92 倒す前にのぞき込む、その中身を
怪物を倒すのはそう難しい事でもない。
このまま頭を吹き飛ばせばいい。
だが、その前に情報を引き出しておきたかった。
この世界について何も知らないのだから。
その為に怪物の思考を読んでいく。
何を考え、どう行動してるのか。
どこに棲息してるのか。
今後の為にも出来るだけの事を調べていく。
怪物の意識の中にカズヤの気が潜り込んでいく。
怪物の思考がカズヤに流れてくる。
それを読み取り、カズヤは目の前の巨大ムカデの知る事を手に入れていく。
この巨大ムカデが、異質な気配を感じて飛んできたこと。
カズヤが張った結界を目にしたこと。
倒さねば危険だと察した事。
その為に危険を承知で結界に向かって飛び込んでいった事。
怪物が抱いてる焦燥感や危機感、防衛意識などがカズヤに流れこんでいく。
「なに言ってやがる」
噴飯ものの考えだ。
カズヤからすれば、怪物こそが凶悪極まりない敵である。
どれだけの者が被害にあい、犠牲になってきた事か。
それをもたらしてきた怪物を駆除して安全圏を確保してるだけだ。
にも関わらず怪物は、自分達が被害にあってると考えてる。
平穏な生活を別世界からきた異物が破壊してると思ってる。
確信してると言ってよい。
怪物が生きてる穏やかな世界。
それが脅かされようとしてる。
心のそこからそう思ってる。
加害者である自覚がない。
怪物の思考を読みとり、カズヤも確信を深めていく。
怪物は倒さなくてはならない。
共存など不可能だ。
殲滅しない限り平穏は訪れない。
さもなくば人類が駆逐される。
妥協点などない。
会話も交渉も成り立たない。
それがはっきりした。
相手の考えが分かった事で意思が固まった。
まずは目の前の巨大ムカデの頭を吹き飛ばす。
それから地上に戻って巣を破壊していく。
生かしておけば必ず脅威になるのだ。
二度と生まれてこないよう、全てを殲滅するしかない。
自分達の安全圏が確保出来ればそれで良い、とはならないのだから。
どれほど安全圏を作っても、必ず怪物は襲いかかってくる。
その都度撃退するのも手間がかかるし面倒でしかない。
残らず全て殺す。
これ以外に対処する方法がなかった。




