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9 巣の主

 先に進むほど広がっていく道。

 その先には、更に大きな空間があった。



 大きさは体育館ほどはあるだろうか。

 蔦が絡み合って出来たその場所は、数多くの人面虫が控えていた。

 いずれも今までみた者達よりも巨大なものだ。

 それだけで、今まで歩いてきた通路を塞ぐほどだ。

 それらの頭がカズヤ達をにらみつけている。

 女の顔をした怪物達は、明らかな敵意を向けてきていた。



 そんな空間の天井。

 真ん中あたりから巨大な花が垂れ下がっている。

 外で見た家の上に咲いていたものよりもはるかに大きい。

 直径で5メートルはあるだろうか。

 その中に浮かぶ女の顔もまた、カズヤ達に冷淡な目を向けていた。

 歓迎してないのは確かだ。



「ここで待ってろ」

 にらみつけてくる女面の怪物達。

 それらに向かって男は進んでいく。

 言われた通りにカズヤは入り口で待つ事にした。

 ここに来るまでにレベルは更に上がってる。

 だが、最後の部屋にいる怪物にかなう程ではない。

 参戦しても足手まといになるだけだ。



 それならば後ろで身を守ってる方が良い。

 それならば邪魔にはならずに済む。



 カズヤが下がると、男は怪物達に向かっていく。

 とはいっても、怪物に接近するわけではない。

 身体から光をあふれさせていく。

 ここに来るまでにカズヤは、それが身体の内にある気であると説明を受けていた。

 その気を様々な形にする事で攻撃に使う事が出来ると。

 男はその気を盛大に使い、一気に片を付けようとしている。



 怪物達もそれを黙ってる見てるわけではない。

 巨大な人面虫は一斉に男に襲いかかる。

 天井からつり下がってる人面花も、口から毒花粉を吐き出してく。

 広い空間のそこかしこの蔦から新たな人面花を咲かせ、それらにも毒花粉を放出させていく。



 どう見ても男が不利に見える。

 飛びかかってくる巨大虫を蹴散らすのも難しい。

 空間全体に充満していく毒花粉を避ける事は無理だろう。

 だが、男は全く動じた様子を見せない。



(どうすんだよ、これ)

 そう思ってるカズヤの前で、男は気を放つ。

 炎に変化させて、充満してきた毒花粉を焼き払う。

 急激に充満し、空間の中に濃密に漂っていた毒花粉は一気に引火。

 爆発的な勢いで火炎が荒れ狂っていった。



 粉塵爆発に近い事が起こった。

 爆発まではいかないが、燃えやすい物質に火が付いた事で、空間全体に影響が出る。

 それは男の近くまで迫った巨大人面虫を覆い尽くす。

 毒花粉を吐き出していた人面花は、吐き出していた花粉が導火線になっていく。

 自ら炎を内側に招いて、人面花は燃えていった。



 天井から垂れ下がっていた巨大人面花も例外ではない。

 最も多くの毒花粉を放出していたのだ。

 他のどの怪物よりも盛大に燃えていく。



 この空間そのものもだ。

 もとが人面花を生やす植物で出来た空間だ。

 火が付けば一気に燃えていく。

 その勢いは大きく、部屋全体が燃えていく。

 その炎に巻かれて、この場にいた怪物は全て潰えていった。



「すげえ……」

 あまりにもあっさりと敵を倒した事に驚く。

 男が大きな炎を発生させたと思った次の瞬間には、それが部屋全体におよんだ。

 それによって敵は一気に倒されていった。

 戦闘と呼ぶのもためらわれるほど、一瞬の出来事だった。



 だが、戦いは確かに終わった。

 敵は全て倒されている。

 その証拠に、あちこちで光の粒が生まれ、それがカズヤと男に向かってくる。

 この場にいた怪物が倒された証拠だ。



 身体の中から大きな力がこみ上げてくるのを感じる。

 その感覚をカズヤは何度も受け止めた。

 レベルが一気にいくつも上がってるのだ。

 倒した敵が相当に強く、得られる経験値が多いのだろう。

 レベル上昇に伴う高揚感を何度も味わう。



 だが、それに浸ってもいられない。

 戻ってきた男が、「行くぞ」と促す。

「ここはすぐに崩れる。

 急いで外に出るぞ」

 言われてカズヤは、男に続いて外に駆けだしていった。

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