84 根こそぎ一網打尽にするために
残り少なくなったとはいえ、元の世界の怪物の巣を破壊していくのは大変だ。
なにより、その周囲を結界で囲むのが困難だ。
巣が崩壊しようとすると、怪物は逃げ出す。
周辺に散らばって、そこに新たな巣を作ろうとする。
それを阻止するために、結界をはって逃げ出せないようにする。
今、これがかなり難しくなっている。
巣が激減したのは良い。
だが、その分、怪物が入り込んでない場所が大きく増えた。
それらを守るために結界をはっていく必要がある。
なのだが、それが難しくなってしまった。
広範囲が解放された事による弊害だ。
それは、怪物が踏み込める場所も増えた事になる。
その全てに結界を張るのは難しい。
巣も散らばってるので、そこに向かうのも手間がかかる。
数は少ないが、北は北海道から南は沖縄まであちこちにある。
怪物はその周辺に広がっていく。
この全てに対処するには、仲間の人数が少なすぎる。
「けど、向こう側の巣を破壊すれば、こっちの巣も消える」
こちらも時間はかかる。
カズヤは五年かけてどうにか大量の巣を破壊した。
それでも、別世界・別次元にある怪物の巣窟は大量に残ってる。
普通に考えたら、そちらの方が手間も能力もかかるように思える。
しかし、別次元で大量の巣を破壊すれば、元の世界ではそれ以上の巣が崩壊する。
無かった事になる。
その影響は大きい。
カズヤが活動した五年で日本全土がほぼ浄化された。
仲間と共に別次元で掃除を進めれば、もっと大きな範囲を片付ける事が出来る。
それこそ、地球全土に及ぶほどの変化をもたらせる。
「だから、こちら側は後回しにする」
戦力を向こう側に集中する。
そちらで敵を殲滅していく。
そうすれば、元の世界の方も浄化される。
効率を考えれば、その方が良い。
ただ、放置するのも気が引ける。
なので、出来るだけ結界は張っていく。
幸い、カズヤのレベルがかなり上がっている。
今まで以上に広範囲の結界も作れる。
それで怪物の動きをある程度おさえる。
それならばと仲間も賛同していく。
どうしても気になる者は、元の世界に残って怪物を倒していく。
カズヤ達が全滅した場合を考えての事でもある。
全員死んだら、怪物を倒せる者がいなくなる。
そうならないように、ある程度は元の世界に残っている方が好ましい。
最悪の事態が起こった場合、残った者達が怪物退治の作業を引き継いでいく。
そこから、向こう側に行く者達と、残った者達のやる事を決めていく。
カズヤの経験をもとに、向こう側の世界の攻略方法を打ち立てていく。
また、カズヤ達が失敗した場合に留守番がする事を考えていく。
それらが決まってから向こう側の世界に突入する事になった。
幸い、怪物の巣を崩壊させる必要は無い。
カズヤの家の周辺が、浄化された向こう側の世界と繋がってるからだ。
気を使えば、向こう側に移動する事が出来る。
どうやら、接点は維持されるらしい。
便利ではあるが、怪物も来やすくなる可能性がある。
ここは気をつけねばならない。
そんな家の前で、まずは結界を作る。
レベルを幾つか犠牲にして、カズヤは巨大な聖域を作った。
別世界の怪物の巣を封じ込めたように。
ただ、これがカズヤも驚くほどの大きさになっていく。
出来上がった聖域は、日本全土をほぼ覆っていた。
さすがに太平洋上にある島々までは届かなかったが。
それでも、本土をほぼ全部覆ってる。
「うわあ……」
これにはカズヤも驚いた。
だが、大きい分には問題はない。
怪物の影響を阻む事が出来るのだから。
それに、範囲内にいる怪物の生き残りもまとめて駆除できる。
実際、聖域が出来上がった直後から、あちこちから経験値が飛び込んできた。
「これなら大丈夫だな」
向こう側に行っても、怪物の動きをあまり気にしなくてよい。
そうしてカズヤと仲間達は別の世界へと向かった。
怪物の巣を破壊していく為に。




