聞いているのだ。



 何しろ、令和5年7月13日から、従前の、「強制性交罪」は、「不同意性交罪」に、罪名が切り変わり、その他、諸々の改正もあったのだ。



 特筆すべきは、恋人同士は勿論、例え、夫婦間であっても、同意無き性行為は厳罰化された事だ。



 しかし、今回のこの事件が、異常に裁判が長引いたのには、理由があったのだ。



 それは、法廷内での、二人の会話を、どう、解釈するかで、大きく罪状が変わってくるからであったからだ。



 行為に入る前に、被告人の山崎真一は、次のように言ったのだ。



「もう、性欲が我慢ができない。でも、同意無き性行為は、不同意性交罪になると言うらしい。

 で、僕は、浜辺渚チャンに、聞いて見たいのだ」



「ねえ、一体、何を聞くつもりなの?」と、アンニュイな反応の浜辺渚の声が聞こえる。



「つまり早い話、チャンとアレを付けて、先っちょだけ、入れさせてくれないか?」



「ホントに先っちょだけよね?それなら、アソコに傷も付かないかも……。



 これでも、この私、まだ未経験者なのよ。大切に扱ってくれるなら、まあ、先っちょだけなら、OKしようかな……」



◆ ◆ ◆



 ここで、検察側が、即、反論に出る。



「裁判長、異議あり」



「反論を認める」



「今この場で聞いた、ここまでの録音内容では、被害者は、先っちょ、つまり、亀頭部分の一時的挿入までの同意は、あったとは理解できます。



 しかしながら、その後の被害者の被害届けには、某産婦人科医の診断書が添付されています。



 それに、よれば、被告人の男性器は、被害者の内部の最深部まで、挿入され、なおかつ被害者は、内部裂傷まで、起こしています。



 私ら、検察側としては、この診断書をもって、不同意性交罪の適用を求めます」



「異議あり」と、弁護士が手を上げる。



「犯罪の構成要件に、犯罪実行犯の故意が必要です。



 裁判長、先っちょまでさえ入れれれば、男性は、本能的に、奥まで入れるのは、自然の摂理です。これを、犯罪の故意と果たして言えるでしょうか?本能に基づく条件反射なのでは!

 つまり、ここに実行犯の故意は、存在してないと断言致します。



 つまり、私から言わせれば、被害者が、先っちょ部分の挿入の一部を同意していた段階で、ある程度の事は、想定していた……つまり、この段階で、不同意性交罪の犯罪構成要件は成立しないの事になるです。



 その直接証拠とまでは言えませんが、二人共、ラブホで行為に至るまで、約1時間、モザイクがかかっていたとは言え、挿入行為を繰り返すいわゆるエロビデオを、ラブホの液晶テレビで見ています。

 これを、見てさえいれば、一旦、先っちょでも挿入されれれば、最後まで押し込まれる事は、容易に想像出来ます。



 私は、以上の事全てから類推して、不同意性交罪における、被害者側の同意はあったものと考えます」



 すかさず、検察側が反論する。



「しかし、裁判長、被害者は内部裂傷まで負っています。この事実は、動かせません」



「いい年をして、馬鹿を言うな。被害者が未経験者なら、誰とやっても、同じ事だ」



 この今回の、不同意性交罪についての裁判は、マスコミで大きく取り上げられた。



 さて、読者の皆さんは、どのように、考えられるのであろう?



◆ ◆ ◆



 実は、この話には、後日談がある。



 あまりに、話が大きくなりすぎて、被害者女性の、浜辺渚は、被害届けを取り下げ、事もあろうか、被告人の山崎真一と、即、結婚式を挙げた事だった。



 マスコミも国民も、唖然とした事は、間違い無い。

法的な事、誤字脱字、辛口コメント、全てOKです。


待っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 外野から眺めていると滑稽ともいえる法廷風景ですが、 実際にこれに近い裁判もあるのでしょうね。 後日談には私も驚きましたが、二人が幸せになることを祈ります。
[良い点] 多分、モラル的にはアウトなのでしょうが、法廷のカオスを描くコメディとしては面白いです。 ギリギリを攻めるスタイル、余人には決して真似できません。 [気になる点] 10分で書いた、というコメ…
[一言] 重ね書き失礼いたします<m(__)m> こ、これが常套句なんて!!(゜Д゜;) にわかには信じられませんが…… こんな文句でホイサッサしてたら『初めて』がいくつあっても足りない!! …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ