79 守るべきものはない、だから攻める事だけ考える
経験値を稼ぐには、巣を破壊するのが効果的だ。
その巣は大量にある。
だが、結界を作って聖域を広げると、その分レベルが上がるのが遅れる。
レベルが上がらなければ、攻略が遅れる。
これでは効率が悪い。
なので、カズヤは聖域作りは後回しにした。
まずはレベルを上げる。
出来るだけ多くの経験値を手に入れる。
巣の攻略と破壊はそれからにした。
怪物を退ける必要もさほどない。
元の世界なら、人々の生活を守らねばならなかった。
不幸な人を出来るだけ減らすために。
その為に怪物が再び入り込まないようにしていた。
だから結界を作り、聖域を拡大していった。
だが、この世界ではその必要が無い。
守らなければならない人々はいない。
なので、聖域を作る必要がない。
怪物を倒すことだけに専念しても問題は無い。
とにかくレベルを上げる。
上げて一気に片を付ける。
その為に寄り道はしない。
使えるものは何でも使う。
怪物が巣を再建するならそれでかまわない。
むしろ、経験値の材料が増えてありがたい。
そう割り切る事にした。
そうしてひたすら怪物の巣を潰してまわる。
怪物を倒して巣を破壊し、経験値を手に入れていく。
休息のために強力な結界を作る事はある。
だが、それは本当に一時的なもの。
拡大して怪物の入り込めない場所を作るためではない。
ただひたすらに怪物を倒し続ける。
体感時間で一年が経過し、二年が過ぎても巣を破壊し続ける。
経験値をためる、それだけの為に。
それが三年目に突入し、四年目が見えてくる。
そこでカズヤはようやく次の行動に移った。
巨大な結界を作る。
範囲も影響力も大きな聖域を産み出す。
怪物の巣をいくつも覆うような、巨大な結界を。
貯め込んだ経験値の多くを消費していく。
三年間の間に蓄積したもの全てを吐き出すように。
そうして出来上がった結界が、怪物の巣の多くを包んでいく。
その中で多くの怪物が死滅していく。
巣も表面から削られていく。
聖域の中に取り込まれ、継続的に損傷を受け続けてるためだ。
外側から削られていく怪物の巣は、やがて中枢にも届くようになる。
中枢にいる人面花をもむき出していく。
茎や枝や蔦や根で出来ていた巣が壊され、人面花は守るべき障壁を失う。
最後に残った頭も蝕まれ、カズヤの経験値となっていく。
悲鳴すら聖域の中でかき消され、巣を担っていた人面花は消えた。
同時に複数の巣が同じ末路をたどる。
そこには怪物が入り込めない安全地帯が出来上がっていた。
とはいえ、怪物の影響力が消えたわけではない。
周囲の怪物の邪念が届くのか、そこはまだ時間が止まったままだ。
しかし、カズヤは気にせず次の作業にとりかかる。
まとめていくつもの巣を破壊したので、大量の経験値が手にはいった。
再び巨大な結界を作れる程の。
それを用いて、隣接する所にある巣を結界で覆っていく。
聖域が出来上がり、その中にいた怪物共が死滅していく。
これを繰り返す事で、短時間のうちに安全圏を大きく確保していく。
三年を費やして貯えた経験値。
それを有効活用し、カズヤは怪物が入り込まない空間を作り出していった。




