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【完結】暗がりの向こう側 ~怪物が蔓延っていた世界で、生き残るために戦います~  作者: よぎそーと
4章

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94/109

94 それは慈しみや思いやり、いたわりからではなく

 巨大ムカデの居住地周辺の巣が破壊される。

 それと共に、包囲が完成する。

 巨大ムカデの逃げ場は塞がれた。

 そこに向かってカズヤは攻め込んでいく。



 巨大ムカデの居住地もまた、人面花によって作られた巨大な巣だ。

 それは山のような三角錐の形をしている。

 そして、火口に当たる部分に大きな口が開いてる。

 そこから巨大な縦穴が開き、その奥に女王ムカデが鎮座している。



 この山頂の開口部の直径が数千キロにも及ぶ。

 山の裾はもっと大きい。

 また、巣全体の高さもそうとうなものだ。

 それこそ、何十キロという大きさだ。



 そんな巨大な巣を全て包むように、カズヤは結界を作った。

 膨大な経験値が消費されていく。

 レベルが何百と下がっていく。

 この世界で稼いだ経験値のほとんど全てが消えていく。



 そのおかげもあって、巨大な山を覆うほどの結界が出来あがる。

 その中で怪物共は瞬時に消滅していった。



 比較的小型の人面花と人面虫は一瞬で消えた。

 比較的強力な怪物はもう少しだけ耐えた。

 耐えられたおかげで死ぬまでの苦痛を味わう事になった。

 逃げ場のない中で、どの怪物も地獄の痛みを味わう事になった。



 その最奥に鎮座する女王ムカデ。

 それはもっとも苦痛を味わう事になった。

 この巣で最強の存在であるだけに、すぐには死ねなかった。

 我が身を蝕む痛みを長く刻まれ続ける事になる。



 しかも、周りで同族が死んでいくのを見ていく。

 いずれも、女王が産み出した卵からかえったものだ。

 全て我が子である。

 それらがことごとく死んでいく。

 これからかえっていく卵もだ。

 同族への愛情だけは持ち合わせている怪物のこと、それを見るのは精神的な拷問だった。



 いや、愛情など持ち合わせていない。

 怪物に愛情など存在しない。

 あるのは支配欲だけである。

 我が身がかわいい自己愛、ナルシズムだけだ。



 女王ムカデをはじめとした怪物共は、自分の支配下にあるものを好む。

 それらが失われるのを嫌う。

 いってみればそれは、玩具を取り上げられるのを拒む子供と同じだ。

 相手への慈しみがあるわけではない。

 自分の所有物が失われる、自分のものである支配下にある従属物が消える。

 その事を残念に思ってるだけだ。

 悲しんでるわけではない。



 それは己だけが可愛いという自己愛ともいえる。

 自分のものだから失いたくない

 自分のものだから大事に出来る。

 それ以外はどうでも良いというものだ。



 だから、自分のものなら大事にする。

 異様なほどに。



 だから、それ以外のものはどうでもよい。

 自分ではない他者など憎悪の対象でしかない。



 究極の我が儘と言えるだろう。

 己だけが良ければそれでよい。

 己のものだけが健やかならばそれで良い。

 己と関わらない存在が許せない、みとめない。

 自分以外にひれふさない存在を嫌悪し憎悪し殲滅する。

 たとえ自分に友好的でも、自分の支配下にいなければ決してみとめない。



 それが怪物だ。

 そんな怪物にとって、我が子である同族は支配下にある。

 大事な大事な、おもちゃだ。

 その玩具が消えていく。

 自分が楽しむためだけに存在するものが死滅していく。

 それを延々と見せられていく。

 女王ムカデには耐えられなかった



 だが、どうする事も出来ない。

 耐久力の高い女王ムカデだが、巨大な卵巣を持ってるが故にうごく事が出来ない。

 基本的に鎮座して卵を産みだし続けるのが役目だ。

 その場から逃げる事は出来ない。

 ただ、座って怪物がかき消されていくを見続けるしかない。



 そんな彼女は叫び続ける。

 なぜ、どうしてと。

 どうして自分はこんな目にあわねばならないのだと。

 なぜ自分が産み出した大切な我が子(という玩具)を失わねばならぬのだと。



 理由は極めて簡単で単純だ。

 怪物がそれ以外の存在への害悪でしかないからだ。

 存在するだけで悪影響を与えていくのだ。

 抹消するしかない、怪物以外のあらゆる存在・生命のために。



 山のごとく巨大な巣の中で、女王は消滅していく。

 他の仲間が死に絶え、巣も消滅していく中で。

 意識の最後の欠片も消えるまで、我が身を消し去る苦痛に襲われながら。



 それは他者を害するしかない怪物にお似合いの末路だった。

 あらゆる存在を踏みにじり、奪いとってきた邪悪が辿るべき最後だった。

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