67 再会して戦って
放たれる気を弾きながら、どうにか巣の奥に到着する。
予想通り、そこには強力な怪物が多数待ち構えていた。
怪物側の能力者達も。
更に、強烈な気を放っていたとおぼしき者もいた。
一目で分かるほどの異形だった。
一応は人である。
だが、全身を人面花の蔦や根で覆われている。
怪物を取り除けないほど深く取り憑かれている。
霊魂は残ってるが、自我はほとんどないだろう。
人面花に操られてる人形状態だ。
それでもまだ人としての形は保ってる。
蔦に覆われた全身から垣間見える人体が確認できる。
顔も露出している。
だからそれが誰なのかすぐに分かった。
「嘘だろ……」
見知った顔だった。
巣の崩壊に巻き込まれた者だった。
死んだと思っていた。
だが、それは目の前にいた。
「あんたなのかよ」
カズヤを怪物から救った男。
カズヤに戦い方を教えた男。
名前も聞けずに消えていった男。
それが目の前にいた。
感傷にふけってる間も無かった。
呆けてるカズヤに向かい、男は攻撃を仕掛けてくる。
怪物や他の能力者とは桁違いの威力。
それが容赦なくカズヤを襲う。
襲ってくる気。
それを相殺するようにカズヤも気を放つ。
カズヤと男の間で気がぶつかり合い、打ち消しあっていった。
それを皮切りに戦闘に入っていった。
男はカズヤに容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
怪物に操られてるのだから当然だ。
やむなくカズヤも対抗していく。
幸い、男の能力はかなり下がっている。
怪物に取り憑かれ、本来の力が出せないのかもしれない。
それに、人間・怪物用の結界も作ってある。
そのどちらの影響も受ける状態だ。
更に能力は落ちてる可能性がある。
だが、ここにいるのは男だけではない。
巣の中枢である人面花がいる。
蔦や根から生えた多くの人面花もいる。
通常のものより巨大な人面虫もいる。
加えて、怪物側の人間もいる。
これら全部も襲ってくるので簡単にはいかない。
しょうがないので、出来る所から手を打っていく。
広範囲に気の炎をまきちらして人面花を燃やしていく。
あわせて人面花の毒花粉を消滅させていく。
中枢を担う人面花までは倒せないが、それ以外の小さなものを倒す事が出来た。
動き回る人面虫と邪魔者達は動きを阻害するように気を放っていく。
一撃で倒すことは出来ないが、手足を縛る事で行動を大きく阻害する。
それだけでも対処がしやすくなった。
損害を与えるような攻撃より、気の消費が少ないのも便利だ。
男はさすがにそう簡単にはいかない。
拘束はしているが、それでも動きが幾分鈍くなるだけだ。
もともと他より隔絶した能力を持っているのだ。
幾らか能力が落ちたとしても油断は出来ない。
それでも、男だけに集中する必要もなくなった。
ほんの少しだが余裕が出来る。
その隙を突いて人面虫や邪魔者達を倒していく。
一匹ずつ、一人ずつ確かに殺していく。
そうしてると男が攻撃してくるので、一気に殲滅とはいかない。
時間をかけてゆっくりと敵を倒していくことになる。
だが、手間はかかるが少しずつ怪物側は倒れていく。
人面花の大半は焼け落ちた。
人面虫のほとんどは頭を吹き飛ばされた。
邪魔者どもも全てが死んだ。
残るのは中枢を担う巨大人面花。
そして、カズヤと相対する取り憑かれた男だけ。
その男に向けてカズヤは気を放つ。
広く散布されたそれが男をとらえる。
広範囲にひろげたので効果は薄くなってるが、動きを阻害していく。
その影響で男の動きが更に鈍くなった。
たたみかけるように男に向けて気の捕縛縄を投げつけていく。
男の手足にカズヤの気が巻き付いていく。
これで男の動きがほぼ止まる。
その隙に、カズヤは天井からぶら下がってる巨大人面花に気をぶつけていく。
中枢を担うそれは、気の打撃を受けて顔を吹き飛ばされていく。
綺麗に調った女面が、吹き飛ばされてえぐられ、形を失っていく。
その最後に全てを散らし、枯れて消えていく。
中枢の人面花が消える。
そこから崩壊が始まっていく。
塵や霞となって迷宮を形作ってる蔦や茎、根が消えていく。
それを見て、カズヤは気でがんじがらめになった男に向かう。
それを担ぎ上げて脱出を始めた。




