53 襲撃者達の正体
人間用の結界で相手の動きが極端に鈍ったのを察知する。
それを確かめて、相手のところへ向かう。
たどり着くと、そこには20人ほどの人間が転がっていた。
結界の影響を受けて苦しんでる。
そんな連中の頭の中をカズヤは覗いていく。
どんな名前なのか、どんな人間なのか、何を考えてるのか、どこから来たのか。
様々な事を相手の意識に潜り込んで直接調べていく。
そうして集めた情報で幾つかの事が分かった。
巣の破壊をしない能力者の集団があること。
それは宗教を母体にした団体で、様々な所に影響力を持ってること。
怪物退治や取り憑かれた人間を倒したりはしてる事。
ただし、巣の破壊は行わないのを徹底してる事。
ただ、巣の破壊をしてまわってる人間には手を焼いてる。
その対処として、専用の部隊を作ってる。
可能な限り怪物退治をさせて、そうした者達のレベルを上げている。
巣の破壊が出来るレベルの高い能力者を相手にする為に。
ただ、それだけでは経験値が足りないので、やむなく巣の破壊に勤しむ事もある。
今回送り込まれたのは、そうした巣の破壊をしてレベルを上げた者達だ。
カズヤの敵、宗教を母体とした団体の中では最強といえる者達だ。
だが、それでも巣の破壊をしてまわってるカズヤ達を相手にするには分が悪い。
そこで、巣の崩壊に巻き込んで倒す事になった。
その為に、多大な犠牲をはらう事も覚悟していた。
巣の中で足留めをしてる者達はそれを承諾して戦いにおもむいた。
巣の破壊をこれ以上進めて、消えていく者達を無くすためと考えて。
その為に自分達を犠牲にする事を決意していた。
「バカが」
思わずカズヤは憤りをもらす。
決意するなら、巣の破壊にすれば良い。
その方がよい結果になるのだから。
なんで戦える者同士が争わねばならないのか?
あまりにもバカバカしくて腹が立った。
ますますもって、生かしておくわけにはいかなくなった。
このまま放置したら同じ事を繰り返す。
常に付け狙われる。
そんな事、二度とさせるつもりはなかった。
「ここか……」
敵の頭の中から情報を全部抜き出す。
居場所、拠点、仲間、家族。
全ての情報を引き出す。
気を消費してメモ帳などを手に入れ、それらを全て記録していく。
そうしてから、捕まえた連中を殺す。
生け捕りにしておく理由はない。
逃げ出されるより、息の根を止めた方が管理が楽だ。
そうしてから手近な巣を攻略していく。
地上部分を破壊して地下に突入し、その時に死体を運んでいく。
縄でくくって引きずり、巣の中においていく。
怪物が食えばそれでよし。
そうでなくても、巣が壊れれば崩壊に巻き込まれていく。
どこかに消えてくれる。
襲ってきた連中をそうして処分する。
それから、人間用の結界も解除しておく。
残しておいたら、この場にやってくる人々に悪影響を与える。
そんな事をするつもりはない。
邪魔となる者達をそうして処分してから、あらためて巣の破壊に向かっていく。
残り少なくなったとはいえ、まだかなりの数が残ってる。
それらを破壊しないかぎり、ここから帰るわけにはいかない。
一人になったが、これだけはやりきりたかった。
そこからは手間がかかるよういになった。
一人の時より時間がかかる。
労力も増える。
当たり前だが、差をはっきり感じる。
男がいてくれたら、楽に作業をこなせるのにと思った。
「そういや……」
ここに来て気付いた。
「まだ、名前聞いてなかったよ」
そんなに長い付き合いではない。
だが、聞こうと思えば聞けたはずの事すら聞いてない。
名前すら全く知らない。
そう思うと、ため息が漏れていく。
「なにやってんだか」
せめてそれだけでも聞いておけば良かったと後悔をおぼえた。




