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【完結】暗がりの向こう側 ~怪物が蔓延っていた世界で、生き残るために戦います~  作者: よぎそーと
2章

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54 家族の変化、新たなあるべき日常へ

 都市の巣を全て破壊し終えてから帰宅する。

 時間の流れが戻ってるので、人の目に付かないようにしながら。

 そうして家に戻りながら、色々な変化が起こってる事に気付く。

 頭の中に、更新された情報が流れこんでくる。



 自分の家族と周りの環境。

 それらが一気に変化していくのが分かる。

 以前のとは別の記憶が流れこんでくる。



 父の会社は、好調とまではいかないにしても、経営は順調。

 忙しい時期に残業はあっても、仕事のために必死になるほどでもない。

 安定して稼ぎをたたき出している。

 そこで父はそれなりの仕事をしている。

 出世には縁が無いが、困窮するほど稼ぎがないわけではない。



 母もパートには行ってるが、今までのように毎日朝から晩までというわけではない。

 週に何回か、一日数時間程度の仕事をしている。

 多少は家計の助けになれば、という程度だ。

 父の稼ぎなら、ほとんど必要がないものだが。

 空いた時間を無駄にしたくないから、というのが理由にもなっている。



 姉も適度にバイトを入れながら学校生活を送ってる。

 少なくともヤクザに麻薬漬けにされたりはしていない。

 程よく学校生活を楽しんでる。



 カズヤも学校生活での不幸はない。

 学校犯罪に巻き込まれる事もなく、平穏にこれまで過ごしてきた。

 そういう人生を送ってきた記憶になってる。

 気軽に声をかけあう友達もいる。

 以前は孤立していたのだが。



 そうして記憶が頭の中に浮かんでくる。

 そういう人生を送ってきたのだと。

 今までの記憶が無くなったわけではない。

 それと並行して新たな記憶が存在している。

 気をつけてないと混乱しそうになる。



 家にたどり着いた、更に多くのものが変わった事を知る。

 家の外観が違う。

 以前よりも大きくなってる。

 庭もある。

 というより、町の姿形が変わっていた。

 広めの庭付き一戸建て。

 高級とまではいかないが、それなりに裕福な住宅地という風情になっている。



 以前は、ごく普通の住宅地だった。

 築年数40年から30年くらいの家が建ち並ぶ、ちょっと古い町だった。

 それが一新していた。

 古い家が建て替えられ、町を出て行く住人の家を隣の者が買い取り。

 そうして広い家が建ち並ぶようになった。

 世代の交代による変化があらわれていた。



 カズヤの家もそうした更新を経た家だ。

 たしか、隣に済んでいた老夫婦が、息子夫婦の所に引っ越す事になった。

 ならばとその家を買い取った。

 そこを更地にして、カズヤの家を建て直したのだ。

 こうしてカズヤの家は大きくなった。



 その家の中に入り、自室に戻る。

 場所も中身も出て行く前とは違ってる。

 記憶がなければ混乱していただろう。

 そんな馴染みのない使い慣れた部屋に入る。

 これだけはかわらない布団がしいてある。

 その中に入って朝を待った。

 今日はもう、出来ることはない。



 そして、翌朝。

 変化した家族と体面する。

 生まれた頃からずっと一緒の、初対面の者達に。

 着換えて部屋を出て下におりる。

 既に家族が全員集まっていた。



 父がいて、母がいて、姉がいて。

 そして、今までいなかった弟がいる。

 この弟は、カズヤの三つ下。

 まだ小学生だ。

 以前の家族にはいなかった者がここにいる。

 それに少し戸惑うが、他人行儀になる事もない。

 もう十年以上もの付き合いなのだから。

 たとえ、昨日までいなかった者だとしてもだ。



 そして、他の家族。

 それらも一変している。

 今まで背負っていた苦労が消えて、顔から疲労が消えている……というわけではない。

 全くの別人になっている。

 両親も姉も、見知らぬ誰かに変わってる。

 間違いなく、安房家の人間だというのに。



 これが変化なのだと実感した。

 今まであったものが消える。

 無かったものがあらわれる。

 怪物が死んで滅んで消滅して、それにあわせた現実があらわれる。

 書き換えられる。

 変化する。

 より正確に言うならば、更新していく。



 怪物がいなければ辿ったであろう歴史。

 健全に進んでいった別の世界。

 そういったものに変わっていく。

 今までの悲惨だった現実が消えていく。



 再構築と言えば良いのだろうか。

 怪物の影響がない世界に書き換わったのだ。



 だからカズヤの過去も変わった。

 かつて、虐待され、虐げられ、犯罪の被害者になっていた事。

 それが無くなった。

 そもそも、そんな出来事など存在しない事になった。



 今ある事が現実なのだ。

 ろくに家に帰れない父は消えた。

 パート先で不倫をしていた母は消えた。

 ヤクザに麻薬漬けにされた姉は消えた。



 仕事をこなしながらも、家に帰ってくる余裕を持つ父。

 余裕の有る時間を過ごす母。

 学校生活を謳歌してる姉。

 それがあるべき本来の安房家の姿なのだ。



 そして、そんな家に新たに生まれてきた弟。

 本来なら存在していたはずの家族。

 それがあらわれた。



 ここまで変わるのかと思った。

 だが、これが当たり前の姿なのだとも分かった。

 変化した、更新した、再構築されたというのも間違いではないのだが。

 そうではない。

 本来だったらこうであるという姿に戻ったのだ。

 怪物が見えるようになったカズヤにはそう感じられる。



 むしろ、怪物がいる状態、怪物がもたらした世界こそが間違ってるのだと。

 怪物が作り出した偽りの世界を壊したから、あるべき姿が復活したのだと。

 変わったといえば変わっただろう。

 だが、それは今までが消えたのではない。

 元の姿に戻ったのだ。



(なるほど……)

 これでよく分かった。

 巣を壊す事でよりよい方に変化するならそれで良い。

 そう考えていた。

 だが、違う。

 あるべき姿を取り戻すのだと。

 これが正解なのだと。

 壊して新しくするのではなく、間違いをただして元に戻すのだと。



(なら、やるしかないじゃねえか)

 決意が完全に固まった。

 今までも、やらなければならないと思っていた。

 だが、巣を破壊して世の中を変える事に、多少の抵抗もあった。

 本当にこうして色々変えて良いのかと。

 良心の呵責といってよいだろう。



 しかし、そんな躊躇いが間違いだとはっきりと分かった。

 やらないより、やった方が良いという事ではない。

 絶対にやらねばならないのだという確信を持てた。



(それなら)

 迷う事はない。

 躊躇いも必要ない。

 むしろ、徹底的にやり通すべきだと分かった。



 だからカズヤは次の行動に自信をもって臨んでいく。

 怪物の消滅。

 それを阻む宗教と能力者達の殲滅。

 これらを確実にこなすと。



 ひとまずは学校に通って。

 それが終われば、敵対する全てを壊しにいく。

 そう決めて家を出る。

 迷いが晴れたせいか足取りが軽い。

 こころもち、天気も良いように思える。

 空は澄み渡り、陽光も程よく暖かい。

 風も適度に涼やかさをもたらしてくれている。

 そんな中を、小気味よくカズヤは歩いていった。



【あとがき】


2章も終わったので

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


以前、こちらのコメント欄で俺の書いた話を話題にしてくれてたので、覗いてみると良いかも

http://mokotyama.sblo.jp/

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